メディアの話。ジャニー喜多川と週刊朝日とAERAの表紙と国連と。
今年6月に休刊した「週刊朝日」。
その表紙を見ると、ジャニーズとの関係が明確に可視化されていて、実に興味深い。
2023年正月合併号から6月の休刊までの21号。
週刊朝日の公式ページをみる。
https://publications.asahi.com/ecs/backnumber/24.shtml
①正月合併号 Travis Japan(グラビア特集)
②1月20日号 小瀧 望(ジャニーズWEST)(グラビア特集)
③2月10日号 櫻井 翔(グラビア及びインタビュー)
④2月17日号 岸 優太(King & Prince)グラビア及びインタビュー)
⑤2月24日号 浮所飛貴(美 少年)
⑥3月10日号 高橋恭平(なにわ男子)
⑦ 3月31日号 Snow Man 阿部亮平
⑧4月7日号 福本大晴(Aぇ! group)
⑨4月14日号 佐野晶哉(Aぇ! group)
➓4月21日号 小島 健(Aぇ! group)
11 4月28日号 草間リチャード敬太(Aぇ! group)
12 5月5-12日合併号 正門良規(Aぇ! group)
13 5月19日号 末澤誠也(Aぇ! group)
14 5月26日号. 渡辺翔太(Snow Man)
で、その後2号が休刊前号と休刊号。という具合。
全21号中、休刊前号と、休刊号、そして東大京大合格発表号の3誌を除くと、著名人=タレントの表紙は18号。
うち14号がジャニーズで締められている。
違うのは、豊川悦司とのんと早乙女太一とKARA.この四組だけ
特に休刊前は、完全にSNOWMANとAぇ! groupを毎週推している。
ちなみに週刊朝日の媒体資料はこちら。
https://publications.asahi.com/.../shukan/shukan_baitai.pdf
読者の44%は60代以上。
基本的に高齢者が中心の雑誌である。うちの親も長年取っていた。
帰省するたびに眺めていたので、ここ数年の内容が高齢者向けであることは知っている。
ところが、この媒体資料で興味深いのは、20代以下が15.3%いて、30代40代読者より比率が高いところである。
さらに女性読者だけの比率を見ると20代以下は19.8%。
なんと60代に次いで、2番目に多い。
50代より読者数が多いのである。
これは、何を意味するか。
ひとつ考えられるのは、「ジャニーズ表紙」がきっちりビジネスになっている可能性である。
媒体資料の部数は7万4267部。20代以下読者の半分が仮にジャニーズ目当ての読者としてカウントすると(実際は大半だと思われる、ざっと8%ほぼ6000部になる。
この売り上げの大きさはバカにならない。
ジャニーズを表紙にし続けることが、長寿雑誌の内容とは別に、重要なビジネスになっていたのだろうか? 読者の世代別データからは、その可能性が読み取れる。
少なくとも、事実として、休刊直前の週刊朝日は、高齢者向けコンテンツをジャニーズファン会報誌(に見える写真)で包んだ媒体、の様相を呈していた。
ちなみに、休刊号を購入して読んでみたが、ジャニーズを表紙にしてきた話について、とくに言及はなかった。
さらに、AERAも媒体資料だけでジャニーズとの関係をチェックをしてみる。
2023年1月新年号から、宮舘涼太(Snowman )ではじまり、7月17日号は松村北斗(SixTONES)と、現在進行形でジャニーズを全面展開する表紙作戦を敷いている。
//publications.asahi.com/ecs/backnumber/12.shtml
実際に並べてみると
1月2日-9日:宮舘涼太(Snowman)
1月16日:HiHi Jets、美 少年
1月23日:木村拓哉
2月6日:岸 優太
3月6日:永瀬 廉
3月20日:目黒 蓮
4月10日:櫻井 翔
4月17日:Aぇ! Group
5月15日:関ジャニ∞
5月22日:佐久間大介(SNOWMAN)
6月26日:木村拓哉
7月10日:道枝駿佑(なにわ男子)
7月17日:松村北斗
今年に入って、木村拓哉はすでに2回登場している。
週刊朝日とのダブりも多い。
通常、おなじ出版社の雑誌表紙でタレントが重なるのは、「事務所の強い意向」と「媒体の強い意向」が合致して「キャンペーン型」にでもならない限り、避けるのが通例だが(特定芸能事務所と「近すぎる」と疑われるので)、週刊朝日とAERAに関してはジャニーズ推しにおいて共同戦線を取っているように見える。とくに、岸優太、櫻井翔、なにわ男子、SNOWMAN、Aぇ! Groupは、今年になってどちらの雑誌表紙も飾っている。
AERAの場合、新年号から7月24日号までの28号中13号がジャニーズ。21号中14号の週刊朝日ほどではないが、ほぼ半数、2回に1回はジャニーズが表紙である。
で、読者層の分析。こちらも媒体資料だけをチェック。
https://publications.asahi.com/.../aera/aera_baitai.pdf
読者層 男女比は63:37。
ただし、男性と女性とでは年齢構成が大きく異なる。
男性の場合、10代2.4% 20代9.1% 30代6.2%で、40代35.4%がいちばん多く、60代以上25.6%、50代21.3%。
つまり、男性にとってAERAは中高年読者が中心の雑誌。
一方、女性読者は、10代12.2% 20代14.3%30代14.1%。
明らかに男性と比べて、若い層の読者が多い。
ちなみにいちばん多いのは60代以上が25%。
働き盛りの40代は18.4%、50代16%。男性と比べるとこの層が低い。
この数字をみると、AERAにおいても表紙にジャニーズを載せることで部数増が果たせている可能性がある。が、その内実は、当事者が語らない限りわからない。
男性に比べ優位に比率の高い、10代20代30代の女性読者。この数割が「ジャニーズ表紙買い」のお客さん、と考えるのが、妥当なところでは。
ちなみに、週刊朝日も、AERAも、ジャニー喜多川死去の際、表紙周りをふくめ、大追悼特集を行っている。
2023年8月4日時点で、ジャニー喜多川の性暴力問題は、国連人権理事会が乗り出す事態になっている。そして今回はほとんどの報道機関が報道している。
以下は「朝日新聞デジタル」からの引用である。
ーーー国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会のメンバーが4日、日本政府と企業の人権をめぐる義務や責任についての調査を終えたとして日本記者クラブで会見した。
中略
会見に臨んだのは、先月24日から日本を公式訪問していた作業部会の議長のダミロラ・オラウィ氏と委員のピチャモン・イェオパントン氏。 声明では、喜多川氏の性加害問題をめぐっては、被害を告白する人たちとの面談で「ジャニーズ事務所のタレント数百人が性的搾取と虐待に巻き込まれるという、深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」と記述。「日本のメディア企業は数十年にもわたり、この不祥事のもみ消しに加担したと伝えられている」とした。
そのとおりである。