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【ポケカ】黒炎の支配者 見どころ紹介

はじめに

黒炎の支配者、発売されましたね。
まさかのSV第3弾拡張にしてリザードンがパッケージということで困惑しっぱなしでしたが、終わってみれば151の内容を補完しつつ金銀要素を濃いめに入れ、そこにSVストーリーの中盤をドッキングしたテクニカルかつちゃんとした弾でしたね。当初は意味不明だったリザードンもアニポケなどとの大規模連携でしたし(この段を書いている時点でアニポケのリザードンはまだテラスタルしてないけど)(追記: 結局「なぜ悪テラスなのか」が明かされないままだけど)。


カプサイジ・スコヴィラン

同期のワッカネズミのせいでカプサイジが2匹セットで進化すると融合するポケモンみたいになってない!?というおちょくりは置いておいて、スコヴィランのテキストが良いですね。弱点と抵抗力を同時に計算するときの順序って大分基本的なルールながら滅多に発生しない状況ゆえに初心者に教えるものでもなく、じゃあ鋼相手にそうなってしまう草炎複合を刷りたくなったらどうするか?の答えとして技に抵抗力無視効果をつけるというのは本当にクレバー(クレイバーストのことではない)だと思います。あのゴルーグを生み出してしまったカードゲームとは思えません。そこまでするなら草炎複合なんて作るなよと言うのは勝手ですが、見たいじゃんね、草炎複合のスコヴィラン……。スコヴィラン(やフーパ)とストリンダーがシナジーするのとかも最高に悪人面で好き。

例のゴルーグ。自分への反動を自分の抵抗力で消してしまう。ルールミスの総本山。二度とこのような悲しい存在を作り出してはいけない。「原理上は攻撃で反動が生じるはずなのになぜかノーダメージで動き続ける古代遺物」というフレーバーだけは優秀かもしれない

キュウコン・ハカドッグ

急に数字で遊び出すじゃん。大好きなのでもっとやって。しかし『しにものぐるい』って海外版どうするんでしょうね。とりあえず英語版はUnfortuneに引っ掛けて『Un-four-two-ne』になると予想しておきます。

エンテイ

出た!非ルールのデメリット無し3エネ火力は基本的に色色無での110ダメージが限界に設定されてるのをなぜか3エネ60+特定色エネ数×20ダメージで脱法3エネ120ダメージ出してるパターンのやつ〜!

これホントなんなんでしょうね。「これ炎炎炎で120出るじゃん!」というまさにその気付きを大切にしている…?「色色無で120だと1エネトラッシュが相場なのに色色色で120だとノーデメリットかつエネ追加で火力が伸びる」と書くとすごい。

性能としては、自身を育てるだけではエネが余るようにデザインされているリザードンを意識した、エネ加速にはつきものの青天井……でいいんでしょうけど、面子がすごく結晶塔の帝王です。こっちのリザードンはなんか悪テラスしてますが……リザードンが結晶化したから結晶塔の帝王をオマージュした、ってコト!?願いを叶える結晶(未定)……繋がったな……。

当時は対になってるプロモが出ています

まあ真面目に考えるとこのフォーマットの元祖がライコウだから今度はエンテイにしたというのが自然でしょうか。こういう技って旧裏最初期は水タイプの専売特許だったんですが、スイクンって一度もハイドロポンプ系の技を持ってないんですね。確かにスイクンといえば熱湯もっと優雅な水の流れのイメージ。

ライコウ→ダークライ→エンテイの微妙な進歩。バニラのパワーラインに頭を押さえつけられています

ナミイルカ・イルカマン

『ゆうきのしんか』と称しながらベンチに退いてる奴より前に突き出される奴の方が勇気を要求されるだろ!というおちょくりは置いておいて、『ジャスティスキック』がちょうどエクスレッグの『アサルトキック』と対になってる感じがして、イルカマンのキックへの馴染みのなさを加味してもなお好きです。ご存じ『しゅうげき』、昔はたねポケモンの持つアサルトサンダー系の条件厳しい版だったんですよね。この辺は意図的にごっちゃにしている感があります。ベンチから出てくるのも進化するのも「急に出てくる」ことに変わりはありませんからね。

いろいろな襲撃のかたち。アブソルの画質が悪いのでしゅうげきのテキストを追記しておくと
"このワザのダメージは、この「アブソル」を手札から場に出した番だけ、「40」になる。(対戦のスタートのときに出していた場合は、そのまま。)"でアサルトサンダー系の条件を内包しており、「その番にカードが場に出ている」を条件にしているという点では効果が変わった後のしゅうげきと同じともいえる

ボルトロス

『あくてんこう』の命名が素敵。思えばこれまでボルトルネの「徘徊先の天候が変わる」っていう特徴が取り上げられたことはありませんでしたね。
(これ書いてて思ったんですが、LEGENDSアルセウスでコギトさんがボルトルネの場所を伝えるときに「(マップ名)が(天気名)なら(ポケモン名)がいるかものう」とあくまでボルトルネは対応した天気のときだけそこにやってきているみたいな言い方だったんですよね。もしかしたらボルトルネには広範囲の天気を変える力はなく、たまたま雷・嵐のときに姿を見るからボルトルネが天気を変えてるんだという神話が形成されたのかもしれません。「グラードンとカイオーガは実は戦っていない」とか「ディアルガとパルキアに時間や空間を支配までする力はない」みたいなのは角が立つけど「ボルトルネに広範囲の天気を変えるだけの力はない」ならまあそうか……で済みますからね(ひどい)。)

まあポケカのグラカイは古代の印と称してメタりあってるし、ディアパルは本編の比じゃないぐらい時空をいじり倒してる(流石に心臓や呼吸を止めたら時が止まったり空間が乱れたりはしない)し、ボルトロスが現に悪天候を発生させているんですけどね。『あくてんこう』の命名と効果の噛み合わせもなかなか良好で、例えば『ふぶき』のベンチダメージを無効化できますし、レーザー系の狙撃部分を消せるのは雨による減衰っぽくて好きです。

ストリンダー

音楽性は違う

ベンチのタイプ数を参照するやつ、直近のダイハーモニーから命名の音楽要素を受け継いでいるのが面白いですね。ハーモニーからミキシング(たぶん)にシフトしたのがニンフィアとストリンダーの違いっぽくて楽しい。スコヴィランは顔が2つあるので2パートを担当できるというわけですね。

ピィ

今弾は151に興味を引かれた層を表紙のリザードンで釣りつつ、

  • リザードン・ピジョットなどの初代進化ライン補完

  • キレイハナ・エーフィブラッキー・ハッサムなどの金銀追加進化による初代進化ライン補完

  • バンギラス・ヘルガーなどの金銀ポケモン

を重点的に収録することで151から次のステップに進ませる意図が見えるのですが(幻視かも)(特に事前公開された範囲だとこれらが異常に多いのはガチ)、151の次の弾でピッピに進化できないピィを出すのはかえって混乱を生まないか!?ベイビィを出す絶好の機会ではありますが。

キラフロルex

『ダストフィールド』はどくびし(どくげしょう)が元ネタでいいと思うんですが、「有害物が足元に散らばってたらポケモンが毒になるとか以前にそもそもポケモンを出せないだろ」というツッコミを感じて好き。
それだけです。

ブロロロームex

効果だけ見ればアイテムボックスでありドンのふところそのまんまなんですが、パチリスと合わせてドンパチやりたいならたねであるドンカラスVで良いという状況に置かれているために、このブロロロームを使う≒前線で戦わせる、となっているのがスターモービル再現への綺麗な誘導になっていて面白いです。スター団の面々も作りかけのスターモービルを前に「ガチガチバンド4枚付けようぜ!」「れいかいのお面で4ハンデスうおお!」「いや現実的に無理だろ」みたいな会話をしてたんだろうなと思うと胸が熱くなるものがあります。またブロロロームのチューンアップ用道具の入手先がタウンデパート想定なのには妙な納得と面白さがあります。スター団ってバリゲードを学校の机で作るあたり文化祭ノリなところがありますし、スターモービルの材料をその辺の小さなデパートで買うのもあり得ない話ではありません。ピーニャくんはスーパーから段ボールを貰うときにちゃんと声を掛けるので偉い。

スターモービルの材料を集めに行こう

なお「ポケカにおけるドローは前進の表現」という説を採用した場合、ブロロロームの『ランブルエンジン』でブロロロームexにつけるための道具を引き込むのはちょうど「ブロロロームに乗ってブロロローム改造用のパーツを集めに行く」行為ということになります。青春アオイハルトじゃん。

パフュートン

メスのカード化は初めて。
『えりすぐり』はペロリームの『においをたどる』と同じテキスト。えっ何で新技名つけたの!?パフュートンなんてまさに匂いを辿るのにぴったりなポケモンなのに!

……実はパフュートンに匂いを辿る設定はありません。グルトンがあれだけ匂いを嗅いで匂いを辿るキャラなのに、パフュートンになると香りを発する側面しか言及されなくなっちゃうんですね。「あくまで匂いを発生させるポケモンだけど『においをたどる』との関連は匂わせたい!(匂いだけに)」という開発の葛藤が垣間見える面白い事例です。

オルティガ

ヴェンディリオン三人衆なんですかね〜、これ。
「オルティガはヴェンディリオン三人衆を元ネタにしているかどうか」を判断する上でまず問題となる「ポケカがシステムの基幹以外でMTGをオマージュすることがあるのか」ですが、これにはランタンコントロールを明らかに意識したランターンがレジェンドとして存在しています。

直近でも戦隊の鷹っぽいカラミンゴが話題になっていましたが、あっちの方はなまじカラミンゴ・『だんけつのつばさ』のフレーバー及びメカニズムと噛み合っている(つまり『だんけつのつばさ』のトラッシュに溜まっている鳥ポケモンで一斉に攻撃する技というおそらくのコンセプト・カラミンゴのフラミンゴらしさ・カラミンゴが手札に集まってくる様子の三者はフレーバー的によく対応しており、カラミンゴが手札に集まることで火力が上げやすくなるとシナジーもしっかりしているため、「カラミンゴは『だんけつのつばさ』とカラミンゴらしさのコンセプトありきで生まれたカードであって戦隊の鷹とは他人の空似である」という論が結構な説得力で展開できてしまう)せいで元ネタとまでは断定できないんですよね。鷹じゃなくてフラミンゴですし。

「だいたい同じ……?じゃないですか……?」「ちがいますよー……?多分……」

閑話休題。これは一応ポケカの記事ですから、ヴェンディリオン三人衆に馴染みのない方も多いと思いますので簡潔に解説しておきます。

ヴェンディリオン三人衆は「明るいおとぎ話」をテーマとしたローウィン・ブロックで登場したフェアリー(大事)であり、3マナ3/1瞬速飛行の優秀なスタッツにオルティガの効果(手札を見てから何も戻さず山札も引かせない選択ができる、戻したなら山札を引かない選択ができない、土地は戻せない、自分に対して使うことで手札交換にもできるのが相違点。列挙すると多いが、まあ実用上はそんなに変わらないと見てよい)がくっついた強力なカードです。カラミンゴに似たような能力を持つカードが多く存在する中で戦隊の鷹がピンポイントで元ネタだとされるのは戦隊の鷹が鳥であるという以上にそのパワーで一時代を築いた有名なカードだからで、同じようにドロー補償付きピーピングハンデスといえばヴェンディリオン三人衆なんですよね。さらにこのヴェンディリオン三人衆がオルティガと同じく「フェアリーのかわいくないとこ」を強調したキャラクターであることがオルティガの元ネタ説を補強しています。
ただ「1ドローを代償に相手の最も大事にしているカードを奪うのはオルティガの『金でなんでも手に入れる嫌味なおぼっちゃまな面』を表しており、これがデザインの出発点であってヴェンディリオンとは他人の空似」とでも何とでも言えますから、まあ何も断言できないですね。できなくて普通なんですけど。

不一致テラスタル

どんなチョイスやねん

ようやくタイプ不一致のテラスタルが登場しましたね。δ種がうんぬんみたいな話はもうし尽くされていると思うので、ここではテラスタルにかこつけてプレイヤーによるタイプの認識について総合的な話をしたいと思います。

ポケカの実物を「ポケモンのイラストが描かれたカード」の対極……「対戦に必要な情報が書かれたカード」として捉えたとき、最も大きな面積を占有しているのは、ポケモンのノーマルカードに関していえば、間違いなくポケモンのタイプです。ポケモンのタイプは右上のアイコンで示され、さらにカード名とテキスト欄の背景色としてしつこく示されています。このおかげで私たちは数十m離れた位置からでもポケモンのタイプを視認できるわけです。
一方でこの小さな小さなカードの中に対戦に必要な情報と、対戦に必要でないがカードに魅力を付加する情報を詰め込もうとしたとき、面積の大部分を無味な背景が占めるというのは非効率です。そういうわけでEX→GXでタイプを示す背景の面積が大きく削られて以降、ずっとこの面積は低迷してきた(※)わけですが、ここにきてexで大幅にこの面積が回復したのは、exということでEXやADVPCGを意識したとか、ADVPCGのレイアウトとの相性が良かったとか以上に、タイプ不一致テラスタルをそこそこの量を持つメカニズムにするために不可欠だったからではないかと私は疑っています。

(※)GX→Vで若干回復したのはテキスト量がGX技含めてモリッと減ったことと関係しているのでしょう。なおVMAXはあらゆるメカニズムの中でも最もタイプを示す背景が少ないですが、右上あたりの背景の色がタイプと一致するようになっているという涙ぐましい努力によってタイプを頑張って主張しています。

背景を削ってイラストを増やせば、当然タイプは分かりにくくなります。そこで意外な助けとなるのが技の要求エネルギーなのですが、これがポケモンのタイプと食い違い、うっかりフルアートになってしまうと、

こうなってしまうわけです。これを見て瞬時に水タイプと判断できる人は滅多にいないでしょう。「何タイプなのかわからない」じゃなくて「悪タイプに見える」というのがかなりヤバいです。おそらく開発側も非ルールのフルアートに慣れていなかった故の事態だと思います。剣盾シリーズにおいてはこの「自身のタイプと技の要求エネのタイプが異なるパターン」がそもそも排除されており、例外はなみのりピカチュウたち、進化ラインの都合があるポケモン、(複雑さの許容度が高まる)最終弾であるパラダイムトリガーでのピカ亜種たちのデザイナーズコンボのみです。そしてなみのりピカチュウのタイプが分かりにくいかというと、

VMAXの方は背景によるタイプの主張すら放棄しているわけですが、案外タイプが分かりやすい、はず

……これは案外分かりやすいのではないでしょうか。ピカチュウの黄色の主張が激しいですし、何よりピカチュウが電気タイプであるということは全人類が知っています。一方でコオリッポが炎タイプにテラスタルしているというのは全人類にとって初見の情報ですし、悪テラスリザードンは全身真っ黒になっているとかでもありません(SRはかなりそれに近いですが)。フルアートやそれに近いレイアウトなら頭上のテラスタルジュエルがよく見えるような構図にもできるでしょうが、例えばバンギラスはただでさえ縦長な体に加え頭上のオブジェまで見せることを要求されるわけで、これは相当難しい道でしょう。結局のところ二十ウン年前にポケカの仕様が決まったとき、「頭上に何らかの見せたいものを載せた多種多様なポケモンがイラストに収まるような形と大きさにしよう」とは考えられていないわけで、どうやってもボロが出るわけです。現状のレイアウトであれば、「どうしてバンギラスexは雷タイプなの?」と疑問に思うことはあっても(説明したれや)、雷タイプであること自体は確実に伝わりますからね。技名でもしっかりとテラスタル先のタイプを主張しています。「アツアツ」、「トール」、「ファントム」、「ダーク」……雷タイプを表す言葉一発目で出てくるのが「トール」なことなくない?まあベンチのダメカン参照という「怒り」と「雷」の共通点かつ固有名詞っぽさが薄いものとなるとトールになるんでしょうね。しかしバンギラス、いちげきから足を洗っても相変わらずいちげきの能力ばかりなのは流石の根っからのいちげきですね。サナギラスは破門です。そんなにベンチに反動を与えたいならドラピオンさんのとこの子になっちゃいなさい(※)。

追放。

(※)いちげきのポケモンには自身への反動やベンチのダメカンの参照が数多く存在するが、自身の攻撃の反動ダメージをベンチポケモンに与える効果は一切存在していない。自身への反動があるのだからベンチへの反動があってもおかしくなく、今弾のサナギラスとバンギラスexがそうであるようにベンチへの反動とベンチのダメカンの参照は相性がいいのにも関わらず、である。れんげきやフュージョンにもこの効果は存在していなかった(フュージョンのフーパVの反動はダメカンで、上手くこの効果を回避している)が、すべてのバトルスタイルのメタカードであるドラピオンV(特性名『ワイルドスタイル』)がこのベンチへの反動ダメージ効果(自身に反動が行くよう選択することもできる)を持っており、味方に損害を与えながら戦うやり方はいちげき以上に荒々しいものであり、あらゆるバトルスタイルに反するものであるという新事実が明らかになった。なおこの段の内容に関して公式から一切の説明はなく、すべて私の推測である。ここまでしっかり筋を通しておいて黙秘する公式、怖すぎ。

おわりに

特に最後に言いたいこともないのでヌルッと終わります。お疲れ様でした。
アニポケ新新無印のナンジャモ回、ナンジャモのジムチャレンジを忠実に再現した結果「こんな企画側から見て面白いわけねぇだろ」感まで原作通りで面白かった(日記)。

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