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完璧たり得ないから人間って話。

ある秋の日。西日の差す南校舎の図書室前の4階トイレ。気怠げで今にも握っているブラシを滑り落としそうな眠気誘う放課後の掃除。
教室が立ち並ぶ2階のトイレは使用者が多く、昼休みの時には女子トイレでは大混雑が起き、「男子のトイレ事情は楽でいいな」とか思うけど、アレはアレで自分のイツモツを握らないといけないらしくそれはそれで嫌ではある。慣れるのかそれは?
さて、そんな2階とは2つ上の世界に住まいを構える4階トイレは、いくら図書室前といえどそれは図書「室」であって図書「館」ではなく、また移動教室が多かろうが移動先に該当する教室のおおよそは南校舎の3階や北校舎に集中しており、またアニメや漫画の世界ヨロシク屋上に出ることなんてない、過疎も過疎な4階のトイレなぞ普段遣いする人は滅多にいない。いるとするならそれは便所飯を食う人だろうが、便所飯を食うような人はこの学校にいるはずがない。もしいるとしても彼らは陽キャで形成された推薦入学の7組の一員であり、かつその見苦しく暑苦しく心苦しいノリについて行けなかった者であり、かつその類いと思われる計7人の被害者は2年生の夏の時点で全員脱落している。よってこの学校にそのような面子はいないのだ。いや、一つ下の学年にはいるかもしれないが、彼彼女はまだそのノリに喰い付こうと必死になっているのでまだ負け犬の如き便所飯を食う訳にはいかない。ワタクシは君達の健闘を心より祈る。
…まぁ便所飯を食うならワタクシは屋外プールに併設されている更衣室裏をオススメするが。彼処は人通りが滅多になくて落ち着きがある。夏は塩素の匂いが充満しているが、時過ぎて木の葉も散れば、青々とした水も葉緑体で濁っていき、それと共に塩素の匂いも薄れていく。海風が吹き届く我が校も、この更衣室裏なら十分潮風を防ぐことができる。


閑話休題過ぎた。


「神になりたいな〜」

そうほざくワタクシ。高校デビューを尽く失敗し、唯一その名残りであるコンタクトレンズのズレを鏡越しに覗き込む。公立ながら校則が緩く、髪の自由度に関しては近辺の学校と比べて郡を抜くレベルである。そんなこともツユ知らず、ワタクシの髪は量産型。ファションの「量産型」じゃなくてガチの量産型。まだ「オシャレ」を知らない側のしがない高校生。

「神?」

同じく掃除当番の友人が返す。水も捲かずに特に汚れが見当たらない部位をブラシで擦り続けて。かく言う友人は極度の右翼で、今では大学にて政治系サークルを立ち上げ意気揚々と取材を行っているほどの活動家?なんていえばいいんだろ?まぁ行動力の逞しい人である。

「そう神。でも愚かな愚民に親近感持ってほしいからポンコツな女神がいいな」

この時はちょうど別の友人に勧められたこのすばを見ていた時期である。引きこもりだったカスマ(原作準拠)に自己投影してしまった愚かなコミュ弱ことワタクシはアクアとのユニークに富んだ絡みに一抹の希望を抱く。駄女神、いいですね〜。

友人が言う。

「人は完璧たり得ない。完璧たり得たらそれは神。」
「神は不完全たり得ない。不完全たり得たらそれは人。」

どうした急に。まぁ極右翼だしこういうコト言うよなしゃーない。

とか言っているが当時のワタクシには中々の衝撃を与えた。

人は人の欠点を好む。付入る。窘める。宥める。
欠点を隠そうとする人もいれば、欠点を無くそうとする人もいる。欠点を埋めようと努力に徹する人もいれば、欠点を晒して保護愛を受けようと受けようとする人もいる。
かく言うワタクシは人のミスに関しては人一倍に愛着がある。誰かが忘れ物をしていたら愛おしく思う。誰かがお皿を割って謝っていたら愛らしく思う。
されど己が欠点は隠そうとする、埋めようとする。無いものと見なす。

見下している。

見下すことで満足している自分がいる。
見下すことで「自分が優れている」と錯覚させようとする。
見下されることに怯える自分もいる。
心の根底の無意識から。

この意識は神は持ち得ない。

神が具体的にどういったものかは知らないが。まぁ神なんて実物がない概念だし自分で作ることもできるが、というか作っていたが。そしてこの神はちゃんと殺したが。そう、ワタクシは神殺しとして全身の毛細血管にまで名を轟かせているのだ。ワタクシの二つ名にビビったかい?いい感じにクリチンがヒクヒクしたんじゃないかい?

何の話してんだ。

いやなんかね?さっきの「人は人の欠点を〜」から始まる文章さ、ワタクシっぽくなくね?と思いましてお口直しにと。

でも頑張って推敲を重ねてもさっきみたいならしくない文章しか書けなかったんだよな。ワタクシは「なぜポンコツな女神がいいか」を記そうとしているだけなのに。n度目の推敲でようやく一番まだマシな今の文章になった際はホッとした。

今じゃ何を書こうも心の中のポエマーが婉曲して「ノスタルジック」という特に意味も理解していない単語の本当の意味っぽい風に書くワタクシがいる。

でも実際それぐらい極度の右翼の友人が言ったことは身に沁みている。染められたって表現がベストか。

ん〜どうやってもらしくないなこの話題。

こんくるーじょん。ワタクシは自分より弱い奴が好き。


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