ヒト発祥=直立二足歩行=(アフリカ大湖沼+半水生活)×数百万年
Hokuriku Projectの「ヒトの発祥(=人類の誕生)」仮説は次の通り。
◆解説
四足歩行動物が、直立二足歩行を獲得し、それが骨格や筋肉の進化をもたらし、定着するまでの時間(数十万〜数百万年)、体重を支えられる何かが物理的に必要である。①松葉杖など②手すり③水の浮力などがあげられるが、現実的には③水の浮力のみに限られる。つまり海か川か湖沼である。ヒトは海水に長期間浸かることはできないので、消去法で真水の川か湖沼が残るが、川は流される危険性があり、湖沼のみとなる。ヒト発祥の時空は、約1000万年〜600万年前のアフリカである。そこに湖沼はあった。
アフリカが人類発祥の地であることは既にほぼ定説となっているが、ヒトとチンパンジーの共通祖先の一部が直立二足歩行できるようになってヒトが分岐したのは約700万年前頃とされている。
ヒトとチンパンジーの共通祖先は、現在のチンパンジーの体長(63〜94cm)よりも更に小さかったと推定され、大型肉食獣の捕食対象であっただけでなく、雑食の他の類人猿にも食べられていた形跡さえある。
ヒトとチンパンジーの共通祖先のうちの一部が、大型肉食獣に追われて湖沼に飛び込み、なんとか危うきを逃れる経験を繰り返すうちに、世代を越えた教訓/智慧として、湖沼の岸辺で生活するようになった。
完全に水中で生活するわけではなく、岸辺や背の立つ深さの浅瀬での生活なので、これを半水生活と呼ぶ。
半水生活は生存に極めて重要な2要素を満たすことをもたらした。すなわち安全と食である。
安全は、単に大型肉食獣などから逃れるだけでなく、片手に枝、片手に石を持つなどすれば、逆に肉食獣を攻撃することさえ出来た。
食は、水産物である。森林や草原では木の実などが主食であり、まだ火を使うレベルには程遠い段階なので、高タンパクで消化の良い食を得ることは困難であったが、魚、貝、カニ、エビなどの高タンパクで消化の良い水産物を比較的簡単に安定的に確保することが可能となった。
このことがヒトの脳の肥大化をもたらした。ヒトの脳はチンパンジーなどと比べ3倍以上の、ある意味「異常な大きさ」であり、これこそがヒトに知性をもらたしたが、それは水産物による高タンパクで消化の良い食によるものであった。
子を産み、育てるという最も大切な営みの場が、背の立つ高さの浅瀬で行われるようになった。
ヒトの赤ちゃんが水中で生まれても窒息せず、水中出産が可能なのは、このことが原因である。
母乳を飲ませるのさえ、背の立つ深さの浅瀬で、だっこして行っていた可能性さえある。
こうした半水生活を百万年単位で続けることで、足の付く深さの浅瀬で、水の浮力の助けにより直立二足歩行の姿勢で過ごす時間が多くなり、それに適した骨格や筋肉に進化していった。
ヒトこそが、ダーウィンの進化論の最たる証左といえる。
直立二足歩行は次のような大きなメリットをもたらした。
喉が自由となり、発音が可能となり、言葉でのコミュニケーションが可能となった。
前足が自由になって両手となり、道具をつくるなどの細かな作業を行うことが可能となった。
大きく・重くなっていく脳を、縦方向に骨格と筋肉で支えることが可能となった。
また、ヒトとそれ以外の大きな違いは体毛である。数百万年もの半水生活はヒトから体毛を奪った。水中で生きるクジラやイルカは完全に無毛であるし、水辺で生きるサイもほぼ無毛であり、水中生活や半水生活は哺乳類から体毛を奪うのである。ヒトが無毛である理由も説明可能である。
その後、半水生活をやめて、通常の陸上生活を行うようになっても、既に骨格や筋肉が直立二足歩行に適したものとなっていたため、そのまま直立二足歩行が継続された。
以上の通り、ヒトとチンパンジーの共通祖先のうちの一部が、アフリカ大地溝帯で出来たアフリカ大湖沼での半水生活を、数百万年も継続したことにより、直立二足歩行を獲得し、ヒトとして分岐した。これがヒトの発祥である。(ゲノムが変わったからヒトとして分岐したのではない。直立二足歩行を獲得したからヒトとして分岐し、ゲノムは600万〜700万年かけてわずか1%強ほどだけヒトとチンパンジーの違いとなった、のである。)