大東京カワセミ日記その43 2021年7月31日ギンヤンマの産卵

画像1 カワセミの川。真夏の真昼は姿なし。 代わりに、ギンヤンマの夫婦が、卵を産んでいた。
画像2 この川の生態系はとてもユニーク。 都心の河川の多くは、巨大なコイが跋扈しているけれども、この川には1匹もいない。下流部にはいるけれども、いくつもの堰が障壁となって、あがってこない。 一方、小魚もほとんど見当たらない。ドジョウとヨシノボリくらいしかみかけない。
画像3 で、やたらいるのは外来種のヌマエビ。このエビは降海しないで、その場で大きな卵を産んで小エビが出てくる。アメリカザリガニとおなじ。このため多数のモエビがいる。 そして、そのエビの住処となっているのが、このギンヤンマがいま産卵をしているオオカナダモ。名前の通り、北米原産の外来種で、観賞用に輸入されたものが、拡散されて全国の河川にひろがった。
画像4 つまり、この川の生態系のねっこは、オオカナダモという外来種と、中国系のヌマエビという外来種でできている。 東京の都市河川は1960年代から70年代にかけての公害の時期に一度、完全に生き物が住めないような場所になった。だから、多くの生き物は、いったん死の川になったところに、浄化システムができて水がきれいになってから外部からやってきた「外来」。国産、海外にかかわらず。
画像5 この川においては、0からスタートして定着したのが、オオカナダモとモエビだったのかもしれない。 で、この環境は、面白いことにトンボやカワセミにとっては好都合だった。まず、コイがいない。コイはなんでも食べちゃう。水草もエビもヤゴもみんな食べちゃう。ちっちゃい鳥も食べちゃう。コイがいないので、ちっちゃな生き物が暮らす環境がおそらく維持され続けている。
画像6 そして、繁茂しているオオカナダモは、多少の汚れにびくともしないので、ここに生育している、モエビやヤゴにとってはかっこうの隠れ家。 結果、たくさんの甲殻類(モエビとアメリカザリガニ)が増えて、それを餌とする、カワセミや、サギや、カワウが戻ってきた。 トンボも、このギンヤンマに加え、公式データには掲載されていないハグロトンボも先日見かけた。
画像7 外来か在来か、という区分ではみえない、新しい都市の生態系のケーススタディ。

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