
第2回:看護師が他職種に転職したときのリアルな失敗談
はじめに
「看護師を辞めて違う仕事がしたい」「異業種で新しい挑戦をしてみたい」
こう思うのは、働いている多くの看護師が一度は抱える感情です。
しかし、実際に他職種に転職した看護師の中には、期待とは裏腹に失敗を経験し、「こんなはずじゃなかった…」と後悔する人も少なくありません。
今回は、看護師から他職種への転職で起こりやすい失敗談をリアルにお伝えします。
看護師が他職種で陥りがちな3つの失敗パターン
1. 激務で体力・精神を消耗する
看護師時代に「夜勤や長時間勤務から解放されたい」と思って転職したものの、結果的に同じくらい、またはそれ以上にハードな職場で働くことになるケースがあります。
事例1:事務職に転職したAさん
Aさんは「デスクワークなら楽そう」と事務職に転職。しかし、毎日膨大なデータ入力や報告書の作成に追われ、残業が続く日々。「座っているだけなのに、精神的な疲労が看護師時代よりも大きかった」と語っています。
事例2:営業職に挑戦したBさん
営業職に転職したBさんは、看護師時代にはなかった「ノルマ」や「人間関係の駆け引き」に苦労しました。体力的な負担は減ったものの、精神的なプレッシャーに耐えられず、半年で退職。
【ポイント】
看護師の仕事は肉体的にはきついですが、専門性が高いために「ルーティン業務が明確」な面があります。急変などがなければ、勤務中も平和に過ごせている方も多いのではないでしょうか(領域によりますが…)。企業でも突発的なトラブルはもちろんありますし、ビジネスマナーや関連法規等で縛られながら働く職種であれば精神的な疲労もあります。また、パソコンやスマホを貸与される企業であれば、仕事を自宅に持ち込めるようになるため、プライベートとの境目があいまいになります。
2. スキル不足で「社内ニート化」する
看護師は専門職であるため、そのスキルが他職種でそのまま活かせないことが多いです。その結果、「期待して転職したのに、任される仕事がほとんどない」という状況に陥るケースがあります。
• 事例3:未経験でIT業界に転職したCさん
Cさんは看護師を辞め、IT業界に未経験で飛び込みました。しかし、ITの知識が全くないため、簡単な雑務しか任されず、「やりがいがない」と感じる日々が続きました。周りとのスキル差に焦りを感じ、数ヶ月で退職。
• 事例4:一般企業の総務職に転職したDさん
総務職に転職したDさんは、事務作業が中心の業務に馴染めず、「自分が必要とされていない」と感じることが多かったと言います。
【ポイント】
看護師としての経験は貴重ですが、他職種ではそれを活かす機会が少ない場合があります。未経験の分野に挑戦する際は、「スキルの習得期間」を覚悟する必要があります。それに伴い後述する収入の減少は往々にして発生します。
3. 収入の減少で生活が苦しくなる
看護師は比較的安定した収入を得られる職業です。しかし、他職種に転職すると、スタートラインがゼロからになるため、給料が下がるケースが少なくありません。私もこの点で落胆した経験があります。
• 事例5:販売職に転職したEさん
Eさんは「接客が好きだから」という理由でアパレル業界に転職。ところが、看護師時代の給料より大幅に下がり、生活費のやりくりに苦労。「副業をしながらやっと生活できる状態に」と語っています。
• 事例6:アルバイトから正社員を目指したFさん
異業種に挑戦するため、一時的にアルバイトを選んだFさん。しかし、アルバイト期間が長引き、正社員の道が見えず収入も低いまま。「看護師に戻るか悩んでいる」という状況です。
【ポイント】
看護師の給料が企業より上がりにくいのは確かです。同世代の平均以上はもらえているのではないでしょうか。「夜勤をしてるから当然」「命に関わるから当然」ではあります。
企業は基本的に夜勤がなく、基本給が月々の収入になります。私は夜勤手当のない給与明細を見たときに「少な…」と思いました。給料が減るリスクを考慮し、貯金を準備するか、看護師の資格を活かせる転職先を選ぶことが重要です。
なぜ失敗するのか?原因を考える
1. 転職の動機が「逃げ」になっている
「逃げることが悪」というわけではなく、「今の職場が嫌だから」という理由だけで転職すると、他職種でも同じ問題にぶつかることが多いです。転職は癖になります。
2. 他職種の実態を知らない
イメージだけで転職を決めると、期待とのギャップが大きく後悔することに。看護師もイメージと違う部分は多々あると思いますが…
3. 看護師の強みを活かさない選択をしている
看護師ならではの専門性や経験を活かせる職場を探す方が、成功率は高いです。担当していた領域によっても異なると思います。
看護師は間違いなく多忙です。しかし他職種も多忙です。「慣れた働き方を変えてまでやりたいことなのか」を一度考えることが大切です。
また、看護師は夜勤で稼いでいるといっても過言ではないです。夜勤手当を超える基本給や福利厚生はなかなか出るものではないです。夜勤がなく月給が高い求人を見つけても「固定残業40時間込み」というのは多く目にしました。したがって、夜勤を避けて転職活動をすると減給は基本的に発生します。(周りの他職種に転職した看護師はほとんど減給しています)
「減給してまで転職をするべきなのか」を一度立ち止まって考えてみても良いのではないでしょうか。
次回予告
「じゃあ、看護師として転職を考える場合、どんな選択が良いの?」
次回は、看護師のキャリアを活かした成功例や、異業種転職の際のコツをご紹介します。
看護師の経験を無駄にしないキャリアの作り方、ぜひお楽しみに!
フォローして次回もお見逃しなく!