名古屋市のまち並み保存地区 第1号「有松」の伝統的建造物をマッピングしてみた
ありまつ中心家守会社の浅野です。
2016年7月、有松の町並みが重要伝統的建造物群保存地区に選定されたことはご存知でしょうか。通称、重伝建(じゅうでんけん)と呼ばれるこの取り組みは、文化財保護の観点から、日本の歴史的な町並みを面的に遺そうとするものです。その評価の対象は、建物や土蔵は当然のこと、門や塀、石碑といったものにまで及びます。
文化庁発表要旨によると選出の理由は下記のとおりです。
名古屋市有松伝統的建造物群保存地区は、慶長13年(1608)の尾張藩の移住奨励による集落の成立から現在まで、絞り染め(有松絞)を産業として継続し、東海道の旧の幅を残しながら、意匠に優れた主屋や土蔵を有する絞商の豪壮な屋敷構えと、諸職の町家が混在して建ち並ぶ特色ある歴史的風致を良く伝え、我が国にとって価値が高い。
なんと有松は、名古屋市が「歴史的町並み保存事業」で最初に取り組んだ保存地区です。昭和59年から数えて32年目にして、ようやく念願かなって文化庁に認められることができました。
伝統的建造物をマッピングしてみた
この「伝統的建造物群保存地区」と「伝統的建造物」は名古屋市によって公開されています。そこで『名古屋市有松伝統的建造物群保存地区保存計画(名古屋市教育委員会)』をもとに、東西南北のエリアでGoogleマップ上に伝統的建造物 A:建築物・門・塀とB:石積・石造物をマッピングしてみました。
元データはこちらから:
区域と制度>保存地区区域及び保存計画>名古屋市有松伝統的建造物群保存地区保存計画
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000080042.html
エクセルに打ち直したデータ:
マッピングデータをみてみよう
マップを見てみると、例えば、主屋や土蔵は北東ー南西に多く残っています。文化財に指定される大きなお屋敷には、さすがに複数の伝統的建造物が多くありますね。絞りの店舗であれば、タイミングよくお声がけすれば中を見せてもらえることもあるかもしれません。
藍は日焼けで色が抜けやすいこともあり、絞り屋さんは通りの南側に多くあったと言われています。一方、伝統的建造物とされる建物は北側にも点在しています。さらに、保存地区内のエリアによって歴史的な町並み/現代的な住宅の形成が別れています。これが計画的なものか、自然に残ったものなのかはわかりません。
石積や石碑は保存地区全体にまばらにあります。中央は新たに敷設された道路のため、その周辺には見られないようです。
有松の歴史的な建築物は、産業構造や生活様式の変化に伴って少なくなってきています。間口が広く奥行きもある有松の町家を活用しながら、地域の誇りを感じられる場が今求められています。
合同会社 ありまつ中心家守会社