【叫び①】連鎖退職を止めたかった

はじめに

これまでの人生の中でずっと、私は自分の思いを言葉にして上手く表すことができない。
そのせいで、あの時ああ言っておけばよかったと思うことがしょっちゅうあり、その度にムカムカしている。
(それが原因でいじめにあってきたのではないかと今になって思う。)
そんなことにエネルギーを使うのは無駄なことだと頭では分かっている。
しかし、感情が抑えられない。
これ以上溜め込むと狂ってしまいそうなので、あえてここで綴ることにする。
これをご覧になっている方はご不快に思われるかもしれない。
しかし、ひょっとしたら、あなたの周りでもあり得る話かもしれない。

以前の職場の状況

私が以前勤めていたのは某県の田舎にあり、3分の2が女性という職場。
大半の方は外のことを知らず、やっぱりうちの職場が一番という「現状維持バイアス」が強く働いていた。
いい意味でも悪い意味でも古き良き伝統を守っているといったところだ。
私もその職場で働き始めてから4年目で躁うつ病になり、1ヶ月ほど休職した。
復職して5年目のシーズンを迎えた時、私の同期&私より後に入ってきた人たちが毎年のように退職していることに気づいた。
しかも、いろいろな理不尽なやり方で自主的に退職を促されたという事例もあった。
納得がいかない。

ついに会議で叫んだ

5年目のシーズンが終わりを迎える年度の最終日。
職員研修が行われた。
このシーズンで退職された方はすでに新たな場所へ旅立ち、次の日には新たな方が入られる。
言うなら今しかない。
そして研修の最後に言った。

「私一個人として、皆様に申し上げたいことがあります。
私は今まで5年間務めてまいりました。
この5年間に私を含め15人の方がこの職場に赴任していますが、このうち7人が退職されています。
私も今までいろいろな職場を見てまいりましたが、これは前代未聞の異常事態です。
なぜこんな事になっているのか、全員で検証する機会をつくることを要望します!
一度倒れた私が申し上げる立場ではありませんが、私や〇〇さんのようなことがこれ以上起こらないよう、何らかの職場改善が今、必要なのではないでしょうか?
今ここで答えはいりません。
どうかご検討のほど、宜しくお願いします。」

でも、本当はこう叫びたかったと今になって思う。

<私一個人として、皆様に申し上げたいことがあります。
私は今まで5年間この職場で務めて参りました。
しかし、この5年間に私を含め15人の方がこの職場に赴任していますが、このうち7人が退職されています。
私も今までいろいろな職場を見て参りましたが、はっきり申し上げます。
これは、前代未聞の異常事態です。
このような事態が起こるのは、不透明な雇用システムに問題があるのか、本人の働く意識に問題があるのか、職場風土に問題があるのか、全員で洗いざらい徹底的に検証する必要があるのではないでしょうか。
だからこそ申し上げます。
全職員でこの検証を行う機会をつくることを要望・・・いや、次回の会議において緊急議案として発動します!

私だってこんなことを好きで言ってるわけではありません。
今の職場の状況を鑑みると、こうでもしない限り何も変わらないと思ったから申し上げているのです。
新たに職場にやって来られた方が毎年理不尽な形で退職され、残っている皆様方にさらなる負担がかかっていく。
これが健全な職場と言えるのでしょうか?
しかも、これまで退職された方の経緯につきましては、外部でよからぬ噂も流れています。
一度倒れた身で何を言ってやがんだと思われるでしょう。
だからこそ逆に、私みたいな人間が出ないよう、捨て身の覚悟でこの状況を止めたい!
強いて申し上げるなら、究極的に「この職場で働くとはどういうことか」、これを皆様方お一人お一人に問いかけたい。
本気で思っています。

繰り返し申し上げますが、私は捨て身です。
今ここで答えは必要ありませんが、何かございましたら直接私に仰っていただきたい。
何を言われようとも覚悟はできています。
いろいろなしがらみから、言いたいことが言えず、段々積み重なって、聞こえよがしの陰口や悪辣な嫌味となって跳ね返ってくる。
これがこの職場における最大の問題だと思っています。

明日から新しい方がこの職場に入って来られます。
たった1年こっきりとか、彼らが簡単に辞めることが無いよう、我々で環境づくりをしなければならないのではないかと最後に申し上げておきます。

以上、度重なる無礼の段、失礼致しました。>

波紋

この発言をした後、ある女性の同僚から一言。
「また話そう」
私と同じ問題意識を持たれていた方は他にもいらっしゃった。

しかし、デスクに戻ると反応は様々。
「あれはいかん」とお叱りを受けた。
睨まれた。
私の顔を見た瞬間に一歩引いてしまった。
ご自身なりの考えを仰っていただいた。
「よくぞ言った」と仰っていただいた。
中には、「薬が効きすぎたんじゃないか?」と言っていた方もいらっしゃったとか。

2−3日して上司から呼び出され、上司より一言。
「波紋が広がってるじゃない!」
そして、これまでに退職された方の経緯を伺った。
理不尽だと思う点は色々あった。
しかし、私がそこまで言える立場ではない。

当然のことながら理由も聞かれた。
実際は、職場イジメやパワハラの噂が外部で流れていると聞いたから、何とかしなければいけないと思って言ったと回答した。
上司は「そんなのはゴシップだ」と一蹴。
しかし、私が若手の退職に胸を痛めていたと解釈されたようで。
私もどういう経緯だったか忘れてしまったが、全職員が腹を割って本音を話さないと職場改善はできないということを語った覚えがある。
そんなこんなで、上司から一言。
「職員研修をやろう」
・・・ということになった。

その後

実際、この半年後に職員研修は実施された。
ただ、この職員研修が実施されるまでの間、若手の職員が一人休職されていた。
そんなこともあったせいかどうかわからないが、上司は私の発言のことを半年間、ずっと気にされていたとか。
ところが、実施されたのは中身のない話し合い。
こんなことなら私が企画・進行すればよかったのではないかと今になって思う。

結局何も変わらないだろうと思い、私はこの職場を7年で辞めた。

私の本当の思い

なぜ、後輩の連鎖退職を止めたいとあの時叫んだのだろうか。
それは、社会人1年目のときに味わった惨めな思いが根っこにあったからだと今になって思う。
社会人1年目の私は、有期契約で当時の職場に赴任。
しかし、どうしようもない奴だった。
穴があったら入りたいと思うようなことも散々やらかしていた。
このまま頑張れば、2年目からは正規雇用になるのではないかと思っていた。
しかし、そのためには改めて採用試験を受けなければならないと上司に言われた。
不安だった。
屈辱だった。
今となっては当然だと思うが、不採用。
暗澹としていた。
惨めだった。
その後は知人の紹介で、不本意ながら別の職場をご紹介いただいた。

しかし、私が最初の職場を辞めた年、父親が自殺した。
多額の借金を精算しなければならなくなった。
生まれ育った家から夜逃げもした。
惨めだった。
苦しかった。
辛かった。

私みたいな状況は実際はなりえないだろうけど、若い人たちが惨めな思いをする姿を見たくなかった。
それが、連鎖退職を止めようとした原動力になったのだろうと今になって思う。

彼らが新たな場所で幸せに生きていられますように。

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