【第1章インド猫と出会う】バルコニーに仔猫がやってきた
我たちの家は、インドの国立デザイン大学院の構内にあります。壁に囲われた構内には、犬、猫、猿、孔雀、大トカゲなど様々な生き物がくらしています。
家のバルコニーは、犬や猿が入りにくいように高い壁に囲われてちょっとした安全地帯になっています。そこに、毎日大きな猫が昼寝にやってきますので水くらい飲めるように、器に水を満たしておいてあげてあります。
そこにあるとき仔猫が二匹現れたのです。驚きとともに喜びがありました。
ちょうどそのとき、私(慎太郎)はインドに到着して一週間ほど経過していました。予想はしていましたが、47度に至る真夏はあまりにも過酷で外を出歩くのも大変で、しかもパートナーの志帆も大学のリサーチ出張で北の山岳地帯に出かけて留守で話し相手もおらず気分が沈みがちだったのです。
「うわー仔猫きちゃったよー」と思わずテンションがあがりました。その日以降、大きな猫の代わりに、今度は仔猫たちが昼寝をしにやってくるようになりました。なんだか山猫みたいな目と斑点のある仔猫だなと思いました。そんなことから、この仔猫たちにヤンマー(後にヤンマール)とミャンマーという名前を付けました。
目を合わせると、警戒するようなのでしばらく見られるかどうかのところから観察していくことにしました。生まれて数週間というところでしょうか。
そういえば、キャンパスの中を歩いている時に、仔猫らしき小動物が飛び跳ねているのをみたような気がします。母猫はどこでしょう。
どうやら多くの時間をこのバルコニーで過ごしているようで外は相変わらずの暑さでもあるので、不憫に思い始めて牛乳とビスケットをあげてみることにしました。すると、その中で一匹の仔猫が全部食べて、飲んでしまいました。生存競争がはじまっているのです。気が付くともう一匹仔猫も増えていましたが、一匹がとても強い。よく見ると、それはヤンマーです。
多分、一番先にこのバルコニーに入ってきたのもヤンマーでしょう。他の猫たちが遠くから見守っているなか、ヤンマーだけはミルクとビスケットをおくれよと近くまで来て訴えかけてきます。そしてあげようと近づくと「シャーッ」威嚇します。きっと一番強く生存力がある猫になることでしょう。どの猫たちも立派に育ってほしいものです。微力ながら力になれればいいです。
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