【インタビュー】METALLICAカーク・ハメット 映画マニア・インタビュー 2013
2013年8月、サマーソニックの楽屋で『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』公開タイミングに合わせたインタビューでした。初出は映画秘宝誌。
同じ日にSPA誌でラーズ・ウルリッヒにもインタビューしました。この記事はkindle unlimitedで読めます。
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●執筆者紹介:
カーク・ハメットに「ナガイ・ゴウと一緒にやっていた漫画家で、ギーガーっぽくてニンジャが出てきて、サニー・チバ主演で映画化された」と言って石川賢『魔界転生』をあげたら、喜んでいました。なお『バイオレンスジャック』『デビルマンレディー』のオチはまだ知らないそうなので、彼の前でネタバレしないように。
↓本文
世界最大のメタル・バンド、メタリカが映画界に殴り込みをかける。全世界で1億枚以上のアルバム・セールスを誇り、今夏の『サマーソニック』フェスティバルで堂々ヘッドライナーを務めるなど、ロックの頂点を極めた彼らだが、初の劇場映画『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』は、コンサート・フィルムの域を超えたスペクタクルとなっている。2万人の大観衆を前にしたメタリカのライヴと、『クロニクル』『アメイジング・スパイダーマン2』などで売り出し中のデイン・デハーンが演じるドラマ・パートが交錯して、クライマックスへと向かっていくスリリングな展開は、ロック・ムービーの新たな道標になったといえるだろう。
メタリカで映画マニアといえば、ギタリストのカーク・ハメットだ。幼少の頃からホラー映画に傾倒してきた彼は蒐集家として知られ、自らの所蔵する小道具やポスター、おもちゃなどのコレクションの写真集『Too Much Horror Business』を刊行してしまったほど。『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』の製作スタッフにはクレジットされていないものの、彼が目を光らせているのだから、中途半端な作品になるわけがない!公開を記念して、カークに映画への情熱を語ってもらった。
●メタリカはこれまでビデオ/DVDなどで数多くの映像作品を発表してきましたが、『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』はそれらとはどう異なるでしょうか?
これまでの映像作品はライヴやレコーディングをそのままカメラで撮ったものだけど、今回は映画を撮影することを前提にして、そのために会場を押さえて、観客を集めたものだ。さらにライヴとドラマが同時進行する。大音量のロックや爆発が山ほどあって、3D/IMAXで見ると凄まじい迫力だよ。
●3D映画はよく見る方ですか?
『大アマゾンの半魚人』(1954)と『肉の蝋人形』(1953)は10回ぐらい3Dで見たよ。サンフランシスコに昔の映画を3D仕様でかける映画館があるんだ。一度そこで『大アマゾンの半魚人』を見ているとき、2階席から人が落ちてきたことがある。自分が座っている後ろの方ですごい音がして、ビックリしたよ。ショック・ギミックみたいなのかと思ったら、場内が明るくなって、誰かが転落したとアナウンスされた。あれは何だったんだろう。
●『黒猫』(1934)の上映会をグローマンズ・チャイニーズ・シアターで企画したり、古典ホラー映画へのこだわりがありますね。
『黒猫』は大好きな映画なんだ。ベラ・ルゴシとボリス・カーロフという、ドラキュラとフランケンシュタインの怪物の夢の共演というだけで凄いし、ドイツ出身のエドガー・G・ウルマー監督の演出も、アメリカ映画とは異なるユーロピアンな味わいがある。上映会は思った以上に大きなイベントとなって、ベラ・ルゴシ・ジュニア(息子)とサラ・カーロフ(娘)を呼んで、トークショーをやった。スラッシュ(元ガンズ&ローゼズ)やグレン・ダンジグ(元ミスフィッツ)、ジョン5(ロブ・ゾンビ・バンド)などの、ロック界のホラー好きたちが集まったよ。俺が所有する、ルゴシとカーロフがこの映画で着たコスチュームも場内で展示したんだ。もし上映会の第2弾をやるとしたら『ドクター・モローの島』を映画化した『獣人島』(1933)か、ピーター・ローレが主演した『狂恋』(1935)をみんなで見たいね。自宅でDVDを見るのももちろん良いけど、映画館の大スクリーンで見ると迫力が違うし、大勢の人々が集まって盛り上がるのが楽しいんだ。
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yamazaki666 blurbs & bollocks
音楽ライター山﨑智之の期間限定マガジン。新作記事・未発表記事・幻の発掘記事・てきとうな殴り書きなどを公開していきます。
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