栁澤研究室の研究内容
栁澤研究室では,「生体計測×ロボット」をキーワードに、現在大きく分けて、(1)教育応用を目的にした研究、(2)ヘルスケアを目的にした研究の2種類の研究を行っています。
(1)教育応用を目的とした研究
現在、人工知能や機械学習の活用は様々な分野で取り入れられており、理系・文系問わず、多くの大学で関連した授業が設置され始めました。
私たちは生産工学部機械工学科でも、関連した取り組みが行われておりますが、現在多くのAI教育はソフトウェアの世界で完結しており,実際にロボットなどを動かすところまではカバーされていません。よく映画やアニメにでてくるような人間のような賢いロボットを実現しようと思うと、ソフトウェアだけでなくハードウェア、さらにこれらの連携が重要になってきます。
もちろん、「フィジカルなAI」という概念が提唱されたり、ロボット×AIの研究が盛んに行われてはいます。しかし、例えば機械工学科で4年間学んでハードウェアの知識を身につけるだけでも結構大変です。今の大学側は、ソフトを教える専門家、ハードを教える専門家はいても、どちらも教えられることができる人やその連携を教えることができる人は非常に少なく、そういった教材もほとんどないのが現状です。
栁澤研究室では、この問題に対して、生産工学部のロボットエンジニア育成プログラムRobo-BEと連携して、AIとロボットを一緒に学べる教材の開発を行っています。 特に現在、強化学習という方法に注目し、シミュレーションから実機の制御まで学べるような教材の開発を行っています。
また、どんな教材がいいのか、効率よく学ぶために必要な要素は何かを考えるために、脳活動や心拍情報などの生体情報を利用した教材の評価を行っています。
(2)ヘルスケアを目的とした研究
私はD3までBCI(ブレイン・コンピュータ・インターフェース)という、考えただけでいろいろなデバイスを動かすことができたり、あるいは考えたことを読み取る装置の開発に関する研究を行ってしました。
現在では、BCIのノウハウをもとに、ユーザのストレス状態を評価する装置の開発を行っています。現在多くの企業でストレスチェック制度が導入されておりますが、多くの場合は質問紙による年1回の調査のみで、自分の状態を過少評価してしまい、正しい評価ができないことがあります。生体計測、特にストレスの影響を一番最初に受ける脳の情報からストレス状態を評価することができれば、より正確にその人のストレス状態を評価できる可能性があります。
ヘルスケア分野でのロボットの活用では、ペットロボット、セラピーロボットがあります。最近では、LOVOTやモフリン、Qooboなどが注目されており、今後も新しいロボットが沢山活躍していくと思います。
しかし、どういうロボットがよいペットロボット・セラピーロボットなのでしょうか?もちろん、人によって好みがありますから、正解というものはないかもしれません。しかし、すべてを設計者の感性に任せればいいというわけでもないと思います。
本物の動物に可能な限り似せたほうがいいのか?デフォルメしてキャラクターっぽくしたほうがいいのか?それとも架空の動物のほうがいいのでしょうか?どういった要素がストレス軽減効果につながるのか?高齢者にあったセラピーロボットとはどんなものか?など考えてみると沢山疑問が浮かびます。そういった疑問に答える1つのヒントとして生体計測を活用できるのではないかと考えています。
生体計測によって確認した結果をもとに、研究室のオリジナルのペットロボットを作っていきたいと考えています。