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診療記録のお話

今日は診療記録のお話です。
一般的なイメージでは、病院で診察した時に医師が書く「カルテ」だと思います。ただ、診療記録にはいろんな定義があり、狭義では医師の書くカルテ、広義ではレントゲンや看護記録などの診療情報全般を指します。
また、法律上では、診療録という用語が使われています(医師法第24条)。

この診療記録、元々は医師の備忘録的な意味合いで使われていましたが、今日ではより多くの価値を持つようになってきました。主に以下の7つがあると言われています。

診療記録の価値

1. 患者にとっての価値
 患者自身の診療の事実とその経過の記録であり、より良い医療を受けるための資料。
2. 医師にとっての価値
 医療業務を遂行する中で得た医師の経験、知見、技術の集積。
3. 病院にとっての価値
 医療機関の診療活動を評価するための情報源。
4. 法的防衛上の価値
 診療により起こりうる法的紛争における医療行為の適正を検証する資料。
5. 公衆衛生上の価値
 がん登録や各種疾患、死因の統計情報や公衆衛生上の調査資料。
6. 医学研究上の価値
 種々の医学研究における臨床データ。
7. 医療保険上の価値
 診療報酬請求の根拠資料。

特に、最近は診療記録の電子化が進んでいるため、そのための体制づくりや法整備が進められています。診療記録は個人情報の塊なので、電子情報の保存場所や管理方法等、検討することが多数あります。
日本では電子カルテが遅れていると言われていますので、早く環境を整えて本格的に導入していって欲しいですね。

主な診療録の記載事項

1. 入院目的
2. 主訴(患者が主に訴えていること)
3. 現病歴(今回病院に来た原因や経緯)
4. 既往歴(今までに患った疾患や治療等)
5. 家族歴(患者の家族の健康状態や死亡等の状況)
6. 生活歴(性別、年齢、職業、出生地等)
7. 現症及び身体所見(入院時の全身や各臓器の状態)


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