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dig範囲の狭いオタクによる #2023年Vtuber楽曲10選

 どうも、ヤンです。

 今回は上半期に引き続き野良猫のユウさんの企画に参加させていただきます!

 とはいえ、上半期で取り上げた曲をもう一度紹介するだけってのもアレなので、今回は下半期で新たに登場したオススメの10曲を踏まえつつ、最後に上半期と合わせて2023年の10選を発表したいと思います!

 私の上半期10選の記事はこちら!

 それでは参りましょう!!
(以下、敬称略で紹介させていただきます。)


下半期VTuber楽曲10選

 まずは、下半期にリリースされた楽曲の中から、10曲を紹介いたします!

① Mori Calliope 「未来島 ~Future Island~」

 『ONE PIECE』106巻 公式テーマソングとして起用された、Mori Calliopeによる日英詞ラップソング、「未来島 ~Future Island~」

 この曲に関しては、「ついにVTuberから『ONE PIECE』とタイアップする人が出てきたか…!」という驚きからピックアップしました。2022年にはAdoが映画『ONE PIECE FILM RED』の主人公ウタの歌唱役を務め、ウタの3D-CGモデルActiv8が制作したというニュースが話題になりましたが、VTuberが『ONE PIECE』とタイアップする日がこんなにすぐ来るとも思っていませんでした。

 そしてケンモチヒデフミの類稀なるプロデュース能力にも驚かされます。『ONE PIECE』エッグヘッド編の要素を押さえつつ、『ONE PIECE』らしい音楽とMori Calliopeが持つラップスキルの魅力を引き出すという手腕がすごすぎます。ちなみにホロライブの某海賊(?)がこちらを見ている気がするのは気のせいですかね?


② 長瀬有花 「むじゃきなきもち」

 続いてもビッグタイアップから一曲。チロルチョコ "きなこもち" 20周年記念テーマソングに選出された、長瀬有花「むじゃきなきもち」です!

 ねこみねこむらの2名からなるユニットcat napによるゆるくてもちもちな楽曲の世界観と、ボーカル長瀬有花特有の "だつりょく" 感、そしてタカハシ・サキが描く丸みがあってかわいらしいアニメーションの融合が最高すぎます。cat napと長瀬有花の共作は、大バズりした「とろける哲学」から始まり、「ラウベジ」、「みずいろのきみ」、「砂漠の水」(高城みよ編曲)と続き、本作で5曲目になります。安定感と信頼感のあるコラボですね。

 長瀬有花はチロルチョコをこよなく愛しており、2023年2月25日に配信された「ワールドナガーセ」ではチロルチョコの会社に潜入するなど、チロルチョコとまさしく蜜月の関係性を築いてきた長瀬有花。「きなこもち」「おもち」「きもち」などの語感を軸として展開されるチロルチョコらしい世界観のあるこの曲は、独特の浮遊感がありつつも耳に心地いいです。突然出てくるソクラテスさんも、共演しているもちくんも全員かわいい。


③ YuNi 「風味絶佳」

 今回のビッグタイアップタイトル、3曲目!TVアニメ『おかしな転生』エンディングテーマとして起用された、YuNi「風味絶佳」です。

 YuNiがアニソンを担当するのは2020年のTVアニメ「宇崎ちゃんは遊びたい!」エンディングテーマ「ココロノック」以来、3年ぶり2回目となります。YuNiの盟友YUC'eによる主人公ペイストリー=ミル=モルテールン目線のビハインドストーリーとお菓子作りへの情熱が読み取れる作詞と、Norによる「転生もの」「SFもの」っぽさを意識したと思われるキラキラとしたFuture Bassの作編曲が光る、聴けば聴くほど風味が増してくる名曲です。

 そして、YuNiの透明感のある歌声が、本当に好きです…!!あらゆる曲調に対してオールウェイズ正解を出してくるYuNiのボーカルには、本当に憧れます。幸い、この曲はカラオケで相当歌いやすい部類に入ると思うので、ぜひともマスターしたいところですね!


④ 七海うらら 「茜光せんこう

 今回のピックアップタイトル最後のビッグタイアップ曲は、フジテレビ系・全国ネット『世にも奇妙な物語’23 秋の特別編(以下『世にも』と称する)挿入歌"パラレルシンガー" 七海うらら「茜光」です。

 この曲は、『世にも』のオムニバスの一編、柴田勝家原作の走馬灯のセトリは考えておいての主人公、バーチャルアイドルの黄昏キエラの持ち歌として披露された曲となります。ちなみに、今調べたら原作小説がハヤカワ文庫公式noteにて冒頭部分が特別公開されていたことに気づいたのでぜひ読んでみてください。私も数年ぶりに小説というものを買って読んでみましたが、とても良かったです。

 私はドラマを通して、そして「茜光」を通して、バーチャルな存在として生きること、そして "死ぬ" ことはどういうことなのだろうか、と考えさせられました。この物語のように、近い将来バーチャルとリアルの境目はどんどん薄くなっていくように思います。そのような状況下において、VTuberの "死" とはなんなのか、"中の人" の存在とはなんなのか…まだ自分の中での結論も出ておりませんが、そういうことを考える一つのきっかけになったかと思います。個人的には、『ONE PIECE』に出てくる藪医者ヒルルクの「…人に忘れられた時さ…!!!」を思い出しましたね。

 そして、黄昏キエラの "ラストライブ" にてセトリの最後を飾った、「茜光」にも胸を打たれました。キエラの優しい声で、別れの挨拶のついて歌うバラードは、とても良かった。しかも、ドラマでは放映されなかった2番では七海うらら目線の歌詞となっており、それもまた素敵だなと。

 今回の『世にも』への出演および「茜光」の歌唱は、七海うららが「俳優」としてのキャリアを獲得し、彼女自身にとっても、そしてバーチャルの業界においても新しい選択肢を広げることになりました。現在では朝ノ瑠璃さんをはじめ声優として活動の幅を広げるVTuberも増えてきましたが、作品によっては俳優という選択肢も今後増えてくるのでしょうか。


⑤ 宝鐘マリン・Gawr Gura 「SHINKIRO」

 続いては、今年に登場したシティ・ポップを二つご紹介。一つ目は、宝鐘マリンGawr Guraの二人によるデュエット曲「SHINKIRO」です。

 初見の感想は、「令和の時代にこんなに良質なシティ・ポップが出るのかよ!」ですね!イントロのピアノに続く綺麗なコーラスワーク、宝鐘とGuraの二人による当時らしさを意識したであろう歌い方とハモリ、そしてサックスをはじめとした最高のブラスバンド…非の打ち所がない素晴らしさです。ところで、宝鐘はともかく、Guraはどこで日本のシティ・ポップというものを知ったのだろうか…

 そして、二人のなんとも言えない温度感で結ばれている関係性が伺える、歌詞とMVにも要注目ですね。考察は各々にお任せしますが、僕はこの曲とMVから二人の親密さと多少のてぇてぇ(意味深)要素を感じました。2023年は兎田ぺこら結ばれる曲も出していた宝鐘ですが、はてはこの人、各方面に手を伸ばしすぎな淫乱女なのか…?


⑥ TOKYO CITYPOP CANDY 「哀色ロマンティック (feat. RaNa)」

 2023年VTuberシティ・ポップ、二つ目の紹介は、TeddyLoidCarlos K.がメイン音楽プロデューサーを務めるプロジェクト、TOKYO CITYPOP CANDYより「哀色ロマンティック (feat. RaNa)」です!

 2023年の紅白歌合戦にてAdo」とゆずビューティフル」に関わったTeddyLoidと、2021年にTani YuukiW/X/Y」を編曲してバズらせたCarlos K.という日本が誇る最強音楽プロデューサーの二人が、日本のシティポップをアップデートしていくこのプロジェクト。そのオリジナル曲第三弾として、新人VシンガーRaNaを迎えて作られた曲となります。しかも、RaNaのママはYuNiを手がけた桜木蓮。ここに書いてあること、全部 "強い" ことしかなくて、もはや不安を覚えるレベル。

 そんな「哀色ロマンティック (feat. RaNa)」ですが、これはもう流石の一言というべきでしょうか。昔ながらのシティ・ポップらしいメロディラインや音色を残しつつ、ちゃんと「踊れる」曲としてエレクトロに編曲されています。そこに溶け込むRaNaの歌声は、透明感とオシャレが合わさっているので、適任すぎますよね。ネオンの光が揺らめく夜の繁華街で歩きながら聴きたくなる曲です!


⑦ 角巻わため 「What an amazing swing」

 続いてご紹介するのは、現在進行形で日本の音楽を揺るがしているエレクトロスウィングの使者・FAKE TYPE.と角巻わためがタッグを組んで生み出された曲「What an amazing swing」です。

 イントロから山崎貴大による上品なサックスが堪能でき、流れるようにトップハムハット狂作詞・DYES IWASAKI作曲によるFAKE TYPE.らしいボーカルパートに映るのが素晴らしいですよね。そしてそれを軽々と乗りこなしていくわためさんの歌がやばすぎる。この曲に合うような陽気さを維持しながら滑舌もちゃんと拾っていくスキル、ほんとすごいです。FAKE TYPE.の提供曲を歌っちゃうボーカリストを見るたびに、「この人すごいなぁ…」という念が増していくんですよね。

 ラスサビでは半音上に転調してさらに陽気に盛り上げながら駆け抜けていく、「What an amazing swing」。新年の景気付けにはもってこいの1曲なのかもしれません。


⑧ HIMEHINA 「愛包アイパイダンスホール」

 田中ヒメ・鈴木ヒナの2名からなるユニット・HIMEHINAの最新曲「愛包ダンスホール」は、今後のHIMEHINAのキラーチューンになる気がしています。

 この曲に見どころはなんといっても歌のリズム。その名前の通り、聴いていると自然と踊り出したくなるダンスミュージックに仕上がっています。しかも、歌詞も気持ちいいというおまけつき。「パイ」という発音を軸に、円周率の「π」であったり、乾杯の「杯」であったり、お菓子の「パイ」であったりとさまざまな方面に飛躍し、そしてそれに関連する要素を歌詞に目一杯取り入れていて本当に面白い。ところで、「ジョンレノンも愛包家」という情報はマジなんですか()

 そしてMVでは、HIMEHINAのバックダンサーとして、総勢19名もの親交の深いVTuberが集まっていることも注目ポイントです。HIMEHINAはこの曲の公開に合わせてインスト音源やMMDモーションも配布し、さらには出演VTuberにそれぞれのダンス動画を配布し自由な仕様を許可するなど、ムーブメントを作りにいく動きが目立ちます。こういう試みも面白いですよね!

 2023年10月には株式会社Brave GroupがHIMEHINAを運営する株式会社LaRaと経営統合し、LaRa社を子会社化するというビッグニュースも飛び込んできました。2社の経営陣対談では今後の展望についても語っており、2024年のHIMEHINAからは目が離せません!


⑨ 皇美緒奈 「星空の誓い」

 紹介する曲も残すところあと2曲。皇美緒奈 2周年記念ライブ「Affection」で初披露された「星空の誓い」は、この地球ほしの悠久さと彼女の慈愛を感じる、壮大なバラードでした。

 「星空の下で 待ち合わせましょう」という歌い出しから始まる歌詞は、路頭に迷っている人々すべてを、彼女の活動テーマである「慈愛」そのものによってすべてを肯定し、あたたかく包み込んでくれるような強さがあります。そして、6/8拍子のピアノ中心で形作られるゆったりとした美しい調べを、皇美緒奈のボーカルによって優しさと力強さを兼ね備えた雄大な曲に仕上げております。この曲を聴いているだけで眼前に一面の星空が広がる気がする。

 ライブで披露された時も、一音一音を大切に、大切に歌っていらっしゃったので、初見でありながら胸に響くようなパフォーマンスでした。晴れの舞台でどんどん披露してもらって、ファンの皆さんを巻き込んでどんどん成長していってほしいと思う歌です。


⑩ Midnight Grand Orchestra 「夜を待つよ」

 最後にお届けする曲は、Midnight Grand Orchestra「夜を待つよ」。この曲は、私が下半期で一番 "食らっちゃた" 曲と言って間違いないと思います。

 コンポーザー・TAKU INOUEとボーカル・星街すいせいの2名で結成された音楽ユニット、Midnight Grand Orchestra。「夜を待つよ」は、前作ミニアルバム「Overture」の楽曲群とはまた雰囲気を変えて、新しい切り口からJ-POPを変革しようという気概が見られた作品だと思います。

 語感を大事に作られたAメロに加えて、「夜を待つよ」と繰り返し歌唱するサビの構成は非常に印象的で中毒性が高いです。TAKU INOUEの音作りのセンスと歌詞の韻の踏み方の巧みさが光っていますよね。そして、星街に作詞を依頼したというDメロが、この曲の肝になっています。

唇でゆっくりゆっくり騙して
ぼくはポップでチープなふりして
真夜中までの夕暮れを泳いでは
もののけはうっそりうっそり笑って
導火線が燃える中で今
嘘をつくの 夜が来るまでは

Midnight Grand Orchestra 夜を待つよ 歌詞 - 歌net

 どこか官能的であるのに、夜が来るまで煮えたぎるハートを内に隠し持つこの描写に、猟奇的なサイコパスを感じます。星街のボーカルも「この部分を聴かせたい!」と感じるような、新境地に達した表現力を持っており、このDメロに本当に引き込まれました。歌詞も音作りもボーカルも並大抵の音楽人には真似できない作りになっており、初見時は本当に「やられた!」となぜか悔しがっていました。音楽作れるわけでもないのに。



2023年VTuber楽曲 特別賞

 さて、続いて2023年のVTuber楽曲を総括した10選を発表したいところなのですが、今年のリリースではないものの今年になってめちゃくちゃ脚光を集めた楽曲があるので、そちらのご紹介を先にしたいと思います!

特別賞 しぐれうい 「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」

 VTuber史上最も "バズった" 実績を獲得した2023年の大化け曲、しぐれうい(9さい)による「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」が、見事特別賞を受賞いたしました!

 私の前回のnoteでも紹介いたしましたが、「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」はVTuber曲のバズに変革をもたらした曲であると考えています。元々は2022年5月にリリースされたアルバム「まだ雨はやまない」に収録された曲だったのですが、2023年9月10日にMVが投稿されてからは、鰻登りの勢いでYouTubeのみならずTikTokをはじめとしたその他媒体でも多数の人に楽曲が使用され、Billboardのランキングにチャートインするほど注目を集めました。MVは年末時点で7500万回再生を達成しており、2024年内には1億回再生が確実に狙えるであろう伸び具合を維持しております。VTuber初の1億回再生MVがこれでええんか…?

 「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」の大躍進により、VTuber楽曲でもここまでバズらせられるという一つの "前例" が作られたのではないでしょうか。この曲をきっかけとしてVTuber楽曲の魅力に気づいた層が確実にいるはずだし、VTuber全体のリスナーが増えてバズる土壌が固められつつあると考えます。そして、このバズに感化されて、バズを目指してより "強い" 楽曲を作るVTuberが増えることを密かに期待しております。そして2024年は、ストリーミング再生で1億回再生を達成する曲が現れるのでは、と予言しておきますw


2023年VTuber楽曲10選

 では最後に、2023年VTuber楽曲10選を発表いたします!

 選出方法としてはこちらの上半期10選、そして今回の下半期10選から選ばせていただく形といたします。それぞれの楽曲に対して追加でコメントはしないので、ぼし私の評価が見たいと思った方は上記の記事でお読みくださいませ!そして、ページが重くなることを回避するために下半期楽曲はMVを載せません。

① 星川サラ 「恋の押し売り」

② えのぐ 「星は三度瞬く」

③ Nornis 「Fragment」

④ 七海うらら 「ダイヤノカガヤキ」

⑤ Mori Calliope 「未来島 ~Future Island~」

⑥ YuNi 「風味絶佳」

⑦ 長瀬有花 「むじゃきなきもち」

⑧ Midnight Grand Orchestra 「夜を待つよ」

⑨ 宝鐘マリン・Gawr Gura 「SHINKIRO」

⑩ HIMEHINA 「愛包ダンスホール」 


終わりに

 いかがでしたか?2023年もVTuber楽曲は豊作だったんだなぁと、書いていて気付かされましたね…そして同時に自分のdig範囲の狭さにも気付かされます(^^;;

 今年もいろんなVTuber楽曲について発信していきたいと考えています。ではまた次の記事で!

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