メディアの話その128 生き残るメタバースは、メタバースアプリのポータルサイト。
メタバースの話、メタ(笑)からベンチャーまで、「俺のサマーウォーズ」をつくろうとしているけど、すでにこの世にはメタバースであふれている。
メールもSNSもスラックもZOOMもぜーんぶメタバース。いながらにして別の世界とつながってコミュニケーションできるプラットフォームは、すべてメタバースである。別に新しくもなんともない。三十年、すでに私たちはメタバースを活用しまくって生きている。
で、リアルなアバターを入れて、当人がそこにいるかのような作り込んだ仮想空間に人間を囲い込もうとすると、選べる場所はたったひとつの仮想空間、に収斂せざるを得ない。
メールやSNSは、同時並行でそれぞれの「メタバース=村」をいったりきたりできるけど、架空の自分がうろうろしている「リアルごっこ」の場所は、ほかのメタバースと行ったり来たりするのがとってもめんどくさいからである。
メタバースビジネスは、個人の「時間の奪い合い」である。
百花繚乱のサマーウォーズごっこは面白いけど、全然ちがうサービスが普及するような気もする。
じゃ、どうなるか。
あの出来損ないのポリゴン的なアバターは、ま、どうでもよくて、結局、すでにあるさまざまなメタバースを「アプリ化」して収斂して利用できる、メタバースの個人ポータルサービスのようなプラットフォームをつくることができたところが勝ち、になる気がする。
そんなサービスだったら今もすぐほしい。
メッセンジャーとLINEとslackとBoxとメールと大学のサービスと電話とツイッターとフェイスブックというメタバースが同時存在するだけで、もう死にそうだからである。ワンストップで、メタバース情報を整理整頓してくれるところがあったら、使う。
となると、メタ(笑)より、グーグルあたりのほうが芽がある気も、する。
セカンドライフあたりが、飛ばなかったのは閉じていたから。
そしてメタ(フェイスブック)の閉じ方は、実はメタバースプラットフォームビジネスとは相性が悪い。
アプリとiPhoneみたいな関係になると、既存のメタバースビジネスのプラットフォームになる。
ジョブズは自分の世界に閉じこもりたかったけど、あれ、たしかアプリを外に開放したのはジョブズじゃない社員だった気が。あれがなかったらiPhone失敗している。
マイクロソフトのWindowsもオフィスも、いろんなものを乗っけられる、いろんなものに乗っかれる、ってのがポイントで、だから世界を席巻できた。
自分が独占するレイヤーと、他社に開放するレイヤーとを同時にもっているところじゃないと、生き残れない。
むしろ、現実にさまざまな人間の世界をタグ付けしていく拡張現実=AR(すでもこれもいくらでもある、Googleマップに食べログを活用すれば、それはARである)の広がりの方が、スムーズで百花繚乱になる。
なぜならば、こちらには、「現実」というプラットフォームが先にあるから、である。