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【2021春ドラマ】テレ東系「珈琲いかがでしょう」
毎週月曜11時テレビ東京系列
原作:コナリミサト
監督・脚本:荻上直子
出演:中村倫也ほか
2話を視聴。
ドラマの情報が出た時点では、中村倫也さんがふにゃふにゃ微笑みながら世にも美味しい珈琲を入れてくれ、荒んだ女心を癒してくれるだけのドラマかな?と侮り、見逃しそうになったのだが(失敬!)、なかなかどうしてやはりコナリミサトさん原作と、飯と人間ドラマ映画には定評ある荻上直子監督の演出で引き込まれた。
コナリミサトさんの漫画は読んだことがない。
漫画界ではだいぶ前から注目されていた作家さんと認識している。「凪のお暇」のドラマも楽しく見ていた。豆苗が流行った。
中村倫也さんは「凪のお暇」でもメインキャストであったし、コナリ原作と相性がいいのかもしれない。コナリさんはあのほんわりした描線に似合わず、現代社会の大人たちを鋭く切りとっているなと感心する。
漫画原作ありきのドラマ化の場合、すでに絵として起こされている登場人物に3次元のどの俳優を当て込むか?という時点で、すでに企画側のセンスが伺えるが、主人公のフードトラックの移動珈琲店店主と中村倫也さんはビジュアル、ムードともにシンクロ率100%であった。
拝見した2話は、前半と後半で2部構成。
前半は、山田杏奈さん演じる田舎の美少女が憧れの東京に出てきて、一日の間に東京のキラキラとドロドロを体感し、気づきを得て、地元へ戻る。
後半は、前半のヒロインを東京に手引きした女:臼田あさ美さん演じる元画学生に焦点を当てる。夢を抱きキャンバスに向かっていた頃を振り返り、長年の間にくすんでしまった心の汚れを落とし、再起する。
前後半どちらにも、中村倫也さん演じる移動珈琲店店主が救いのきっかけとして手を差し伸べるというもの。
2人のヒロインに共通して投影される「東京の理想と現実」。
東京に育った者からしてもtoo cheapでもtoo deepでもないリアリティがほどよかった。
物語の焦点をブレさせず、極めて簡潔で適切な装置(キャストや美術、ロケ地)を機能させ描かれており、原作の良質さと荻上監督の腕の確かさを感じた。
テレ東の深夜ドラマは、サブカル枠として楽しいだけでなく、こうした丁寧な作劇がされるので、信頼を置いている。