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UDLDの正体

TL;DL
UDLDに関する技術解説はCisco機器であることが暗黙の前提となって説明されていることがあります。UDLD(UniDirectional Link Detection)とはCisco独自の機能であり、異なるベンダーのスイッチによる相互運用性はありません。また、Ethernet OAMに関するIEEE802.3ah規格とも異なります。

UDLDとは

UDLDとは何か「cisco Nexus9000シリーズ NX-OSインターフェイスコンフィギュレーションガイド」より引用します。

シスコ独自の単方向リンク検出(UDLD)プロトコルにより、光ファイバまたは銅線(カテゴリ 5 ケーブルなど)イーサネット ケーブルを使用して接続されたデバイスで、ケーブルの物理構成をモニタし、単一方向リンクの存在を検出することができます。デバイスで単一方向リンクが検出されると、UDLD が関係のある LAN ポートをシャットダウンし、ユーザに通知します。単一方向リンクは、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。

UDLD は、ネイバーの ID の検知、誤って接続された LAN ポートのシャットダウンなど、自動ネゴシエーションでは実行不可能な処理を実行します。自動ネゴシエーションと UDLD の両方をイネーブルにすると、レイヤ 1 の検出が動作して、物理的な単一方向接続と論理的な単一方向接続を防止し、その他のプロトコルの異常動作を防止できます。

UDLDはレイヤ2で動作し、異常検知によりポートをシャットダウンしたり、アラートを送信するアクションを可能とするCisco Catalyst及びNexusスイッチの機能です。

CiscoのUDLD機能はIETF RFC5171 に記載されています。しかし現在多くのネットワーク機器ベンダーは、UDLDのようなプロトコルを独自に実装しています。異なるベンダーのスイッチが相互接続されている場合、このようなプロトコル間の相互運用性はありません。

おそらく最も多く採用されているプロトコルはIEEE802.3ah規格となるEFM OAM(Ethernet in the First Mile / Operations,Administration, and Maintenance)です。EFM OAMは直接接続された双方向リンク状態を管理することでUDLDの機能を実現しています。ただし、EFM OAMで使用するPDUのフレームフォーマットは定義されているものの、やりとりされる情報の内容は自由に実装可能となっています。そのためベンダー各社が独自仕様でUDLDの機能を実装しており、やはり異なるベンダー間で相互運用性はありません。

IEEE802.3ah OAM PDU
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NAME                                                           |   DESCRIPTION        
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information                                                  |  OAM状態を送信    
Event Notification                                       |  Link Eventの送信   
Variable Request                                        |  MIBを要求        
Variable Response                                     |  MIBを送信        
Loopback Control                                      |  対向Loopback制御 
Organization Specific                                |  拡張用
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代替方法

少し脱線しますが、異なるベンダーのスイッチ間でIEEE 802.3ahまたはUDLDのようなリンクチェックを行う簡単な代替方法は、LACPプロトコルによるリンクアグリゲーションを利用することです。 LACPはリンクが相互接続されているスイッチ間でネゴシエーションを行います。これにより、相互がLACPコントロールパケットを送受信している場合のみ、リンクアップし続けることが保証されます。

参考