大東京カワセミ日記その1 2021年5月2日 都心でカワセミに偶然出会う。
山手線内側の川沿いで、カワセミを見かけた。
2021年5月2日の夕方。
リモートワークが一段落した私は自転車で散歩にでかけた。
川に面した公園。園内の日本庭園に設けられた池では、大きなアオサギが魚を探していた。
こちらの池には、さまざまな魚がいる。鯉はもちろん、モツゴにメダカにヨシノボリ。アメリカザリガニだけではなく、スジエビも暮らしている。カワニナも見かけるが、ホタルは生息していないようだ。
アオサギは、池のほとりにいるのが飽きたのか、ゆっくりとはばたいて、悠然と公園から出ていた。向かう先には、公園沿いの川がある。
なんとはなしに、私も公園を出て、アオサギが飛んでいった方向に歩いて行った。
橋がある。すぐ先には大きな通りがあり、巨大なホテルやさらにその向こうに大学がある。
川のたもとに進むと、おじさんが橋の下をじっと見ていた。
「なんか、いるんですか?」
「カワセミだよ。ほら、あそこに」
時刻は16時30分をすぎていた。
ずいぶんと日は長くなっていたが、洪水対策で深く掘り込まれた都心の川岸は早くも薄暗くなっていた。
かつてこの川が台風で増水したときのことを覚えている。1990年ごろの話だ。川があふれて、すぐ先の大通りに巨大な鯉がのたうちまわった、と商店街のひとに聞いた。
いま、川の水はやや少ない。海からはずいぶん離れているが、潮の影響があるのだろう。いつもより川岸が広い。引いているようだ。
むきだしになった岩の上に、青い点が見えた。
カワセミだ。
この川にはカワセミがいる、という話は以前から聞いていた。
さきほどの公園の池に姿を現すことがある、とも。
けれど、わざわざ探すことはなかった。ご近所探検で、私が見ていたのは、どちらかといえば「虫」だった。
最後にカワセミをみたのはいつだったろう。
小網代の河口でアユを狙っていた個体だ。この子である。
2019年の6月16日のことだ。
以来、カワセミを見ていなかった。
橋の下のカワセミは、5分ほど岩の上でお尻をふって、白い糞をしたあと(下の写真を見てください、出したてのフンが。。。)、突然、ぴいっと鋭く鳴いて、はばたき、橋を潜って、下流の方に水面を掠めながら、飛び去った。
持っていたカメラ、ソニーα7には、10年以上使っているタムロンの28-300ミリがついていた。鳥を撮るにはいささか短い。でも、パソコンで写真を開いたら、なんとか風貌だけは確かめられた。
下顎が赤い。メスだ。
成鳥だから、付近にオスがいるはずだ。もしかしたら子育てをしているかもしれない。
さて、この日以来、私はご近所のカワセミのおっかけになってしまうことになる。
というわけで、大東京の街中に暮らすカワセミと、それからいろいろなご近所生物の話を綴っていきます。