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先祖調べをされる若い方向け(知識編)
最近、SNSの先祖調べ界隈で高校生や大学生といった若い世代の『先祖探求』仲間を目にするようになりました。
私も、高校生の頃から先祖調べに夢中でしたので。
懐かしくも、嬉しくも感じたりしています。
そこで、墓守りなどを意識し始める前に先祖調べを始めてしまった若い世代に向けて「お墓」「菩提寺」「墓誌」「過去帳」などの概念をお伝えしたいと思います。
年齢と共に必要になり、自然と覚える訳ではないと頭がパニックになる部分だと思うので書いてみます。お役にたてると良いなぁ・・・とオバチャンは思うのです。
まずは、菩提寺。
この概念は、ほとんどの方が分かっていると思いますが。
ご先祖様がお世話になっているお寺になります。
お寺様というのは、職業(仕事)として、檀家(だんか)と契約を結び『先祖まつり』をしてくれています。
お寺の仕事としては、毎日お経をお寺であげてくださること。
亡くなった方を記録して、法事の頃になったらハガキなどで
「今年は○○様の○回忌です、法要をされる場合はご連絡ください」
と言う様な、お知らせをしてくださいます。
ですから、法事をしたり、お葬式にお経を挙げるのがメインの仕事になります。
檀家になったら、お盆やお彼岸の際にお寺にお邪魔して「先祖」にお経をあげて貰う為にお布施(お金)を渡します。
お布施の金額は、戒名の位に合わせて変わります。
信士・信女というのが、一番お安い戒名で(つけてもらう時もお礼を払います)、節目節目のお布施も一番安く済みます。
節目節目のお布施も、戒名で価格が決まってきます。
「院」が付いていたりすると、結構な金額をお布施として渡す必要があったりします。また、お寺の改装や建て替えの時も、戒名に合わせた寄附を求められるというのが仕組みです。
個人情報がうるさくなった昨今では、亡くなった方にも配慮が必要という認識が強くなり。最近は「檀家」になっている方が、許可を出さないと親戚であってもお寺側から『先祖の情報』を提供して戴くのが難しくなって来ました。昔は、菩提寺だったら親戚の物でも、意外とすんなり見せて貰えたようです。
また、お坊様もお仕事なので、無料でお願いするのはマナーに反しますので、お寺様にお願いをするときはお礼(お布施)を用意します。
お寺の格でも、お布施の金額が変わってきますので。
詳しくは、現在『墓守』をされている方に金額を確かめるのが一番です。
ここまでお話したので、お墓も絡めてお話をしていきます。
お寺様の認識での「家」という物は、現在の戸籍と同じです。
夫婦と未婚の子供+その方の分家していない直系先祖
これです。
ですから、お祖父ちゃんの弟(未婚の場合を除く)の家について聞く場合でも「親戚であっても、他人扱い」です。
例え、叔父さんの家でも「他人扱い」です。
親戚だから、教えてくれはNGです。
飽くまでも、お寺では「檀家は家単位」で考えますので教えて貰えるのは分家していない直系尊属・直系卑属だけだと思って下さい。
もっと言えば、お墓もこの単位で建てます。
私の場合。
祖父が二男で、兄がいました。
二人は仲が良く。
一緒に商売をしていて、孫が生まれても隣同士で住み。
孫も、隣りの親戚とは家族同然で過ごしてきました。
しかし、お墓は別です。
先祖代々の墓地は、天保時代からの記述がありました。
しかし、これは祖父の兄家の墓です。
祖父は二男ですから、曾祖父母やご先祖様のお墓には入れません。
二男宅は、お墓は無いものなのです。
祖父が亡くなった時に、初めてお墓が必要になり。
父が、本家(先祖代々)の隣りが偶々空いていたので。
その区画を借り、墓石を立てました。
(墓地は基本、借り物ですので返すことになります)
今現在、我が家の墓は祖父と祖母がはいっています。
本家の墓は、昨年墓じまいして無くなりました。
と言う事で、私がお寺様に先祖について聞き。
答えて貰えるのは『自分の家』である、祖父母からということになります。
曾祖父母から上の世代の情報は、本家を継いだ祖父兄の子孫の物です。
ただし、例外もあります。
お寺様がA家とB家は、家族同様と理解されていれば教えて貰える可能性もあります。我が家の場合は、いつも本家と一緒にお寺に行っていたのでお寺側も「家族同然」と分かっており、本家の情報は出して貰えました。
続いて、墓地について話しましょう。
若い頃って無意識に
「墓地ってお墓の持ち物で、お寺の敷地にあるんだよね」と私は思っていました。だって、法事になるとお坊様はお墓までお経挙げに来てくれるし。
まあ、その程度の認識でした。
しかし、これがまた全然違いまして。
・お寺の墓地
・公共墓地
・企業の扱う一般墓地
・私有地内
大まかに、こんな感じの違いがあります。
最近CMで良く見かける「海を望む風光明媚な墓地で安らかに」などと言うのは、一般墓地です。一般企業が墓地の区画を作り、区画の面積に合わせて販売している形です。
これも、墓を守る方がいなくなれば墓地を返却となるはずです。
そして、公共の墓地。
これは、市町村などが住民用の整備した墓地となります。
一般墓地と基本的には同じだと思って大丈夫です。
ただ、問い合わせをする場合は市役所だったりする場合が多いです。
そして、お寺の敷地にある墓地。
これは、文字通りお寺さんが檀家のために作った墓地です。
保全もお寺様がされています。こういう墓地は宗派の縛りがあったり。中々空きが無いなど。今は少なくなっている感じがあります。
最後に、古いお墓や。
それなりの先祖をお持ちの方ですと、自宅敷地内に大きな墓地をお持ちの方が少なからずいらっしゃいます。我が家の総本家も、このタイプです。
また、古いお墓は、山の中腹にあったりして。
今は行きにくくなり、誰も行かないので山から墓を降ろしてきて公共墓地に移すなどということも、少し前の時代まで頻繁に行われていました。
この際に、古い墓石をまとめて「先祖代々の墓」にしてしまったお宅が殆どなのでは無いでしょうか。この時に、古い墓石を残していると墓地の中に、小さな墓石がずらりと並んで居ることがあります。
今度お墓参りに行ったら、色々と見て見てください。
時々、そういうお宅もあります。
ここまで、墓地の話をしましたので続いて墓石の横に立てられる『墓誌』についてです。江戸期などは一人一つ墓を建てるのが当たり前の時代がありました。幕末くらいですと、夫婦墓という物もあります。
古い時代のお墓が20個も、30個もあると山の上ならまだしも。
公共の狭いお墓に移す際に、邪魔なので一つの墓石にまとめる。
そんなことをする場合、墓石が無くなってしまうと先祖の情報がわからなくなります。
そういう場合に、活躍するのが墓誌です。
薄い板の様に切った石に、古いご先祖様から順番に名前や戒名。
没年月日や年齢を書いて後世に伝えるというものです。
歴史のあるお宅では立派な墓誌がある事があります。
先日、高須クリニックの高須先生がご自身のお墓の墓誌をSNSに挙げてらっしゃいました。お墓もさることながら、素晴らしい墓誌に驚きました。
ご覧になった方も多いのでは無いでしょうか。
高須家墓誌なう pic.twitter.com/6GAmAuX53l
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) January 1, 2025
リンク貼って、怒られないかしら・・・。
高須先生、失礼致します。
墓誌という物は、我が家のご先祖様を書き上げたものですから。
お寺様とは一切、関わりがありません。
石材屋さんに「こう言う方を彫ってください」と、個人が発注するものです。ですから、石材屋に渡した情報が間違っていると(我が家のように)戸籍と墓誌の記述が異なるということが発生します。
我が家の場合、そもそも過去帳から写した情報かと思いますが。
「者つ」さんが、読めず「むつ」さんになっていたり。
「卅」が、読めなかったのか「廿」になっていたりと。
筆で書かれた過去帳が読めないと、墓誌の精度も落ちてくるようです。
墓誌と戸籍、どちらが正しい?と聞かれたら。
多分・・・戸籍なんじゃないですかね・・・と私は思っています。
※墓誌の無い地域もありますので、その場合は諦めるしか有りません※
最後に、過去帳についてです。
過去帳というのは、ご先祖様の没年月日をまとめて書き留めてある「お経」みたいな形をした小冊子と思って下さい。
ご先祖様を丁寧に扱われているお宅には、意外とあります。
家庭用の過去帳とは別に、お寺にも過去帳があります。
お寺様の物は、檀家さん全てを書き留めてある過去帳です。
「家ごと」で書いているお寺様もあれば、
「檀家全員」を一緒に書いて有る所もあるようです。
お寺様の過去帳は、檀家さんに「法事」の連絡などをするために使われたり。多分ですが、祥月命日や、月命日でもお経をあげて下さるために使われるのでは無いでしょうか。
祥月命日→亡くなった日
月命日→亡くなった日だけれど、実際に亡くなった日では無い。
例:2月2日没
祥月命日 / 2月2日
月命日 / 毎月2日
こんな感じになります。
仏教では、毎月「亡くなった日」も大事にする。と言う事らしいのです。
ですから、ご自宅用の過去帳は「日」ごとのページになっている物が多い様です。
1日、2日、3日と並んでおり。
その日に亡くなった方の過去帳を毎日開き、お経をあげるというお宅もあります。そういうお宅は過去帳用の専用の台(過去帳見台)があったりします。
先祖調べでは、本家筋ですと過去帳がお有りのお宅が多い様です。
お寺の過去帳は中々、教えていただけないので・・・。
まずは、本家筋の過去帳の有無を確認した上で、見せていただく約束を取り付けるのが一番手っ取り早いと思います。
分限帳や、宗門人別改帳などは、どこにあるのか。
誰が保管しているのか。
そもそも、現存しているのかすら怪しいですが。
過去帳は、必ず縁者が仏壇に置いて有りますから。
こんなに有りがたい物は有りません。
以上、若い先祖調べを始めた方が分からないであろう事を書いてみました。
少しでもお役に立てると嬉しいです。
間違いなどありましたら、是非ご指摘お願いします。
地域性などもありますので、教えていただけたら書き加えたいと思います。
よろしくお願い致します。
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