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MD未来設計図2 魔を刻まねば人にあらず
はじめに
はいどうも、やまきゃです。
突然ですが皆さん、《魔を刻むデモンスミス》というカードをご存じでしょうか?
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まごついてても仕方ないので、単刀直入に言います。
《魔を刻むデモンスミス》を採用していないデッキはデッキではありません。
これは ガチです。
一体どういうこと?
ではさっそく《魔を刻むデモンスミス》のテキストの方読んでいきましょう。はいドン。

ということでパッと見ただけではただサーチと蘇生ができる優秀なモンスターといった印象のカードですが、現代遊戯王をかじっている皆さんであればよくご存知でしょう。
当然ここに書かれている以上の動きをします。
では具体的にどんな事が起こるのか?見ていきましょう。
《魔を刻むデモンスミス》1枚初動の動き
まずは手札のデモンスミスの効果を使い、スミスを捨ててデッキから《刻まれし魔の詠聖》をサーチします。
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詠聖はデッキから悪魔族・光属性モンスターをサーチして手札を捨てる魔法カードなので、これを使いデッキから《魔轟神ルリー》をサーチしてそのまま捨てます。
そうすると、ルリーは自身の効果で蘇生できます。
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その後、ルリー1体で《刻まれし魔の鎮魂棺》をリンク召喚。鎮魂棺はリリースすることでデッキからデモンスミスをSSできるのでそれもやりましょう。
デモンスミスは墓地の光属性・悪魔族をデッキに戻すことで蘇生できる効果を持っているので、最初に捨てたデモンスミスを蘇生させましょう。今回戻すのはルリーでも鎮魂棺でも大丈夫です。(一旦鎮魂棺にしときます)
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そうすると、盤面にはデモンスミスが2体並ぶはずです。いきなりランク6にしてもいいですが、一旦この2体で《刻まれし魔の大聖棺》をリンク召喚しましょう。
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大聖棺は起動効果で墓地融合が可能なため、その効果で墓地のルリーとデモンスミスを戻し、《刻まれし魔ラクリモーサ》を融合召喚しましょう。
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ラクリモーサは融合召喚時に墓地か除外から光悪魔を回収か蘇生できるので、戻さなかった方のデモンスミスを蘇生しましょう。
そうすると、盤面はこのようになります。
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使い方1:素直に妨害を作る
さて、見てもらったとおりデモンスミス1枚からリンク2のモンスターとレベル6のモンスターが2体の合計3体並びました。
これを3対素材のアポロウーサにしてもいいし、ラクリモーサとスミスが悪魔族なので《DDD怒濤大王エグゼクティブ・シーザー》をエクシーズしてもいいです。
または、詠聖の墓地効果を使うことで3体を融合し、《刻まれし魔ディエスイレ》を融合召喚し、墓地の大聖棺を装備するのも良いでしょう。
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・アポロウーサによるモンスター効果3回無効
・シーザーによるSSするモンスター効果・魔法罠の2回無効破壊
・ディエスイレによる2枚までのなんでも無効
パッと思いつくだけでもこの中から好きなものを作ることができます。特にディエスイレは対象を取らない万能無効でありながら対象に取られないので、【神碑】のような対面にも大いに活躍します。
使い方2:ベアトリーチェを作ってわちゃわちゃ
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レベル6が2体いるので、《永遠の淑女ベアトリーチェ》を作ることができます。
ベアトはデッキの好きなカードを墓地に送れるので、《トリヴィカルマ》や《救いの架け橋》のようなカードを落とすことでさらに展開することができますし、2ターンかけて《トランザクション・ロールバック》と好きな通常罠を落とすということも可能です。
さらなる使い方として、ベアトリーチェでデッキの炎属性モンスターを墓地に送った後にベアトと大聖棺で《賜炎の咎姫》をリンク召喚することでそのモンスターを蘇生することができます。
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つまり、デモンスミスは「召喚権を使わない炎属性デッキの初動カード」にもなるのです。
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同じことが、《魔界特派員デスキャスター》を擁する悪魔族にも言えます。もし《スプライト・エルフ》が生き残っていたらレベル2モンスターも好きなように蘇生できましたね。
使い方3:盤面荒らし
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《魔を刻むデモンスミス》の②を見てみましょう。相手モンスターを墓地へ送るって書いてありますね。
これ、実はなんの損失もありません。
鎮魂棺や大聖棺には墓地からデモンスミスに装備できる効果が付いており、またその後場から離れても除外されたりデッキに戻ったりとか一切ないからです。
ただただ、鎮魂棺をだして効果で《魔を刻むデモンスミス》を呼び、墓地の鎮魂棺を装備するだけで相手モンスターを墓地へ送れます。
当然、その後上記のように展開をおこなってベアトなりシーザーなり作れます。一切消費もありません。
ほんとうに、ただのオマケで、相手モンスターを処理できるんです。
展開をすることにこだわりがなければ、ラクリモーサの代わりに《刻まれし魔ディエスイレ》を立てましょう。
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その後、ディエスイレと大聖棺で《S:Pリトルナイト》を作れば、ディエスイレでなんでも墓地送り&リトルナイトで1枚除外が可能。
つまり、デモンスミス1枚で召喚権を使わずに3枚のカードを処理できるのです。
ここがやばいよデモンスミス
1、召喚権を使っていない
はい。
先ほど紹介したデモンスミスの動きは召喚権を使っていません。なのでデモンスミスは他テーマの動きの邪魔をしません。
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召喚権を使わずに、1枚でシーザーやアポロウーサを立てられるし、それか初動となるモンスターを盤面に出せるし、あるいは相手のカードを処理できるんです。
デモンスミスで誘発を受けて本命となるテーマの動きを通しても良いし、テーマの動きを止められてからデモンスミスを動かしても良いです。
一応、過去にもこんな感じで「召喚権を使わない出張ギミック」というのはありました。
でもその中で「リンク数を稼ぎながら初動にも関わり場合によっては誘発ケアもする」カードというのはかなり限られますし、それができる《SRベイゴマックス》とか《クシャトリラ・フェンリル》はがっつり規制されてます。(なんならこいつらは条件を全て満たしてはいません)
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過去例外なく「召喚権を使わずに動けるギミック」というのは強力であり、その中でも「展開に制約がかからずまたテーマの初動にもなるカード」というのは許されていません。全部規制対象です。
デモンスミスとはそういうギミックなのです。それが無規制で使えてるんですから弱いわけありません。
2、デモンスミスはなんでもできる
そう、先ほど説明したようにベアトリーチェを使うことでデッキの任意の炎属性を落として咎姫で蘇生することができるんです。
炎属性が初動になるデッキなら、とりあえずデモンスミスを入れておけば良いんです。そしたら単純に初動札と貫通札が3枚ずつ増えるんですよ。
これが何を意味するのかというと、デッキに余計なカードを入れなくても済むってコトです。
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初動の枚数が少なくて《スモール・ワールド》や《ピリ・レイスの地図》などを積むデッキが過去にもあったと思います。
でもそういうカードは大抵の場合初動にしか関わらなかったり、初動カードと被ると手数にならなくって弱いというシチュエーションが多いです。簡単に言うと「役割が限定的でピーキー」なカードなんですよね。
じゃあデモンスミスは?というと初動でもあるし、誘発貫通札でもあるし、展開札でもあるし、捲り札でもあるんですよ。
しかも単体で完結していて、スモワみたいに中継用の余計なカードを採用する必要がありません。
つまりデモンスミスを採用しているデッキはその時点で、単一の役割しかもてないカードを採用している他のデッキよりも事故率も低ければ手数も多く捲れる可能性も高いんです。
3、引いていなくても強い
どういうことか?それは《閉ザサレシ天ノ月》のせい。
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こいつは効果モンスター2体で出せる光属性悪魔族であるため、そのまま《刻まれし魔の鎮魂棺》に変換することができ、デモンスミスにつながります。
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もちろんこのままではデモンスミスをただ場に出しただけですが、ここでモンスターをもう1体用意します。
すると、デモンスミスと2体で《刻まれし魔の大聖棺》をリンクできます。
そうしたら、大聖棺の効果で鎮魂棺と天ノ月を戻して融合し、《刻まれし魔ラクリモーサ》を出します。
ラクリモーサの効果で、墓地のデモンスミスを特殊召喚するのではなく回収。
今回はデモンスミスの手札効果を使っていないので、そのまま発動。《刻まれし魔の詠聖》をサーチしてそれもそのまま発動。《魔轟神ルリー》をサーチして捨て、その効果で墓地から蘇生します。
で、一旦盤面を見てみましょうか。
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面にはリンク2の大聖棺と、ラクリモーサ、ルリーでリンク数4。さらに墓地にあるデモンスミスの蘇生効果を使ってもいないのでそれも合わせればリンク数は合計5です。
最初に使ったリンク数は天ノ月を作るための2と大聖棺を作るのに使用した1で合計3。
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つまり、デモンスミスというギミックは引いていなくともデッキに採用しておくだけでリンク数が3から5に増えるのです。
これはもう明確にインフレ要素です。
過去規制された出張ギミックのなかでもフェンリルやベイゴマは素引き前提で、【勇者】ですら墓地へ送るにはケルビーニを経由する必要がありデッキを選びます。
ところがデモンスミスは《閉ザサレシ天ノ月》のおかげでリンク数が3あれば引いていなくとも展開に絡ませることができ、リンク数を増やしてくれるのです。
条件があまりにも緩くかつリターンが大きいこの要素により、デモンスミスはただの出張ギミックにとどまらずデッキを構成する要素として成立するのです。
4、ストレスのない柔軟なギミック
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例えば、デモンスミスと詠聖を両方素引きしてしまったとしましょう。
こうなると詠聖の2枚目などを採用してない限りデモンスミスとルリーの両方を墓地へ送ることができないので、うまく展開できないのではないかとも思われるかもしれません。
じゃ、一回やってみましょう。
詠聖を発動して、ルリーサーチしそのまま捨て、蘇生までします。
そしたらルリーで鎮魂棺をリンクし、効果でデモンスミス(2枚目)を呼びます。
ここで詠聖の墓地効果を使いましょう。手札と場のデモンスミスを素材にラクリモーサを融合。デモンスミスを蘇生できます。
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ラクリモーサとデモンスミスの2体でベアトリーチェ。
ラクリモーサを切って好きなカードを落としたのち、ラクリモーサを戻してデモンスミス(2枚目)を墓地から蘇生。その後ベアトとスミスで大聖棺。
大聖棺で墓地融合して、再びラクリモーサをだします。

盤面にはリンク数が3なので、咎姫でもデスキャスターでも出せますね。
そう、結局一緒になるんです。
デモンスミスを素引きしすぎたとしても、展開が不可能になることはないんですよ。
他にも、スミス初動でスミスの蘇生にビーステッドやDDクロウを撃たれた場合。
なにかしらモンスターを通常召喚すれば鎮魂棺で呼んだスミスと大聖棺をつくれます。
で、ラクリモーサを出すわけですがラクリモーサはなぜか除外からも回収&蘇生ができてしまうので、結局大聖棺とレベル6が2体並ぶことになります。
つまりラクリモーサの効果にクロウやビステを投げるしかないわけですが、そうすると盤面にリンク値3と召喚権も残るんです。ぜんぜん強い打ち方が出来ないんですね。
他にも「鎮魂棺のSS効果は手札からもいけるからスミスを素引きしすぎても問題ない」とか「ナンナからの展開はドロールの影響をほぼ受けない」というように細かいところで不自由なくプレイできるデザインがされています。
5、「デッキに戻す」だから無限リソース
デモンスミスね、各カードのコストがどれもこれも「デッキに戻す」なんですよね。これホントにやらかしてるんです。
鎮魂棺も、大聖棺も、ラクリモーサも。もちろんディエスイレも。
どれもこれもデッキ・エクストラデッキに戻せるということは、次のターン墓地に残しておいたデモンスミスを蘇生させれば再びデモンスミスの動きができるわけです。
テキストを読めばわかりますが、ラクリモーサには1200バーン。ディエスイレには相手のカード墓地送りがあります。
ということはですよ。
つまり毎ターンデモンスミスを蘇生して、鎮魂棺や大聖棺を出してディエスイレまで立てて…と繰り返していると勝手に相手とライフ差やカードアドバンテージ差がつくんです。
じゃどういうことなのか?
つまり令和の遊戯王はデモンスミスというギミックがそもそも無限リソースとなっているので、もうリソースがすごい!みたいな売り文句は特別なものではなくなったということです。
【VS】のラゼン召喚も【ふわんだりぃず】のろびーな召喚も、かつては通れば無限とも言えるリソースを回せるカードでしたが、もう特別なものではないんです。
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デモンスミス1枚投げたら、毎ターンデモンスミスが回り続けて盤面処理も展開も無効もしてくるんです。で、召喚権使ってないのでスミスに付随して組み合わせたテーマも動くわけです。
もうホントに終わってます。妨害が足りるわけがありません。
6、メインデッキの枠とらなさすぎ
デモンスミスを使う際にメインデッキに採用しなければならない枚数は
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・《魔を刻むデモンスミス》×3枚
・《刻まれし魔の詠聖》×1~3枚
・《魔轟神ルリー》×1枚
つまり最低5枚です。
しかも、全部ゴミじゃないです。
詠聖もルリーも結局「光属性・悪魔族を出力していることに変わりは無い」ので、鎮魂棺からデモンスミスを呼ぶことができます。
ということはあとモンスターを1体出せれば大聖棺からラクリモーサなりディエスイレなり立つことになります。
ルリーですら、必ずしも詠聖から捨てる必要は無くて捨てられるなら別になんでも良いので手数になる場合があります。
話を戻すと、【デモンスミス】を採用する場合メインデッキに必要な枠はたったの5枚です。
たったの5枚。たった5枚メインデッキに入れるだけで初動枚数も貫通札の枚数も捲り札の枚数も増えるんです。やらない理由を探す方が難しいってもんです。
「デモンスミス格差」について
そんなデモンスミスなんですが、こいついろんなデッキで使えるように見えて実は違います。
いや正確には使うこと自体はできるんですが、うまく使えるかどうかは別の話なんですね。
デモンスミスを採用するにあたっては、より上手く使えるテーマとそうでないテーマがあるんです。
縛りがつくテーマには使えない
まあまず前提として、縛りがつくテーマはスミスを採用できません。当たり前ですね。
【エクソシスター】【烙印】【ふわんだりぃず】などなど。特に”その後”の縛りではなく”ターン中”の縛りが付いている奴らはワンチャンすらないです。

まあ、それは普通のことですよね。
【勇者】ギミックだって召喚権による効果が大事なテーマでは使いづらかったのと一緒です。
エクストラ枠が足りないテーマは採用しづらい
次に、エクストラデッキに余裕がないテーマはデモンスミスを使いづらいです。

デモンスミスを使う場合、最低でも
・鎮魂棺1枚
・大聖棺1枚
・ラクリモーサ1枚
・ベアトやシーザーのようなランク6が1~2枚
ここに追加してさらにデッキによっては
・サロスナンナ1枚
・ディエスイレ1枚
つまり【デモンスミス】を採用するには、最低でも4枚、多くて7枚程度のエクストラデッキ枠が必要になります。
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そうなると、【ドラゴンリンク】のようなエクストラデッキのカードをたくさん使って展開するデッキには採用しづらくなります。
とくに昨今の遊戯王はエクストラデッキの汎用モンスターが優秀であり、リトルナイトやカオスアンヘルなどにデッキの対応力を任せきりになることも多いです。
デモンスミスを採用できないわけではなくとも、そういった便利な汎用モンスター達の採用を諦めてデモンスミスを使うかどうかは悩ましいですよね。
展開力の無いテーマはデモンスミスを使う機会が少ない
先ほど説明したとおり、デモンスミスは素引きする以外にもリンク値3からサロスナンナを経由することでアクセスすることができます。
これをよりわかりやすく説明すると、「リンク数3すら稼げないような展開力に乏しいデッキは、素引きするしかデモンスミスをゲームに絡ませられない」ということです。
ここまでに解説したように、デモンスミスをゲームに関与させることは先行盤面の妨害数やリソース力、ロングゲームにおける手数をさらに強化することに繋がるので可能ならデモンスミスを関与させた方が良いんです。
でも「リンク3を用意出来ずサロスナンナを使った展開が出来ないけどデモンスミスを採用しているデッキ」は素引きするしかデモンスミスをゲームに関与させることが出来ないんです。
この差があまりにも大きいです。
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【センチュリオン】や【粛声】、【VS】といった所謂ミッドレンジのデッキがこれに当たります。
もちろんテーマモンスターが光属性・悪魔族である【魔弾】などは例外ですが、そういう特異な例でなければデモンスミスを採用したとしてもナンナ展開が出来る他テーマに遅れを取るんですよね。
スミスを初動に出来ないテーマはうまく使えない
これもまあ当たり前の話なんですが、何回もゲームをしていれば「誘発とデモンスミスしか引かない試合」というのは遭遇します。
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そういった場合にデモンスミス展開から初動となるメインギミックのカードに触れるかどうかはメチャクチャ重要です。
言ってしまえば、デモンスミス1枚引いても出るモンスターはウーサかシーザーかディエスイレか、どれか1枚だけです。現代遊戯王においてそのたった1枚で相手ターンを乗り切れるかは怪しいですよね。
でもスミス1枚からベアトでエクセルを落とし咎姫で蘇生したらどうでしょう?
もうたっくさんリソースも妨害も作れますよね。炎王入りならなお強そうです。
つまり、「デモンスミスからメインギミックの初動に繋がるデッキは、繋がらないデッキよりもデモンスミスしか引かなかったゲームの勝率が高くなる」わけです。
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具体的には【炎王】【スネークアイ】【R-ACE】などの炎属性テーマ。および【ユベル】【キマイラ】などの悪魔族が初動となるテーマのことです。
実際デモンスミス環境において結果をのこしているのはこいつらばっかです。
そして生まれるデモンスミス格差
結局何が言いたいのか?という話ですが…
「デモンスミスはいろんなデッキで採用できる汎用ギミックであり、遊戯王における全体的なパワーの底上げをしているように見えてその実、【スネークアイ】や【ユベル】のようなごく一部の相性が良いテーマのデッキパワーを他よりもおおきく突き放している」
ということです。これが”デモンスミス格差”です。
ただ、こんなのは別に今回に限った話ではありません。
基本的に遊戯王において「どんなデッキでも採用できる汎用出張ギミック」というものは「採用できる様々なデッキの中で最も相性の良いデッキを他テーマよりも格段に強くするもの」です。
それは【勇者】ギミックであったり《クシャトリラ・フェンリル》が良い例です。
ただ今回は少しだけ話が違います。
それはシンプルに、「デモンスミスというギミックがあまりにも強すぎて生まれてしまう差が大きすぎる」んです。
スミスが採用できなければ初動枚数・誘発貫通力・手数・リソースで大きく後れを取り、ナンナが使えなければスミスをゲームに絡ませられる確率が減って勝率に響きます。
本当に、デモンスミスを使えるかどうかがゲームの勝率に直結するといっても過言ではないレベルなのです。
相対的に上昇する手札誘発のパワー
デモンスミス登場以降、所謂【デモンスミス〇〇】といったデッキが作る先行展開は本当に強力です。
これまでそのテーマが作っていた先行展開に付随して、シーザーやディエスイレといった妨害が追加されるわけですから、後攻の要求値が上がるのは当然のことです。
そのため、【烙印】みたいな誘発をたくさんは積まないけどメインギミックの手数で押せるテーマみたいなのは当然不利になります。だって誘発投げなかったら盤面強すぎるんだもん。
仮に頑張って盤面を捲ったとしても、相手にターンを返すと墓地にあるデモンスミス蘇生から妨害を踏まれたり盤面を荒らされたりして、そののちテーマギミックを動かしてくるのでマジでほんとに勝てません。
そうなると、もう手札誘発で展開を止めるしかないんですよ。
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でもそれも大変で、例えばスネークアイならこれまでエクセルに無効系誘発を投げれば止まり、最悪《篝火》にもうららをなげれば高確率で止まっていたものが、最悪さらにデモンスミスにも何か撃たないといけないので当然手札誘発の要求枚数も上がります。
つまり、デモンスミスがあまりにも強すぎるので相対的にそれを止めることが出来る手札誘発の価値も大幅に上がっているんです。
そのなかでも《増殖するG》のパワー上昇は著しいです。
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デモンスミスにも一応弱点があって、それは《増殖するG》を通されてしまうと妨害を作るまでに大量のドローを許してしまうということ。
環境デッキのほとんどが初動・誘発貫通・妨害作成をデモンスミスに任せているのならば、それはGが通った場合相手が無防備にターンを返す可能性も大きいということです。
デモンスミスの登場以降、冗談抜きに「Gが通るか通らないかでゲームが決まってしまう」というシチュエーションが増えました。
これによって「増Gを通せなかったから負けた」「増Gを通してしまったから負けた」といった俗に言う「引きで負けた」と感じてしまうゲームが頻発するようになっちゃいました。
これが原因で嫌になっちゃった…みたいな人も結構見かけます…。
つまりこれからの遊戯王はこうなる
つまり、デモンスミス登場後の遊戯王は以下のようになります。
・【炎王】【スネークアイ】のようなトップデッキがデモンスミスを採用することでさらに強くなり、手が付けられなくなる
・もちろん【キマイラ】や【メメント】のような中堅テーマが強化されもするし【魔弾】のようなテーマにも日の目が当たるようにはなる
・デモンスミスを採用した上記テーマ達は初動枚数、誘発貫通率、手数の多さ、捲り力が大幅に上昇したうえに継続リソースまでも手に入れてしまう。
・相対的に、デモンスミスに対して有効な手札誘発の価値が上昇し、なかでもGは非常に強力となる
・スミス対決はGが通ったら勝ち!Gを通されたら負け!
スミス以外のデッキもいるにはいる
つい先日、日本選手権の本戦が東京で開催され、僕も現地で参加してきました。レポートがあるので暇だったら読んでみてください。
デモンスミス登場後の大型大会ということで環境的にもやはりデモンスミスのシェア率は高く、結局トップ4になったのは【デモンスミスユベル】1名【デモンスミスラビュリンス】1名【デモンスミスR-ACE】2名です。
世はまさに大デモンスミス環境といった感じですが、そんな中でもデモンスミスを使わないデッキというのは一定数存在します。
理由としては環境的に「デモンスミスに対抗するため手札誘発をとにかく大量に積み込むことが主流」であるために、手札誘発を使いこなせるor手札誘発を何らかの形で無視できるデッキが逆に強くなっているからです。
具体的に言うと【天盃龍】と【神碑】。これらはデモンスミス環境でもある程度の立ち位置を得ています。
まとめ
遊戯王こわれちゃった
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これから先、デモンスミス以降は遊戯王はひとつ上のステージに移行します。
デモンスミス系のデッキが作る先行展開は平気で3~5妨害くらいあり、手札誘発をなげるか極端な捲り札でも無ければ捲れません。
それに合わせて手札誘発の採用枚数も増加し、環境は12誘発採用は当たり前。生半可なテーマやデッキでは大量の手札誘発を乗り越えることが出来ず消えていきます。
シンプルにカードパワーがインフレした結果、環境のパワーラインとして「手札誘発12枚以上は当たり前。手札事故はまず起きず、デモンスミスによって当たり前のように誘発貫通。完成した盤面は展開系並み」というのがデフォルトになります。
一体どうしたらいいの?
あのですね、デモンスミスを使ってください。
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もうね、無理です。お手上げ。
遊戯王をするのにデモンスミスを使っていないというのは、登山具もなしにロッククライミングをするようなものです。セルフハンディキャップにも程があります。
篝火とかとはわけが違います。もうGとかうららとかのレベルです。
ただですね、「自分の好きなデッキにデモンスミスをいれたらとりあえずなんとかなるよね」という考えは甘いです。
説明したとおり「デモンスミス格差」というものは本当に大きいです。対戦相手はデモンスミス1枚からエクセルを特殊召喚してるのに、こっちはシーザーやディエスイレを立てるだけなんてぜんぜん話になりません。
まず、デモンスミスを使うこと。次にデモンスミスをうまく使えるテーマの中で自分の手になじむものを選ぶこと。この2点です。
令和の遊戯王にデッキ選択の自由はありません。
ただ、抜け道もあるにはあります。
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それが先ほど挙げた【天盃龍】と【神碑】です。
【天盃龍】は大量の手札誘発を採用しながらも手札誘発を無視したワンショットキルが可能なテーマであり、デモンスミス環境の最もポピュラーな勝ち方である「引きの強さで勝った」という試合を最も呼び込みやすいデッキです。
一方【神碑】は皆さんご存じの通り永続カードでロックをかけゆっくりとデッキアウトを狙うテーマで、カードデザイン的に手札誘発というものをそもそも打つ機会が無く、誘発環境を逆手に取った勝ち方が可能です。
ま、つまりデモンスミスか天盃かルーンかってことです。この3匹の中から好きなものを選ぶのじゃ。
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おわりに
いかがでしたでしょうか?
今回もちょっとだけ批判的に書いてますけど実はデモンスミスというギミックは結構好きです。だって強いもん。使う側として考えたらこんな快適なものありません。
ただ、Gが通るかどうかでゲームが決まりすぎる環境になっちゃったというのは事実だし実際ここはあんまり好きじゃないポイントです。
あとはまあ、デモンスミス格差ですね。とりあえず早くベアトリーチェ消して少なくとも初動にならないようにしないとデッキ間格差がちょっと酷すぎです。
まあ、なんにせよデモンスミスが登場したらマスターデュエルも否応なしにこうなります。我々は備えるのみ。そのためのこの記事です。
幸い、こいつらが登場したのは2024年4月の「インフィニット・フォビドゥン」。今現在のMDがちょうど2023年10月の「ファントム・ナイトメア」なので半年くらいの猶予があります。覚悟の準備をしておいてください。
このnoteがちょっとでも皆さんの助けになれれば幸いです。そいじゃまたー。
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