求む My familyヒストリー(戸籍解読編 明治19年式)
今日は、明治19年式の戸籍解読方法。
基礎知識講座として書いていこうと思います。
正直言いますと、この年代の戸籍を読み解く場合。1番難しいのは、今使われていない漢数字や、異体字、変体仮名、崩し文字を理解することです。
ただ、基礎としてやはり知っておいてほしいのが"続柄"の記載の法則だと私は感じています。今回はそこをクローズアップして、書いていきたいと思っています。
まずは、明治19年式戸籍の実物を見ていきましょう。
これは、私の実家直系さん。
高祖父母が載っている戸籍の実物です。
特別隠す必要は無いのですが、親類に怒られそうなので一部加工してみました。ご了承ください。
まずは、右から解説していきましょう。
右上の「除籍」のハンコの横に
”静岡県庵原郡”と書かれています、現静岡県静岡市清水区になります。
ここが、我が先祖の本籍地になります。
まず、読む場合は「戸主」と私が書いた部分を見てください。
全ての記載は”戸主”をベース(主語)で記されています。
本籍の下、前戸主=戸主が明治5年8月20日に、現戸主が家督相続をする前に戸主であった人物です。
あ、戸主というのは今でいう「戸籍の筆頭者」という感覚で大丈夫です。諸々違いは有りますが、戸籍を読むにはその程度の認識でOKです。
記載を見ますと『亡父』〇〇九郎左エ門ということで、戸主から見て、前戸主は父親で有ったことが分かります。墓石から、明治12年に九郎左エ門が没していることは分かっていますが。戸籍からは没年月日は分かりません。
※名字は隠してあります。ご了承ください。
ここまでで分かることは、父は九郎左エ門で、明治19年には既に亡くなっており。息子の戸主が家督相続したのは、明治5年ということです。
戸主の産まれは天保14年6月12日。長男さんだと戸籍を見れば分かります。
彼が生まれた頃は、遠山の金さんが活躍していた頃です(笑)
明治19年式を読む時は、出来れば一つ一つの記載を文字通りの情報として簡易家系図にしていくことをお勧めします。
ここまでの内容を書くとこうなります。
さて、次の読解に進んでいきましょう。
戸主の隣りに①と書いた方がいます。
母 亡父九郎左エ門妻 ○○(名前)
文政7年8月16日生
天保12年2月27日当郡同村 ○○浅五郎二女入籍
これが、次の人物の詳細です。
明治19年式は、全て頭に主語として「戸主の」を付けて読めば
ほぼ間違いありません。
「戸主の母で、亡くなったので前戸主の妻。
天保12年に同じ村の○○浅五郎さん宅からお嫁に来た。
(浅五郎さん二女)誕生日は文政7年8月16日」
ちなみに、赤い四角で囲まれた部分は抹消されています。
ここには、その昔「族称」がかかれていました。
今現在は、士族だろうが平民だろうが華族だろうが記述はプライバシーの観点から消されているそうです。時々消し忘れも有りますが。
話を戻しましょう。
ここまでで、上記の情報が抜き出せました。
思ったより、情報量が多いなぁと言う印象がありませんか?
逆算すれば、お嫁に来た年齢も分かります。
長男である戸主を産んだのは、お嫁入りの2年後だというのも
これで分かりましたね。では、情報を書き加えて行きましょう。私は説明用なので、簡易記載ですが生年月日や婚姻年月日を書くと整理しやすいでしょう。
では、次です。
戸籍には、記載する順番が決まっており。
戸主の親を書いたら、次は戸主の家族の記載になります。上の戸籍を見ていただければ分かる通り、②は戸主の妻。③は戸主の長女(続柄に戸主のと主語を入れてくださいね!)。④は、戸主の長男。
はい、ここまでが戸主を核とした『現在の戸籍』で、家族として印される部分です。では、書き加えて行きましょう。まあ、現在戸籍は夫婦を核とした未婚の子供までの戸籍ですから。前戸主と母親は別戸籍になりますが、ザックリとお話してますよ。
さあ、ここからが家制度が残っていた頃の戸籍の醍醐味です。傍系(家系図を書いて横に伸びていく血族)が加わって行きます。現在の戸籍には、この方々は乗らない決まりなのです。
子供は、結婚して独立すると新しい戸籍を作りますから親戚関係は広がりません。しかし、古い戸籍は分家しない限り、どんどん人数が増えていきます。
手持ちの戸籍では、53人が1つの戸籍に入っている物も有り。
ここまで大人数になった場合は、夫婦と子供と言うカテゴリーで1つの紙に書き出すのが最も分かりやすいです。
では、話を戻します。
では、戸籍を見て下さい。
夫婦と子供の後には、基本戸主の兄弟姉妹が書かれます。⑤、⑥を見て下さい。
主語を付けて、戸主の弟で、戸主の亡父九郎左エ門の二男、三男になっていると思います。確認して下さい。
では、書き加えて行きましょう。
※この場合、一般的な家系図を書く法則から外れた記載になりますが、気にしない方がよいでしょう。
最後に、⑦、⑧を書き加えます。
(この戸籍は2枚目もありますが割愛します)
⑦が、戸主の弟嫁。⑧が戸主の甥。
と言うことで、⑥の妻と子と言うことが分かります。
書き加えて完成です。
後は、分かるのが戸主の母①と同じで、戸主の妻と、戸主の弟嫁の実家が書かれています。ここの部分が、結構ややこしく悩む方がいらっしゃいますが。ここも、戸主を主語で書かれています。
ただし、実家についての記述ですから。実家の戸主を基準に読みます。
婚家の戸主を基準にすると、混乱しますから先ほどから説明した要領で読解してみてください。
例えば、佐藤花子さんの事項欄に「亡父山田太郎三女 山田ゆき姪 入籍」と書かれていたとします。
主語は山田ゆきさんです。
何も但し書きが無い方は、その家の戸主です。
佐藤(旧姓:山田)花子さんの、お父さんは亡くなっていて太郞さん。花子さんは、太郞さんの三女。お嫁に来たときの戸主は、伯(叔)母さんで、山田ゆきさん。
こんな感じで読み解きます。
親が亡くなっている場合は「亡」が付いていることが多く。父親の名前がそのまま書かれている場合は、存命で父親が戸主である可能性が高いです。この時代は明確な記述ルールが全国で統一されて居らず、例外もあります。
基本的に、戸主が主語。
これを忘れなければ、明治19年式は読み込めると思います。文字は慣れるしかありません。
後は、文字を読めるようにすることです。
例を出した、私の直系さん戸籍。
戸主名前の上、事項欄を見てください。小筆で書かれています。このような記述を読めるようになれば、殆どの文字は読めると思います。異体字や変体仮名については、調べて覚えるこれに尽きます。
全て慣れです。今は使われていない文字や漢字ですので。
廿→二十 とか、廿の縦線1本増えた物が三十とか。
十は、拾と書かれている場合が有るとか。
五も、1番上の横棒が無い五もあります。
壱→1 のように、数字も違いますのでこれも覚えるしかありません。
こちらが分かりやすいと思います。
女性の名前で、読めない書き方は、殆どは変体仮名です。こちらが、とても参考になると思います。
慣れれば…と言うか覚えれば、スラスラ読めますのでご安心下さい。最初は調べて、何度か見ていれば覚えますよ。例えば、この方何と読むでしょうか。
里を崩した、変体仮名で「り」と読みます。
ですから「りよ」さんです。
気の強い、おばあ様だったそうです(笑)
次は、この方
私の、高祖母様ですが。
「ツ子」さんです。「つこ」さんじゃ無いですよ。
「子年」の「子」で「つね」さんです。
しっかり者で、優しいおばあ様だったそうです。
こんな感じで、読み方には癖がありますが。
学が無くても、慣れれば誰でも読めますのでチャレンジしてみて下さいね。以上、戸籍の読み方講座でした。
大変光栄です!ありがとうございます❤️