市剣連会長挨拶
R5年3月19日
大和市剣道連盟会員の皆様
啓蟄も過ぎて雀がチュンチュンと鳴き、巣作りのために稲をくわえて飛んでいる姿が見られるようになる季節になります。
鳥といえば剣豪宮本武蔵が作画した枯木鳴(こぼくめい)鵙図(げきず)というのがあって、モズが描かれていますが、枯木に止まるモズが同じ木に這い上がってくる芋虫を見つめています。枯木に止まるモズは剣の道の到達点であり、象徴する姿ともいわれているそうです。また、芋虫はその高みを目指して一心不乱に這い上がっていく修行者の姿ともいわれています。千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とすべし。この構図は、静と動の対比でとらえられているともいわれ、次の瞬間に虫を待ち受ける運命を予測するとき、その均衡が破られる前の張りつめた空気さえ感じられると評されています。
さて、春の山の明るい様子を表した季語に「山笑う」とあるそうです。いっせいに芽吹いた木々が山を覆い、緑の力強さを得るさまであるといいます。剣道でも同じことが言えそうです。冬の稽古は肉離れを起こしやすく、体調を崩すことが多く、思うようにいかないことがあると思います。しかしながら、周囲も暖かくなってくる春、人間の体も芽吹き季節と一緒に清明する頃になります。冬の寒さに身をこらえ、我慢して稽古を継続してきた分、一層その成果もまた現れるようになるはずです。
さあ四月からの新しい風に心躍らせる覚悟を持ってまた稽古に励みましょう。会員皆様の益々のご健勝とご多幸を祈念いたします。
令和五年三月一九日 理事総会にて
大和市剣道連盟
会長 戸塚義孝