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【インタビュー】THE POLICEスチュワート・コープランド 2007年

2007年4月1日、映画『ポリス インサイド・アウト』プロモーションで来日したスチュワート・コープランドとのインタビューです。
この日はTOHOシネマズ流山おおたかの森で舞台挨拶をするというので筑波エクスプレスではるばる行きました。なんだか舞台挨拶の通訳がいないというので急遽通訳をして、その後にインタビュー20分の筈だったのがスイッチが入って、1時間以上のトークに突入。その日の午後パンクスプリングでゲストDJをやるので「お前も来るだろ?」と言われて車の中でさらにトークを繰り広げ、それから幕張で一緒にランチをして、さらにいろいろ話してくれました。
自分の音楽ライター人生で最もエキサイティングなインタビュー経験のひとつでした。
 
このインタビューは当時TONE誌に掲載されましたが、ここで公開するのは編集前のノーカット・ヴァージョンです。
 
この後スチュワートとは2017年、スーパーグループGIZMODROMEのときにインタビューしており、このときもいろいろ面白い話をしてくれたのですが、本記事のときの妙なテンションの高さはなかったです。
https://www.barks.jp/news/?id=1000148487
 
 
●あなたが『ポリス:インサイド・アウト』の素材をスーパー8mmで撮影していたポリス現役時代の1970~80年代には、"再結成"や"再評価"というものはなく、老いたロック・アーティストは消え去る運命にありました。たとえばエルヴィス・プレスリーやファッツ・ドミノの新作に期待する人なんかいませんでしたよね。
 
そうだな。今では年寄りがクールだってことになってるけど、1970年代にオールドスクールであることは、死を意味した。ポリスがデビューした頃、俺たちはみんなパンクのティーンエイジャーよりも歳をくっていた。だからみんな年齢を隠して、若いふりをしていたんだ。スティングは俺に対しても年齢詐称していて、1歳サバを読んでたんだ。フランスに行くとき奴のパスポートを見て、「おいてめえ、騙してやがったな」って。1977年のことだったから、ポリスを始めて1年間も俺のことを騙してたことになる。
 
●ポリスは全員過去にバンド経験があって、キャリアを積んでいましたからね。
 
うん、それが俺たちとU2とかの違いなんだ。U2は同じ村に住む田舎者4人がバンドを組んで成功した例だけど、俺たちは他のバンドがコケて、それで心機一転新しいバンドを組んだ。どちらが良いというわけじゃない。ただポリスとU2はまったく違ってるのさ。
 
●どうして最近の音楽ファンは、オールドスクールのバンドの音楽を聴くのでしょうか?
 
俺たちの方が良い音楽をやっているから。
 
●それはまあ事実でもありますが。
 
ヒップホップやエレクトロニカなど新しい音楽は生まれたけど、ギター・ミュージックには現代でも需要がある。ギターをマーシャルのアンプに繋いでEとAとDコードを弾く音楽には魔力があるんだ。新人バンドはギターで新しいことをやろうとせず、昔のバンドがやってきたことを繰り返すばかりだ。だったら別に新しいバンドを聴く必然性なんてない、オリジナルを聴けばいいわけだし。だから俺たちのレコードは今でも売れ続けているんだ。それにもうひとつ、現代では音楽に選択肢が増えたということもある。70年代には、アメリカの一都市あたりひとつのポップ・ラジオ局しかなかった。でも今ではヒップホップ局、ヘヴィ・メタル局、ポップ局、カントリー局など、ありとあらゆるスタイルの音楽を専門に流す局があるんだ。だからポリスもイン・シンクもコールドプレイも共存できる。まあ実際には"最新のヒット"というのも過去の焼き直しが多いんだけどね。スペシャルズそっくりの新人もいれば、U2そっくりの新人もいる。結局ポピュラー音楽は同じところをぐるぐる回ってるだけの気がするよ。
 
●世の中にはポリスそっくりの音楽をやっている新人もいますが、彼らはあなた達より若くてプリティだったりします。そんな若手にはどう対抗しますか?
 
別に張り合うつもりはないけど、今の若手と俺たちが違うのは、俺たちには演奏テクニックがあるということだ。ポリスの3人の背景にある1960年代末から1970年代初頭という時代は、ロック史においてテクニックというものが重視された極めて短い期間なんだよ。1950年代から1960年代半ばまではエルヴィス、チャック・ベリー、ビートルズ...技術的に語るべきことのない時代だった。それに1970年代半ばになるとパンクの新しい波が来て、テクニックを持っていることはむしろマイナスになったんだ。俺たちがミュージシャンを志したのはその狭間の、クリームやジミ・ヘンドリックス、それからフュージョン・ミュージシャン達を目指して、ミュージシャン達が腕を磨いた時代だった。コールドプレイは俺たちよりプリティかも知れない。でも俺たちのほうがずっと演奏が巧いよ。
 
●あなたは映画の中で、カーヴド・エアーに在籍していた過去のことをネガティヴに語っていましたが、テクニカルな音楽を否定していたわけではないのですか?
 
カーヴド・エアーは俺にとって初めてのプロ・バンドだったし、学ぶことも多かったから、否定はしないよ。メンバー達も良い奴らだったしね。ただ、俺が参加した頃にあのバンドはゆっくり終焉を迎えつつあったし、時流にも合ってなかった。もう"終わった"バンドだったんだ。俺はそのエピローグに名を連ねただけだ。
 
●エピローグに名を連ねただけだったわりに、女性シンガー(ソーニャ・クリスティーナ)をかっさらって行きましたけどね。
 
ははは、その通り。
 
●現在ではオールドスクールのバンドは"クラシック・ロック"という呼称で有り難がられる風潮がありますが、そんな状況についてはどう考えますか?
 
うーん、別に何とも思わない。ただ、2007年にポリスを再結成させて良かったと思うよ。それ以前だったら俺たちは今ほどもてはやされなかっただろうし、もっと後だったら歳をとりすぎてワールド・ツアーをやる体力がなかっただろうからね。
 
●ピート・タウンゼントは「ポリスはクラシック・ロックなんかじゃない」と発言したそうですが、そのことについては?
 
その話は俺もどこかで読んだけど、彼の発言は曲解されてると思うんだ。ピートは別に俺たちのことを攻撃するつもりじゃなく、単に"クラシック・ロック"は俺たちより年上の世代のバンドに当てはまる定義だと言いたかったんじゃないの?「クラシック音楽とはバッハやモーツァルトを指すんだ。ストラヴィンスキーやジョン・アダムスはクラシックじゃない!」って言う人もいるだろ?それと同じだよ。ピートの発言に対して俺たちが反論すればマスコミは喜ぶんだろうけど、彼が喧嘩を売ってるとは思わないし、反論する理由もないよ。
 
●そうですねえ。
 
あっ、でもこれだけは言っておきたい。ポール・ウェラーはポコチン野郎だ。あいつ、何かのイベント会場でスティングのポスターを見かけて、ペッて唾を吐いたんだってね。あのファックな馬鹿で無能で糞なコックサッカーは昔からポコチン野郎だった。ジャム時代からちっこいチンポだったよ。で、その後に組んだスタイル・カウンシルでアイロンをかけたリーヴァイズなんか穿きやがって、もういいかげんにしやがれって話だよ。奴がポリスを憎んでいるのは、まず俺たちがあいつのメシの種を奪ったから。まあ俺たちは当時の連中全員のメシの種を奪ったんだけどな。ただ、セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズやクラッシュのポール・シムノンにはユーモアのセンスがあったし、笑って話が済んだ。でもポール・ウェラーはいまだに恨みに思ってるんだ。あと奴が根に持っているのは、NME紙上のディベートで、俺が奴のことをズタズタにしてやったことなんだ。「社会主義こそが正しい」とか抜かすから「バーカ、お前、資本主義者じゃん」って指摘したらムキになって「違う!」って反論してきたんで、「じゃあお前はローディーに自分と同じ額のギャラ払ってるのかよ」って言ったら「いや、ブツブツ...」ってボヤイてたよ。
 
●ワーキング・クラスであることをアイデンティティのひとつとしている彼からしてみれば、アメリカの政府関係者の家庭に生まれたブルジョワの元プログレ・ミュージシャンは格好の標的なのかも知れませんね。
 
あいつはワーキング・クラスであるのと同じくらいポコチン野郎だよ。...マスコミに向かって他のミュージシャンの悪口を言うときは、気をつけなきゃならないんだ。以前サンフランシスコでラジオに生出演して、グレイトフル・デッドの悪口を言ったら、電話がじゃんじゃん鳴ってきてね。サンフランシスコ中のファンが「生きて街を出さないから覚悟しとけ」って凄い剣幕なんだ。でもその後、たまたまジェリー・ガルシアと出くわしたら、すごく良い人で、ちょっと反省したよ。デッドの音楽は今でも好きじゃないけどね。フォリナーのときもそうだった。「あいつら最低。ブブッ」とか言った直後に会って、すごく紳士だったんで、罪悪感を抱いたほどだ。でもポール・ウェラーはポコチン野郎だ。もうひとつ。ポール・ウェラーは偽アメリカンなんだ。アメリカ音楽をパクってる生っ白いイギリス小僧のくせに、アメリカ人のことを批判したがる。アメリカ人が奴のことをどう見てるか知ってるかい?「お前、生っ白いイギリス小僧じゃん。ファック・オフ」だ。
 
●イギリスのロック・ミュージシャンの大半がアメリカの音楽をパクっていたのではないですか?
 
うん、確かにビートルズはチャック・ベリーのリフをコピーしていたし、ジョン・メイオールはアメリカ黒人のブルースを演奏していたけど、そんな影響を公言していた。でもポール・ウェラーはアメリカ人を小馬鹿にしたようなセリフを一丁前に吐きながら、アメリカの音楽をパクっているんだ。もう一度言おう。ポール・ウェラーはポコチン野郎だ。...あースッキリした。さあ、インタビューを続けようか。
 
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