【映画レビュー2 】THE SHINING(シャイニング)【ネタバレ注意】
※今回私が見たのはアマゾンプライムビデオにある国際版(119分版)であり、次に紹介する予告CM(BD版)は元の北米公開版(143 分版)です。内容は20分以上カットされたシーンがあるため、その旨ご了承ください。
ホラー映画と気づかずに見たホラー映画の金字塔
どうも皆さんこんにちわ、映画のお供の飲み物はドクターペッパー、ヤミノツキシです。
今回、毎週土曜日に友人たちとアマゾンプライムビデオでウォッチパーティをしているのですが、その抽選会から漏れたものを一人で見ようと思って見たのがこの「シャイニング」でした。
事前情報はIMDbの評価がやたら高いとか、例の「ドアに斧を叩きつけて女の人が叫び、割れたドアの間から男が下卑た笑顔を出すシーン」(見出し画像のシーン)しか知らない状態。名作だというウワサだけが私の頭にありました。
つまりマジでホラーだなんて知らなかったんです!
知ってたら一人で見なかったYO!!
そんな状態で見て、そして見終わったわけですが、正直、この映画が評価される理由がよくわかりました。
ネタバレという名前のあらすじ
※ここから先は映画を先に見ることをお勧めします。
見た?
ほんとに?
一人の男が車を山奥に向かって走らせるシーンから始まります。男、主人公のジャック・トランスは冬の間閉ざされるホテルの、その間の管理人として職を得るため訪れます。
そこで伝えられたのは五か月?間、想像を絶する寒さがあるということ。あまりの寒さのせいでホテルが壊れるため、暖房を焚いて保持すること。その間、基本的にはここから出ることは難しいこと。
小説を書くため、それは都合がいいとジャックは了承をしますが、オーナーは言います。実は以前、同じように冬場の管理人を務めた男が気が狂って斧で妻と二人の子供を惨殺した上に自分も自殺したことがあったのだと。
ジャックは自分は大丈夫だといい、家族を連れて住み込みで働く生活が始まります。
さてこの家族にはちょっと変わった息子がおりました。名前はダニー。
彼は自分の口の中に「トニー」というお友達がいます。ジャックと妻のウェンディはダニーの「お友達」のことを子供らしい妄想癖だと思っています。
が、実際はダニーは『シャイニング』と呼ばれる能力者だったのです。
ダニーはホテルに行くのを嫌がりますが仕方ありません。
ダニーは尋ねます。「トニー、パパは採用されるかな?」「されたよ。もうすぐママに電話が来る」
ダニーの能力というよりも、トニーという超能力者がダニーの中に同居しているような描写がところどころに入ります。そしてダニーはトニーになぜ嫌がるのか尋ねると、トニーはダニーに不吉な”イメージ”を見せたのです。
そしてついに家族がホテルに到着した日から、トニーはホテルで数々の怪奇現象を目撃、体験することになります。
ウェンディとダニーに調理室や食糧庫を紹介するハロランは、ダニーが『シャイニング』であることに気づきます。なぜなら自分もそうだから。彼はトニーに「君は私とおなじ『シャイニング』だ」と告げます。そしてトニーの能力に未来予知があるということ、そしてこのホテルには「何か」あるということも。
そして始まる閉ざされたホテルでの生活。寒さから電話線が切れ、緊急時の無線しか使えなくなってしまいます。
そんな中、不吉なイメージを見るダニーはともかく、ジャックも執筆がうまくいかないストレスからか段々とおかしくなっていきます。そしてついには幻覚を見るように。誰もいないはずのバーでバーテンダーに愚痴をこぼし、妻には小説がかけなかったり、何かうまくいかないのは妻のせいだと当たり散らします。それはホテルにいる「何か」がそうさせていたのです。
強烈な寒波が襲ったある日、自宅にいたハロランは「不吉な予感」を感じてホテルに連絡を試みますが、電話は切れている。山岳(森林だったかも)警備隊に連絡をしてどうにか様子を探ってもらえないか頼みます。
そんな中、ホテルのバーを再び訪れるジャック。本来自分たち家族以外はいないはずのバーラウンジはどういうわけか大盛況で、バーテンダーはジャックを持ち上げます。いい気分になったジャック。そこで使用人の一人とぶつかり、服が汚れてしまう。謝罪し、化粧室でジャックの服の汚れを落とす使用人。その使用人が例の「一家惨殺した挙句自殺した元管理人」だとジャックは気づき、問い詰めますが否定され、管理人はあなただと返されてしまう。そして使用人は我々の世界を守るために、妻と子供に”躾”が必要だと説きます。ちょっと、強めの躾を。
さて警備隊は無線で連絡を試みますが、狂気に落ちて行ったジャックが無線装置を壊し、さらに誰もここから出れなくなるように雪上車も使えなくしてしまいます。
「何か」がいることに感づき始めた妻ウェンディ。ダニーを守るために頑張ろうとしますが、夫であるジャックが変わってしまったことに恐怖します。夫が籠って書いていた小説はすべて同じ文章で作られていました。
”All work and no Play makes Jack a dull boy ”
英語のことわざで「勉強ばかりで遊ばないと子ども(ジャックは男の子でも女の子でも使える)はバカになる」。日本語字幕では「仕事ばかりで遊ばない。今にジャックは気が狂う」と訳されていました。
ジャックが本格的にダメになってしまったことを悟った妻ウェンディ。そこにジャックがやってきます。恐怖に負けたウェンディは詰め寄るジャックをバットで殴り倒し、階段から落ちたジャックを食糧庫に閉じ込めます。
気が付いたジャックはここから出すように言いますが、ウェンディはなんとかダニーを病院へ連れて行くと告げます。ですがジャックは先んじて雪上車を使えなくしていました。「無線や雪上車を調べてみろ」
ウェンディが去った後、扉の向こうからジャックに(元管理人の)使用人の声が聞こえます。あなたはうまく仕事ができなかったようだというその声に焦るジャックはもう一度チャンスをくれと懇願します。
かくして食糧庫のカギは外され、狂気に満ちた男が解放されたのです。
疲れ切って眠ってしまったウェンディのところにダニーがやってきてトニーの声で言います。「REDRUM(レッドラム)」「REDRUM」「REDRUM」。ダニーは口紅で書きます。「REDRUM」。我が子の異変に気付いたウェンディは鏡で反対になった文字を目撃するのです。
「MURDER」(殺人)
ドン! と音が響く。
ドアに向かって斧を振り下ろすジャック。
バスルームに逃げ込み、そこの窓から脱出しようとするも、窓が半端にしかあかず、子供を逃がすのが精いっぱい。「行くのよ! 隠れて! 早 く!」
バスルームのドア越しに三匹の子豚のセリフを言うジャック。
再び振り下ろされる斧。ナイフを構えながらも、あまりの恐怖に悲鳴を上げ続けるウェンディ。「ジャック! お願い!」
そしてついに
ジャックは斧でぶち破った扉から顔を出し、言った。
「Here’s Johnny!」
以下略。
ヤミノ君の評価
この映画、正直、気になるところがかなりあります。
名作でたくさんの方が見たこともあって、ウィキペディアも充実しており、個人サイトやブログでも多々取り上げられていますが、もっとも自分が気になったのは
これ「シャイニング(超能力者)要る!?!?!?!?!?!?」
映画のタイトルにもなっているのに!
実はこの映画、原作とめちゃめちゃ違うらしいです。
原作とキャラ設定がかなり違うのと、さらに北米版にあって国際版にないシーンもあったりとで、肝心のシャイニングの設定が何だったのか? とても疑問に思います。なんなら蛇足です。フツーに呪われたホテルと幽霊の話で良かったというか、そもそも物語の中核はそこじゃない。
この話は、人が狂気に落ちるさまを描いたサイコホラーです。
ジャックの段々と狂気が満ちていく様。ウェンディの混乱。ダニーとトニー、そして彼らの見るイメージ。
それらが映像と効果音、BGMで掻き立てられ、見たあなたはきっと映像にひきつけられていたことでしょう。私はそうでした。
特に中盤、私がもしかしてこの映画はホラーなのでは? と思ったとき、まだ一時間も経っていないことにびっくりしました。濃密で、じわじわと、狂気が支配していく様はとても見応えという言葉だけで表せません。
私は映画を見るとき、一番評価に直結するのは設定とストーリーです。それで言えばこの映画はあまり良くありません。ですが、そんな欠点を覆い隠すほどの『狂気』がそこにあります。
あっちの国のホラー映画といえば金髪のチャンネーがワーキャー叫んだり、サメが出てきたり、ゾンビが出てきたりするようなもんばっかりだと変に思ってました。(そもそもホラー映画をそんなに見ないし)
びっくりどっきりじゃない、だがしかししっかりと、視聴者の精神も蝕んでいくようなそんなホラーでした。
ちなみに。
シャイニングの設定いらんやろ! って前述しましたが、原作だとこの設定非常に重要で、物語のラストにもしっかりかかわってくるらしいです。
あらすじで略した映画のラストにはまったくかすってきませんのであしからず。いやもうホンマにどうなってるの。
原作者が怒って設定に忠実なリメイク版映画を作るのも無理ないかな。
ストーリー・設定:★★☆☆☆(前述のとおり)
絵作り・演出:★★★★☆(CGや特殊効果なしでよくここまで)
演技:★★★★★(文句なし! すさまじいものがあった)
おすすめ度:★★★★★(まだ見たことない人はぜひご覧あれ!と絶対おすすめできる)
そうそう、近年になって続編ができたそうだよ。
このドクタースリープは、”どっちの”続編なんだろうね?
※「Here’s Johnny!」はアメリカの有名番組の司会者が登場するときに使われるセリフ。イメージしやすいのはタモリが「どうもタモリです」とにっこり登場するようなもん。そことそのシーンのイメージの落差も演出か。って話