がん患者の「うさぎ（速い進行）」「かめ（遅い進行）」「鳥（転移が特徴）」の判断と過剰医療

2025年1月26日 17:24

医者が診断を通じて、がん患者の「うさぎ（速い進行）」「かめ（遅い進行）」「鳥（転移が特徴）」を判断することは可能ですが、完全に正確に分類するのは難しい場合もあります。この判断には、がんの種類、ステージ（進行度）、組織型、患者の体質や背景など、多くの要因が関わります。また、医師の経験や知識による個人差も影響することがあります。

1. 医師ががんの進行特性を判断する方法

(1) 病理検査

**生検（バイオプシー）**や手術で取得した組織を顕微鏡で調べ、がん細胞の形態や分裂速度（グレード）を確認。
- 速い進行（うさぎ型）: 細胞分裂が活発、悪性度が高い。
- 遅い進行（かめ型）: 細胞分裂が少なく、悪性度が低い。

(2) 画像検査

CT、MRI、PETスキャンなどを使用して、がんの広がりや転移の有無を確認。
- 転移が早い場合、鳥型と判断される。

(3) 腫瘍マーカー

血液検査で特定の腫瘍マーカーの値を測定し、がんの種類や進行度を把握。
- 一部のがんでは進行スピードや転移のリスクを示唆するマーカーがある。

(4) 遺伝子検査

がん細胞の遺伝子変異を調べ、進行の傾向や治療への反応性を予測。
- 例: 一部の乳がん（HER2陽性）や肺がん（EGFR変異）は進行が速い傾向がある。

2. 医師の判断における個人差

(1) 経験の違い

がん診療の経験が豊富な医師ほど、進行速度や特性を的確に判断できる可能性が高い。
一方で、経験が浅い医師や特定のがんに詳しくない医師では、判断が曖昧になる場合がある。

(2) 専門性の違い

腫瘍内科医や放射線腫瘍医、外科医などの専門分野により、診断や治療方針のアプローチが異なることがある。

(3) 解釈や治療方針の違い

同じデータを基にしても、医師によって解釈や治療方針の提案が異なる場合がある。
- 例: 進行の遅い「かめ型」のがんで積極的な治療を推奨する医師と、経過観察を提案する医師がいる。

(4) 最新情報の習得状況

医学は進化しているため、最新の研究や治療ガイドラインにどれだけ精通しているかが判断に影響する。

3. 患者ができること

(1) セカンドオピニオンの活用

医師の判断が分かりにくい場合や不安がある場合は、別の医師に意見を求めることで、より正確な判断が得られる可能性がある。

(2) 情報の収集

自分のがんの種類や治療法について信頼できる情報源を活用する。

(3) チーム医療の活用

がん治療には複数の専門分野が関与することが多い。腫瘍内科医、外科医、放射線腫瘍医、病理医が協力することで、より包括的な判断が可能になる。

4. 医学的限界

医師が「うさぎ」「かめ」「鳥」を完全に正確に分類することは難しい場合もあります。がん細胞の挙動は多様であり、以下のような理由で不確実性が伴います：

がん細胞は患者ごとに異なる性質を持つ。
進行が速いと思われたがんが急に停滞する場合や、逆に進行が遅いと判断されたがんが急激に悪化する場合がある。

結論

医師は、病理検査、画像検査、腫瘍マーカー、遺伝子検査などを駆使して「うさぎ」「かめ」「鳥」の判断を行いますが、その判断には医師の経験や専門性、最新の知識などが影響します。患者としては、セカンドオピニオンを利用したり、信頼できる医師を選んだりすることで、より適切な治療方針を見つけることができます。