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攻撃力50で祈ったら…すごいのでた!【粛声】
はじめに
みなさんこんにちは。やまきゃです。
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【粛声】とは
みなさんはこれらのカードをご存じでしょうか?
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生まれた時代もぜんぜん違うこれらのカード。なぜか遊戯王は12期に突然、まとめてひとつのテーマにカテゴリ化されました。
それが【粛声】(英:Voiceless Voice)です。
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発表当初から儀式テーマにしてはめずらしい完全1枚初動の存在や、エースモンスターとなるローガーディアンの派手な効果から一定の注目を集めていましたが、2023年の11月に行われたYCSJ名古屋大会にて多数結果を残したことから一気に認知されることになります。
(【粛声】が登場したファントム・ナイトメアの発売は10/28であり、YCSJが行われたのは11/4なので、登場してたった一週間で大型大会にて結果を残したことになります)
その後も持ち前の安定性と独自性を活かして環境で活躍し、先日行われたYCSJ東京大会では参加者約7700名のトップに輝いています。
【粛声】の本質
さて、いきなりですが【粛声】の先行展開盤面を提示します。
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この盤面こそが、【粛声】の”やりたいこと”であり”強みそのもの”です。
この盤面をくわしく説明すると…
・《粛声なる守護者ローガーディアン》は《粛声の祈り手ロー》がいるため攻撃力が4100である。
・《粛声なる結界》によって相手は儀式体であるローガーディアン以外を攻撃できず、また光属性である祈り手ローおよびローガーディアンを効果の対象にすることもできない。
・《粛声なる守護者ローガーディアン》によって、1ターンに1度魔法・罠・モンスター効果の発動を無効にし破壊できる。
・墓地の《粛声なる祈り》によって、たとえローガーディアンを効果で処理されたとしてももう一度ローガーディアンを出すことができる。
ということになります。そしてこれが、完全に1枚のカードから再現可能というわけです。
いきなり結論を言ってしまえば、【粛声】とは
圧倒的な堅さを誇るローガーディアンによって相手にリソースの消費を強要し、かつローガーディアンの万能無効によって相手の行動に対してマストカウンターを当てることができる低速のミッドレンジ
というデッキです。
過去のテーマで近いものとしては【サブテラー】や【ドラゴンメイド】、【召喚獣】【ドラグーンビート】あたりでしょうか。
しかし【粛声】は令和のテーマです。これらのデッキとは比較にならないほどに制圧力・盤面強度・リソース力・安定性などに優れています。
では具体的に【粛声】のどういったところが優れているのかを今回は説明していきましょう。レッツゴー。
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【粛声】の特徴・ギミック
テーマカードの特徴
【粛声】のモンスターは全てが光属性であり、種族も戦士族・ドラゴン族の儀式モンスターと天使族のローのみとなっています。
また、儀式魔法である《粛声なる祈り》以外のテーマ魔法罠は全てが永続カードです。
【粛声】は儀式テーマ特有の「儀式モンスター」「儀式をおこなうカード」「儀式召喚のためのコスト」を揃えなければならないという問題を解決するため、テーマカードの多くにサーチ・リクルートを行う効果が付いているのが特徴的です。
これは【ドライトロン】などの他儀式テーマも同様なのですが、中でも【粛声】は完全1枚初動を持っているというのがこれまでの儀式テーマとは違うところ。
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今までは儀式パーツを集める過程でどうしてもギミック札が多くなり、展開デッキになりがちだったのが儀式テーマの課題であったところを調整して、1枚初動から展開が可能なミッドレンジデッキとして仕上げたのが【粛声】というわけです。
効果モンスター
《粛声の祈り手ロー》
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このデッキにおける完全1枚初動であり、あらゆる行動のキーとなるカードです。このカードにアクセスできているかどうかで粛声のパワーは天と地ほどの差があります。
①の効果はNS・SS時にデッキから「粛声」永続魔法罠を置く効果。
”置く”効果であるためうららやドロールを食らわず、また魔法罠カードを発動無効にする類のカードもすり抜けて永続カードを貼ることができます。
粛声の永続魔法は3種類ありますが、その全てが優秀なカードでありこの効果を通して永続カードを貼れるかどうかが非常に重要になってきます。
②の効果は戦士・ドラゴン族で光属性の儀式モンスターの儀式コストを一人でまかなえる効果。要は《儀式の供物》とか《影霊衣の術士シュリット》です。そのため裏守備でもこの効果を適用できます。
手札からリリースするぶんにはなんの問題もありませんが、盤面からリリースする場合は効果無効にされているとこの②の効果も失い儀式コストを賄えなくなります。
①の効果を通したいのもあって、出来る場合は必ず無効系誘発をケアしながら祈り手を盤面に出しましょう。
③は墓地にいるときに自分フィールドに戦士・ドラゴン族で光属性の儀式モンスターが出ると自身を蘇生できるという効果。
儀式召喚を行う際は、まず儀式モンスターのレベル以上となるようにモンスターをリリースする処理を行ってから儀式モンスターを場に出します。
すなわち、ローガーディアンなどの儀式コストとしてこのカードを墓地に送ってもこのカードは盤面に帰ってくるということになります。
仮に相手ターンに儀式体を盤面に出せた場合、この効果によって帰ってくるだけでなく①の効果まで誘発できます。
妨害数の追加に繋がりますが、墓穴や《屋敷わらし》で蘇生を防がれた場合守護者の無効破壊まで使えなくなるのでご利用は計画的に。
各種ステータスが非常に優秀です。
レベル1モンスターのため《リンクリボー》《サクリファイス・アニマ》にでき、攻撃力が50しかないので《転生炎獣アルミラージ》にすることもできます。そのため《S:Pリトルナイト》の①に繋げやすいです。
展開が通ればまず殴られることはありませんが、もし殴られる状況になったとしても守備力が2050と下級モンスターにしては異様に高いのでわりと耐えてくれます。
が、攻撃力は50しかないので超貧弱。Gどころかエクソシスター全員に暴力では勝てません。
シクがめっちゃきれいです。
《宣告者の神巫》
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こいつは祈り手ローです。なんか祈ってるポーズとってるし。
召喚→《トリアス・ヒエラルキア》墓地へ→トリアス効果で神巫リリースして蘇生→神巫②効果でローSSです。
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さて、この場合盤面には祈り手の他にトリアスがいるわけです。
なのでローガーディアンの儀式召喚前に、祈り手とトリアスでカオスアンヘルを作って1除去ができます。(直接儀式召喚のコストにせずとも、祈り手は帰ってくるのでS素材にしても問題ないのです)
そもそも展開が通らなさそうなときには、単純にエクストラデッキから《旧神ヌトス》を落として1面除去も可。
【粛声】の後手捲りは本当にカスなので、こいつや《天底の使徒》でヌトスを落とす行為の価値がめちゃくちゃ高いです。
また、こいつはレベル変動が可能なチューナーでもあります。
余裕があるときに祈り手をデッキから落としてレベル3に変更→祈り手と4シンクロで《虹光の宣告者》とかは【インフェルノイド】などの墓地利用デッキ相手に本当にやります。
一応「結界+祈り手+神巫」で「守護者+祈り手+虹光」になるので覚えておいてください。
《粛声の竜賢姫サフィラ》
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レベル6・光属性・ドラゴン族のモンスター。レベル6のため1枚で各種儀式体のリリースコストを賄うことは出来ません。7だったらよかったなあと思うときもあるし、たまーにレベル2の神巫と奇跡を起こせるので6でよかったと思うときもあります。
①は手札から捨てて、デッキから儀式魔法を墓地に送りその後デッキか墓地から戦士族・ドラゴン族で光属性の儀式モンスターを手札に加えられる効果。
ローガーディアンを持ってこれるのはもちろん、余裕があれば《古聖戴サウラヴィス》をサーチすることもできます。
墓地の儀式体を回収できる効果はこのデッキにおいては貴重で、特に粛声ネームを持たない儀式体サウラヴィスを回収できるのは優秀なのですが代わりに《屋敷わらし》を受けてしまいます。
②は墓地の自身を除外することで戦士族・ドラゴン族で光属性の儀式モンスターの儀式召喚を行う効果。
①とあわせてサフィラ1枚で儀式モンスターと儀式魔法2枚分の役割をこなしており、これによって祈り手ロー1枚からローガーディアンの着地まで繋がるわけです。
墓地から除外すれば他になんの条件も不要なので、①の効果にうららを受けた場合でも儀式体とコストがあるなら儀式召喚できますし、極論《おろかな埋葬》などで落としても儀式することができます。
ドラゴン族のためマグナムートからサーチが効きます。
《粛声の竜賢聖サウラヴィス》
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レベル7・ドラゴン族・光属性。ちゃんとレベル7なので各種儀式体のリリースコストを一人で賄えます。
①は手札か墓地から儀式魔法カードを含む魔法カード2枚をデッキに戻して、チェーンブロックを組まずにSS出来る効果。
チェーンブロックを組まないのはもちろん優秀ですが、墓地から魔法カードをデッキに戻せるためリソース回収にも繋がるカードになっています。
とはいえ戻すカードに必ず儀式魔法を含めなければならず、《粛声なる祈り》は墓地効果が優秀なカードでもあるため脳死で出せば良いというものでもありません。
②は相手の効果発動に直接チェーンする形でこのカードを手札に戻して発動し、手札かデッキから戦士族・ドラゴン族で光属性の儀式モンスターをSSする効果。
次のターンのエンドフェイズに儀式体はデッキに戻るほか、儀式召喚ではないため蘇生制限を満たしません。手札に戻ってくるので、次のターン以降も手数や儀式コストとして活躍してくれます。
単純に手軽にSSできる粛声ネームモンスターとしての役割が結構大きいです。
打点が2600と地味に高いのでライフを取るときに使ったり、リンクモンスターの素材に使ったり。他にもごく希に祈り手ローを落としてレベル3になった《宣告者の神巫》やうららとバロネスになったりします。
儀式モンスター
《粛声なる守護者ローガーディアン》
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レベル7・戦士族・光属性の儀式体。このデッキのエースモンスターです。
①の効果は儀式召喚に成功すると「粛声」モンスターか戦士族・ドラゴン族の儀式モンスターをサーチできます。
つまり、極論このカードの儀式召喚ができさえすればローをサーチして祈り手+守護者の盤面は成立します。
祈り手がない場合は祈り手を、既にある場合でも追加の手数となる竜賢聖や儀式体のサウラヴィス、はてはテーマに関係ない《オッドアイズ・ペンデュラムグラフ・ドラゴン》までサーチ可能。
この効果は儀式召喚に成功したときのみなので、竜賢聖の効果で出した場合や蘇生した場合などには使えないことに注意しましょう。
②によって自分場か墓地に祈り手ローがあれば攻撃力が2050上昇し4100になります。
4100という数値は並大抵のモンスターでは突破出来ませんし、逆に大抵のモンスターはローガーディアンで殴り倒すことができます。
この高打点のおかげで相手をキルするのにそう時間はかかりません。2体並べれば8200打点でキルです。
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③は自分の場に祈り手ローがいれば魔法・罠・モンスター効果の発動を無効にして破壊できる効果。
いわゆる万能無効効果で、盤面への回答やリソースを広げる行為をまったく許しません。
一切のコストを払わないので、単純に守護者と祈り手を維持し続けるだけでも毎ターンカード1枚分のアドバンテージ差が生まれます。これが【粛声】の基本戦術になります。
小ネタではありますが②③ともに祈り手ローをモンスターとして指定していないので、たとえスネークアイなどに祈り手が永続魔法化されていたとしても、4100打点かつ無効破壊ができます。覚えておくと得するかも。
《古聖戴サウラヴィス》
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レベル7・ドラゴン族・光属性の儀式体。初出は9期のINOVで、LVPにも再録されたので知っている人はわりと多いでしょう。
①によって自分のモンスターを対象にとる魔法・罠・モンスター効果の発動に対して、手札のこのカードを捨てることでその発動を無効にできます。
《無限泡影》などの無効誘発をケアできるカードかつ、《儀式の下準備》や竜賢姫サフィラでサーチ可能であるため、【粛声】においてはテーマ内でサーチできる無効誘発ケアとして使えます。
ギミックで誘発ケアが可能というわけです。
②は特殊召喚に対する召喚無効。
チェーンブロックを組まない召喚方法(シンクロ召喚やリンク召喚、エクシーズ召喚)に対して発動できるので、これらを主体とするデッキには無類の強さを発揮します。(P召喚に打つと全て消し飛びます。)
守護盤面の結界下では対象にとれないため、この無効はほぼほぼ通ります。
使用すると手札に帰ってくるので、再び①の効果を使えるようにもなりますし、祝福の効果で再度出力してもう一度召喚無効というのも可能です。いにしえのカードなので同名ターン1が無いんですね。
もちろんこのカードも竜賢聖サウラヴィスで出せます。
《竜姫神サフィラ》
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レベル6・ドラゴン族・光属性の儀式モンスター。採用されてるのは見たことありません。
儀式召喚したターンと、手札かデッキから光属性モンスターが墓地に送られたターンのエンドフェイズに「2ドロー1捨て」「1ハンデス」「光属性サルベージ」のどれかを使えます。
適用タイミングがエンドフェイズとかなり遅く、毎ターン使えるように見えてこいつが生き残っている=ほぼ勝ちなので実質的には先行で儀式してドローかハンデスを選ぶわけなのですが、面で仕事をしないこいつを出してまでやりたいことかと言われると微妙。基本はこいつを採用するなら後述する新サフィラを使った方が良いです。
テーマカードで触れる儀式体のなかでは唯一レベル6なので、マグナムート→竜賢姫で儀式できるとはいえそんなメリットはあってないようなものです。
《粛声なる竜神サフィラ》
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レベル7・ドラゴン族・光属性。
旧サフィラが3つの効果をどれか1つしか使えなかったのに対してこちらは全部同ターンに使えるようにデザインされました。
①は儀式召喚したときに場か墓地に祈り手ローがいれば2ドロー1捨てできる効果。
旧サフィラと比べてタイミングが早いのでドローした魔法カードは使えるし罠カードもセットできるので圧倒的にこっちのほうが強いです。
【粛声】は基本的にドローする効果がないのでサイドインカードを引き込みたい場合は重宝しますが《強欲で金満な壺》との相性は最悪。
②は戦士族・ドラゴン族かつ光属性の儀式体が戦闘を行う攻撃宣言時に1ハンデスする効果。
使える機会自体は多いですが、このデッキにおいては相手が攻撃してくるときはこちらが死ぬときでこちらが殴るときは相手のハンドに残ってるのは腐っているカードであることがほとんどなのでそう有用でもありません。(強いけど使えるときには勝ってる)
③は相手エンドフェイズに墓地の光属性モンスターを対象に取らずサルベージできる効果。
分かりやすいところでは《エフェクト・ヴェーラー》や《アーティファクト・ロンギヌス》を無限に使い回すことができます。
特にロンギヌスの無限使い回しは【インフェルノイド】や【ふわんだりぃず】相手にかなり有用なので環境次第ではこのためだけに採用する可能性も十分にあります。
《粛正なる祈り》にこのカードの名前が書かれていないので、《儀式の下準備》には非対応です。ちょっと悲しい。
《オッドアイズ・ペンデュラムグラフ・ドラゴン》
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レベル7・ドラゴン族・光属性の儀式モンスター。
一応P召喚か儀式召喚でしか出せないので、竜賢聖サウラヴィスで出すことが出来ないということは覚えておきましょう。
①の相手がエクストラからモンスターをSSするたび300バーンする効果。これほんとうに微々たるものです。
これで殺せる相手なんて【ライトロード】くらいしかいませんし、なんならライロには27回以内に逆に殺されます。
②が本命の効果。
相手が魔法カードの効果を発動したときに、その効果を無効にして自身はPゾーンに移動しつつエクストラから「オッドアイズ」モンスターをSSできます。
このデッキにとって天敵とも言える《三戦の才》などの強力な魔法カードを無効に出来ると言うだけでも採用理由としては十分です。
EXから出すモンスターは基本《覇王白竜オッドアイズ・ウィング・ドラゴン》で対面次第で《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》という感じ。オッドアイズのSSは強制ではないので、《増殖するG》などを打たれてもSSしなければいいです。
P効果はお互いのエンドフェイズにデッキか墓地から儀式魔法を手札に加え、Pゾーンの自身も手札に加える効果。
これによって相手ターンに②を使ったこのカードは、どこからか儀式魔法を連れながら手札に帰ってくることになります。実質的な無限リソースというわけです。
魔法・罠カード
《粛声なる祈り》
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テーマ名称持ちの儀式魔法です。
①は普通の儀式召喚効果。ただし儀式体とリリースするモンスターともに光属性でなくてはなりません。
サフィラの墓地効果と少し違うので、このカードを手打ちする場合はこのことにだけ注意しましょう。
②は自分場の光属性儀式モンスターが相手の効果によって場から離れた場合に墓地のこのカードを除外して発動でき、デッキから《古聖戴サウラヴィス》《竜姫神サフィラ》《粛声なる守護者ローガーディアン》のどれかを召喚条件無視でSSできる効果。
ネームが書かれているため、これらと合わせて《儀式の下準備》でサーチ可能となります。
例え《超融合》を受け守護者+祈り手で《沼地のドロゴン》を作られたとしても、このカードが墓地にあればデッキから守護者をSS→祈り手③蘇生で盤面は元通りになります。
つまり祈りが墓地にあれば【粛声】は《超融合》1枚で捲れないというわけです。
デッキの中にこれが眠っていないと、姫サフィラも《儀式の下準備》も使えなくなります。可能な限り素引きしないように祈りましょう。
《粛声なる結界》
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バグカードその1。
①は自分場に光属性の儀式モンスターと祈り手ローが揃っている場合、相手は儀式体しか攻撃対象に出来ず光属性モンスターを対象にとれなくなります。
結界と守護者を維持し続ける限り、相手は盤面の祈り手ローに触ることがほぼ不可能となるわけです。もちろん横にいればリトルナイトなども殴られません。
ここでワンポイント知識。
攻撃対象の誘導はプレイヤーではなくモンスターにかかる効果であるため、例えば《ジ・アライバル・サイバース@イグニスター》のような効果を受けないモンスターは儀式以外にも殴りかかることができます。
一方で、効果対象に出来ない効果はプレイヤーにかかるので、例えばアライバルの破壊効果を祈り手に打つようなことは出来ないわけです。
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②は起動効果で同名以外の「粛声」カードか「ローガーディアン」儀式モンスターをサーチできる効果。
初めて見たとき度肝を抜かれました。
永続魔法が起動効果で何のコストも払わずにテーマカードをなんでもサーチしていい時代になったのか、と。
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《ピュアリィ・マイフレンド》ですら500のライフポイントを払わなければならないうえランダム要素があるというのに、このカードはノーコストの確定サーチです。
この「毎ターンノーコストでカードをサーチできる永続魔法」があるために、【粛声】相手に盤面を触らずに放置してターンを返すという行為が許されません。もしやったらさらにリソース差をつけられて敗北必死です。
とはいえ、このデッキにおいてこのカード自体は1枚初動にはなりえません。追加でなにかしらもう1枚持つ必要があります。
サフィラや守護者のせいで誤認しがちですが、サーチ範囲はそれぞれ違うので気をつけた方が良いです。
例えば《古聖戴サウラヴィス》は粛声名称ではないので、このカードで直接サーチすることはできません。
《粛声なる祝福》
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バグカードその2。
①は起動効果で同名以外の「粛声」カードを墓地か除外から回収する効果。
初めて見たとき魂まで引っこ抜けました。《粛声なる結界》という無限のリソースカードを抱えているテーマが永続カードで無限にリソース回復していいのか?と。
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除外された粛声カードである竜賢姫サフィラや祈りは基本回収不能でしたが、このカードで無限にリサイクル出来るようになっちゃいました。
また、後述する《粛声なる威光》は回収が難しい代わりに盤面に触ることが出来るカードだったのですが、このカードのせいで毎ターン回収して毎ターン相手のカードを破壊するバグカードに。
シンプルにこのカードを放置してターンを返すと結界と合わせカードを2枚増やしてしまうので捲れない=死がほぼ確定的になります。
②は儀式以外のモンスターがNS・SSされた場合に、儀式召喚を行う効果。
しかもなぜか儀式体に永続で戦闘耐性が付きます。永続で。
もうめちゃくちゃです。たとえ竜賢姫サフィラや儀式魔法にアクセスできずとも、このカードさえあれば儀式ができるようになります。
このカードに限った話ではありませんが、相手ターンに妨害モンスターを追加することが出来るカードというものは例外なく強力です。
《次元障壁》などのターンスキップ系カードの受けが非常に良くなるほか、相手のデッキをみてから妨害プランを選ぶことができるからです。
シンプルに展開札として見ても優秀で、守護者+祈り手の横に戦闘耐性を持ったサウラヴィスやペンデュラムグラフを爆誕させることも可能です。ここまでやるとほとんど捲られません。
儀式デッキの宿命として《ドロール&ロックバード》が重いというものがありますが、このカードによって貫通ルートが増えます。
例えばメインフェイズ開始時に《強欲で金満な壺》を発動し、処理後に《ドロール&ロックバード》を打たれたとしましょう。
その際ハンドに守護者と祈り手があると、本来それらだけでは儀式召喚が不可能に見えますが
1.祈り手ローNS。祝福を置く。
2.ローで《リンクリボー》をL召喚。
3.祝福①でローを回収。
4.《リンクリボー》素材に《セキュア・ガードナー》L召喚。
5.祝福②誘発し回収した祈り手ローを素材に守護者ローガーディアンを儀式召喚。
6.祈り手ロー蘇生。
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とすることでドロールを貫通し守護者+祈り手となります。儀式するカードが手札になくとも展開ができるようになるというわけです。
また、このカードで《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》もケアできます。
方法も簡単で、2体目の守護者をハンドに抱えておくだけでラヴァゴを素材に2体目ローガーディアン儀式召喚→ロー蘇生です。なんなら祈り手ローの①によって永続カードが増えます。
とにかくこのカード1枚でケアできるカードがあまりにも多く、【粛声】の対応力の高さを担っている超パワーカードです。
《粛声なる威光》
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バグカード(になっちゃった)その3。
メインフェイズ限定で、2つの効果から1つを選んで使うことができます。
1つ目が、手札か墓地から戦士族・ドラゴン族で光属性の儀式体あるいは儀式魔法を対象を取らずにデッキに戻して、デッキから「粛声」モンスターを手札に加えるかSSする効果。
要はリソース回復しながらリソースを稼ぐというわけです。
メインフェイズ中ならフリーチェーンで儀式モンスターを墓地から逃がせるので、守護者やサウラヴィスに対して《墓穴の指名者》を打たれるといったシチュエーションがあればケアも可能に。
そのまま竜賢聖サウラをSSすれば、相手のアクションに合わせて《古聖戴サウラヴィス》をSSし妨害追加も可能です。
また、相手ターンに祈り手ローをSSするカードとしても使えます。
例えば手札に守護者と祈りはあるけど、儀式コストがなくて儀式できないというとき。
相手ターンにこのカードを発動。手札の祈りをデッキに戻して祈り手ローをSS。祈り手効果で《粛声なる祝福》を置けば相手のNS・SSにあわせてローガーディアンを儀式&祈り手蘇生となり、守護者+祈り手が完成します。
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他にも、《粛声なる祈り》を素引きしすぎてサフィラも下準備も使えないといったときにローでこのカードを置いて無理矢理祈りをデッキに戻すことも可能なことは覚えておくといいかもしれません。
2つ目の効果が自分場の儀式体の数まで相手フィールドのカードを対象として、それらとこのカードを破壊する効果。
【粛声】においては超貴重な、戦闘以外で相手のカードを処理できるカードです。
既に説明したとおり、祝福によって毎ターン回収が可能なため相手の盤面を一生荒らし続けることができます。
【粛声】の基礎展開
最初の方で説明したとおり、【粛声】がまず目指したい盤面というのはこれです。
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この盤面を基礎展開とし、ここにいろいろ追加していくことでより強固な展開にするというイメージです。
この盤面に向かうルートは主に2種類。
1:《粛声の祈り手ロー》初動のルート
2:《粛声なる守護者ローガーディアン》儀式召喚からのルート
これらについて、それぞれ詳しく見ていきます。

《粛正の祈り手ロー》1枚初動
まずは祈り手ローを通常召喚し、デッキから《粛声なる結界》を置きます。
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次に結界の起動効果で《粛声の竜賢姫サフィラ》をサーチ。
そのままサフィラの効果を使い、自身を捨ててデッキから《粛声なる祈り》を墓地に送りつつ《粛声なる守護者ローガーディアン》をサーチします。
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その後、墓地のサフィラを除外し、場の祈り手ローをリリースすることで守護者を儀式召喚。ローを蘇生しつつ守護者のサーチ効果を使います。(サーチは今回なんでもいいです)
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これで盤面は《粛声の祈り手ロー》+《粛声なる守護者ローガーディアン》+《粛声なる結界》となり、墓地にも《粛声なる祈り》がある状態にできました。
完全1枚初動の基礎展開です。
とはいえ、このルートはかなり多種の誘発を受けます。
・祈り手への無効誘発
・結界への《幽鬼うさぎ》
・サフィラへの《灰流うらら》《屋敷わらし》《D.D.クロウ》
・墓地ロー蘇生への《屋敷わらし》《D.D.クロウ》各種ビーステッド
1枚初動である以上仕方ないとはいえ、あまりにも止められるカードの種類が多いです。
つまり、この1枚初動はあまり信用しすぎてはいけないということになります。
《粛声なる竜賢姫サフィラ》+レベル7以上のモンスター
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このルートは《粛声なる守護者ローガーディアン》を先に儀式召喚して祈り手ローを持ってくるルートです。
サフィラ効果で祈りを落としローガーディアンサーチ。その後サフィラを除外し、手札のレベル7以上のモンスターをリリースして守護者を儀式召喚します。
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守護者儀式召喚時の効果で《粛声の祈り手ロー》をサーチ。
召喚権を使っていないので、祈り手ローを通常召喚。効果でデッキから《粛声なる結界》を置き、結界効果で《粛声なる威光》をサーチ。セット。
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これで最終盤面は《粛声の祈り手ロー》+《粛声なる守護者ローガーディアン》+《粛声なる結界》+《粛声なる威光》かつ墓地に《粛声なる祈り》となりました。
こちらの展開は、ロー1枚初動に比べて誘発を受けるタイミングが
・サフィラへの《灰流うらら》《屋敷わらし》《D.D.クロウ》
・守護者への無効誘発、《灰流うらら》
に抑えられることになります。
なぜならローガーディアン+祈り手が盤面に揃った時点でローガーディアンによって1回なんでも無効破壊にできるからです。それ以降の誘発はシンプルに1ハンデスというわけです。
《粛声の祈り手ロー》+《粛声なる竜賢姫サフィラ》
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サフィラは《儀式の下準備》でも同じことができます。
サフィラ効果で祈りを落とし守護者サーチ。その後サフィラを除外することで効果、祈り手ローをリリースし守護者を儀式召喚します。
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祈り手ローを蘇生しつつ守護者の①効果を使い、今回は《古聖戴サウラヴィス》をサーチします。
蘇生したローの効果で《粛声なる結界》を置き、結界の効果で《粛声なる祝福》をサーチし発動します。
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これで最終盤面は《粛声の祈り手ロー》+《粛声なる守護者ローガーディアン》+《粛声なる結界》+《粛声なる祝福》かつ墓地に《粛声なる祈り》手札に《古聖戴サウラヴィス》となりました。
相手の通常召喚に反応し、祈り手ローを素材にサウラヴィスを儀式召喚することで相手ターンにロー蘇生&《粛声なる威光》を置くこともできます。
つまり、2枚初動で守護者・威光・サウラヴィスの合計3妨害になります。
この持ち方の場合、1枚の誘発は完全に貫通して祈り手+守護者を作ることができます。
たとえばサフィラにうらら等を受けたとしても、祈り手から結界を置いて守護者をサーチできるので問題なく盤面は作れるのです。(弱くはなりますが)
祈り手の蘇生にビーステッドなどを受けた場合でも、通常召喚権を切っていないため守護者のサーチを祈り手に変えれば良いだけです。
祈り手+竜賢姫+結界 トリプルサウラヴィス展開
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姫サフィラで守護者をサーチして、そのままサフィラ墓地効果で祈り手をコストに守護者を儀式召喚しましょう。(このとき、効果を使わずとも結界はとりあえず発動だけしとくと祈り手蘇生時に対象耐性がつきます)
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ここで、祈り手で置くカードを威光に、守護者のサーチを儀式サウラヴィスにします。
その後、結界効果で祝福をサーチし、そのまま発動。
そうしたら、威光効果を使い墓地の祈りを戻してデッキから竜賢聖サウラヴィスを特殊召喚。
着地時に祝福の②が誘発。蘇生した祈り手をコストに手札の儀式サウラを特殊召喚。
その後、祝福効果で墓地の祈り手を回収して通常召喚。これで展開は完了です。
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既に盤面にいるサウラヴィスで1回。竜賢聖でデッキから呼ぶ2体目のサウラヴィスで2回。祝福でサウラヴィスを相手ターンに出し直して3回。
合計で3回の召喚無効が可能な展開です。
(守護者のサーチ先をペンデュラムグラフに変えれば、魔法無効1回と召喚無効2回です。)
当然ですが、最大値でこういうことが出来るよと言うだけで誘発受けや裏目が最悪な点には注意してください。
ニビルは食らいませんが、祈り手が一時的に場から消える関係でビーステッドを最後までがめられるととんでもないことになります。
とうぜん、墓地から祈りが消え《超融合》受けも悪くなるので注意。
テーマカードをたくさん引けば良い
ここまでで既にお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが、【粛声】というデッキは複数種のテーマカードをたくさん引けば引くほど誘発を貫通出来ます。
極論《粛声の祈り手ロー》+《粛声なる守護者ローガーディアン》+《粛声なる祈り》と儀式に必要なパーツを最初から全部持っていれば相手にどんな誘発を投げられても盤面を作るという目的は達成できるわけです。
もし無効誘発をケアしたければ《儀式の下準備》や竜賢姫サフィラなどで《古聖戴サウラヴィス》をサーチすることでケア可能。
ギミック札をたくさん引けば、引いたぶんだけ誘発をケアなり貫通することができる。それが【粛声】というデッキなのです。
ただし、何の誘発をどうやってケアするのかはプレイヤーに委ねられます。
ミスってドロール直撃!なんてこともザラにあります。初手5枚と相談して、適切な誘発ケア展開を行わなければならないのです。
【粛声】の強み
盤面強度の高さ
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守護者+祈り手+結界を破るのはそれなりに大変です。
守護者ローガーディアンは結界によって対象にとることができないため、バロネスとちがって《無限泡影》や《心変わり》などで無理矢理効果を使わせることができません。
シンプルに対象耐性付きの4100打点を越えるのが難しく、回答しようとしても守護者によってどこか1回は止められてしまいます。
【神碑】なんかは《破壊の神碑》だけ止められたらあとは"輝く"も"まどろみ"も"凍てつく"も全部打てなくて終わりです。ボコボコにできます。
まさに《超魔導竜騎士ードラグーン・オブ・レッドアイズ》の再来、というかそれ以上です。
また、墓地の祈りや面の祝福によって盤面を捲られた際のリカバリーというのもしっかり確保できているので、盤面を完成させたあとに特定の捲り札1枚で崩されてイージーウィンされるということがほぼありません。
この点が他のミッドレンジデッキと比べて明確に優れています。
更に手札次第で多量の手札誘発やサウラヴィス、ペンデュラムグラフ、威光などの妨害がここに追加されます。
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サウラヴィスの召喚無効や威光の破壊などを駆使して相手を追い詰め、最後の逆転の1手をローガーディアンで刈り取る。さながら詰め将棋のような戦法ができます。
低速ミッドレンジとは言いましたが、これらによって対面を完全に封殺可能なほどに強力な布陣を築くことも可能となっています。
強力無比な永続魔法罠カードたち
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《粛声なる結界》はすんごいパワーカードです。
《ピュアリィ・マイフレンド》などで経験済みの方も多いでしょうが、この手の永続でアドバンテージを取り続けるカードというのは誘発の投げ合いにおいて最強です。
なぜなら結界に《灰流うらら》を投げて動きが止まりターンをもらえたとしても、結局相手の誘発でこちらの動きが止まってしまえば、再び結界に誘発を投げなければならないからです。
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基本的に毎ターン起動できる永続カードvs手札誘発というのは0-1の交換であり、テンポロスさせたに過ぎません。こちら側が動けないのなら誘発を投げる行為は純粋な損失です。
具体的な例を出せば、《増援》にうららや《重騎士プリメラ》にヴェーラーを投げる行為は1:1交換と言えますが、《ピュアリィ・マイフレンド》にうららや《クシャトリラ・ユニコーン》にヴェーラーは長期的に見れば不利な交換です。
特に【粛声】の場合は結界を置く祈り手ローに対してうららが打てないため、この0-1交換を強要されやすいです。
そうして誘発を投げ合う泥沼のゲームになった場合、永続魔法である結界を貼っている【粛声】側が有利になるのは明白です。
さて、祝福や威光も初動に絡むことこそありませんが、本質的には同じことが言えます。
他のテーマが通常魔法・速攻魔法・通常罠などで使い切りのサーチやリソース回復、妨害を行っている中で、【粛声】はこれらを永続カードによって毎ターン行っています。
そのためゲームが長引けば長引くほどに、【粛声】側がより多くのカードアドバンテージを獲得できるようになっているのです。
増殖するGが全く重くない!
【粛声】の展開は非常にコンパクトです。
ローガーディアンを儀式召喚し、祈り手ローを通常召喚すればその時点で先行展開は終了したも同然です。たったそれだけでも十分な堅さの先行盤面が出来てしまいます。
これだけ展開に必要な召喚回数が少ないため、1か2枚程度のドローに抑えて守護者+祈り手を作ることが容易いです。
そのため、Gに対して妥協点で止まるのではなくて、やりたい展開に対してGというカードの存在を無視できるのです。
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更に言えば《原始生命体ニビル》は全く刺さりません。よほど欲張った展開をしない限りは5回以上モンスターを出すことはほぼありません。出したとしても守護者で無効破壊できますしね。
それでいて、並のデッキ以上に堅く強い盤面を形成できるわけです。
これこそが【粛声】最大の強み。
Gニビルを重く受けずに、デュエルに勝利するには十分な展開が可能というわけです。
サウラヴィスがメインギミックである
これが結構すごいことなんです。
無効誘発をケアできる汎用カード的な側面があるサウラヴィスですが、このデッキにおいては《儀式の下準備》やサフィラ、ローガーディアンなどでアクセス手段が豊富であり、また儀式召喚することも可能であることからメインギミックカードとして機能します。
サーチできる誘発ケア札兼妨害モンスター。腐ることがないんです。
そしてサウラヴィスで無効誘発を弾くことが可能でありながら、【粛声】はGをまったく重く受けません。
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それはつまり、《墓穴の指名者》や《抹殺の指名者》を無理に採用しなくてもいいってことです。
そこまでしてまで絶対に止めたい手札誘発はぶっちゃけありません。先行でのサイドチェンジで絶対に展開を通すためにサイドインすることはありますが、普通にやってる分には必須ではありません。
詰みになるカードの少なさ
【粛声】を1枚で完全に捲るカードというものはほぼ存在しません。
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既に説明したとおり《超融合》などで対象を取らずに守護者と祈り手を除去したとしても、《粛声なる祈り》によって再び守護者が出力。
皆大好き壊獣や《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》などで効果以外の除去を行っても《粛声なる祝福》の儀式効果によって手札から再び守護者が登場。
《冥王結界波》などの対象をとらない無効カードも祝福あるいは威光でケア可能。
もちろん《拮抗勝負》などの守護者で止めることができるカード群は1枚ならまったく問題ありません。
逆に先行側にやられて完全に詰むというカードもそんなにありません。
当然ですが、《アーティファクト・デスサイズ》のようなEX封じはまったく効きません。
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《次元障壁》を打たれても《粛声なる祝福》で相手ターンに儀式可能なのでターンスキップではありますがそれ一枚で詰むわけでもないです。
《次元の裂け目》《ディメンション・アトラクター》《異次元グランド》のような墓地除外カードも儀式が不可能になるわけではなく、除外されたカードが祝福で回収可能なのでちゃんとメインギミックで対応できます。
儀式テーマではありますが、《魔封じの芳香》や《魔法族の里》も竜賢姫サフィラのモンスター効果で儀式可能だったり祈り手ローが永続魔法を”置く”効果のためわりと無視できます。
《御前試合》は光属性統一なので全く刺さりませんし《センサー万別》も守護者と祈り手の種族がバラバラなのでそんな有効ではありません。割拠はヤバイよ
【ラビュリンス】に対する羽根帚や、墓地利用デッキに対するアトラクターのように、食らったらガチでヤバいカードというものが【粛声】にはそんなにありません。
それこそ光属性モンスターの効果を一切封じるとかされない限りは【粛声】を詰ませることは難しいのです。
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【粛声】の弱み
プレミ
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【粛声】最大の弱点であり欠点です。
正直に言えばこのデッキは相手を妨害する回数自体はそんなに多くありません。
祈り手+守護者+結界と3枚カードが置いてあっても妨害はローガーディアンの無効破壊1回だけです。
しかもローガーディアン以外の妨害と言えばサウラヴィスの召喚無効・ペンデュラムグラフの魔法無効・威光の破壊といったように妨害の質が全然違います。
つまりは、妨害の打ち所をミスると簡単に負けます。
ぶっちゃけ現代遊戯王で守護者+祈り手+結界を捲るのはそんなに難しくありません。ローガーディアンの発動無効を使わせて、結界を剥がしてしまえば祈り手も守護者も無防備です。
モンスターによる手数のあるデッキであれば、《アクセスコード・トーカー》や《世海龍ジーランティス》を成立させるだけでも捲れます。
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守護者の無効を吐いた後に《三戦の才》を打たれて守護者なり祈り手をパクられる。たったこれだけで負けられます。
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故に【粛声】の使い手は、相手のデッキが何か判明したときに、そのデッキが一番妨害を打たれたくない場所はどこなのかを把握していないといけないし、どんなカードを採用しているだろうか?【粛声】の盤面を突破するにはどういったプレイをするのか?といったことを常に考えて、適切な場所に適切な妨害をプレイしなくてはいけません。
対戦相手のデッキをよく理解し、対戦相手のプレイングを推測して当てる必要があります。
他のデッキにも同じことが言えるのですが、特に【粛声】は手数がありません。
故に行動回数に限界があり、プレミを許容できる余裕がありません。
仮に【R-ACE】であれば妨害数が多いので、数回マストカウンターを読み間違えても他で埋め合わせることができますが【粛声】はそれが無理です。
自分が今から使う妨害は本当にそこに当てるべき妨害なのか?裏目となるカードは何があって、それがきたらどうするのか?常に正解のプレイを求められます。ミスれば負けます。
とにかく、ありとあらゆる場面で最適なプレイングを求められる・ミスれば負けるというのが【粛声】というデッキなのです。
手数で乗り越えられてしまう
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ちょっとフライングして言ってしまったんですが、はっきり言って【粛声】には妨害数があまりありません。質はいいけどね。
それが意味するのは、結局手数で盤面を越えられてしまうということです。
確かにマストカウンターを見極めて妨害を打つことは大事ですし、それで勝てる試合もたくさんあるんですが、そもそも相手の手札全部が通してはならないカードだったりしたならどうしようもありません。お手上げです。
所詮はミッドレンジデッキ。
【粛声】を使うことを選ぶということは、そういうどうしようもない負けを受け入れなければならないということでもあるのです。
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逆にいうと、【粛声】がサイドデッキに《魔封じの芳香》《サモンリミッター》などを採用する理由はだいたいこれです。
手数ごり押しが無理だから、それをさせないカードを採用して守護者で守るってワケです。
永続魔法罠への依存度が高い
【粛声】のパワーは永続魔法罠に大きく依存しています。永続魔法罠が強力であると言いましたが裏を返せばそれがそのまま弱点です。
結界を無くせばモンスターの対象耐性も攻撃誘導も消えますし、祝福を消せば突然の儀式召喚による妨害追加も恐れる必要が無くなります。
威光を消せば、シンプルに1妨害消えます。
ローガーディアンをなんとかしようとするよりも、これら永続魔法罠カードを狙い撃ちするほうが簡単で効果的です。
【粛声】は、魔法罠を狙われるのが弱点なんです。
例えば結界や祝福、威光に対する《幽鬼うさぎ》はマストカウンターとなりえます。
特に初動を拾いに行く結界に刺すのは致命傷になります。
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《コズミック・サイクロン》や《醒めない悪夢》で除去するのも同様、先行で伏せておけば後攻の【粛声】は非常に不利になります。
もちろん、《ハーピィの羽根帚》や《大嵐》、《ライトニング・ストーム》でこれら永続カードを一掃されることは絶対に避けなければなりません。
盤面に触れるカードが乏しい・後手捲りが弱い
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テーマカードを見てもらえば分かりますが、相手のカードを除去する手段がぜんぜんありません。
唯一相手のカードに触れるのは《粛声なる威光》のみで、しかも罠カードと遅くかつメインフェイズのみ・儀式モンスターがいないと破壊効果が使えないという条件があります。
モンスターは守護者の4100打点で殴って処理できます。
しかしその方法以外で相手のカードを除去したい場合はエクストラのカード《S:Pリトルナイト》や《閃刀姫ーアザレア》《大儺主水》《カオス・アンヘルー混沌の双翼ー》などに頼るしかありません。
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【粛声】はモンスターを横展開することが得意なわけではないため、これらを上手く使うには苦労します。
しかもこれらのモンスターを出せるということは、初動となるカードや展開が通っているということでもあるので、結局先行制圧系のデッキに対してはこれらを出すことすら出来ず沈んでいくということもしばしば。
つまりは【粛声】のギミックでの後手捲りは絶望的ということになります。
通常の【粛声】において手札誘発が大量に採用されるのもこういった理由からです。
誘発をつかって相手の先行展開を弱めないと話にならないのです。
つまり【粛声】とは…
高い平均値を出せるデッキ
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ということです。
・多数の手札誘発を積むことができ、1枚初動があるので後手でも十分闘える。
・メインギミックに無効誘発ケアがあり、また各カードのパワーが高いので誘発を貫通して盤面を作りやすい
・Gやニビルを弾く必要がないので、これらを通されることで盤面作成できなくなる恐れがない
・守護者の万能無効によって、どんな対面にも刺さる妨害を1回は用意できるし、やばいカードも1回なら止められる
こういった各要素によって、なにもできずに負けてしまうゲームというのがほとんどありません。
「デュエルの参加権」はほぼ確実に手に入ります。
ただその代わり、「展開しきった相手の盤面を崩す貫通力」や「一気にゲームを決められる爆発力」のようなものはありません。
これを通せば勝ち!というわかりやすいムーブもなく、デュエルに勝利するには守護者の無効破壊などで着実に相手とのアドバンテージ差を作る必要があります。
例えるなら、公務員のようなデッキ選択。それが【粛声】です。
【粛声】はこんな人にオススメ
まあぶっちゃけてしまえば、【粛声】は飛び抜けて強いデッキというわけではありません。1枚1枚のカードパワー自体は高いですけどね。
メチャ強いデッキを使いたい!っていう人にはおとなしく【炎王スネークアイ】とか【R-ACE】を勧めます。
【粛声】というのは、"丸いデッキ"なんです。
・Gやニビルの存在を実質無視できる
・耐性、万能無効、盤面修復によって雑な捲り札1枚では負けない
とにかくこの2点が最大のメリットです。
1枚のカードで対戦相手にイージーウィンされることがありません。
丸いっていうのはそういう意味です。
逆転を許さないので、「結界の対象耐性が辛くて守護者の万能無効を打たれるのも重い」《拮抗勝負》のような汎用捲り札に後手を頼りきるようないわゆる弱いデッキには99%負けません。
某氏の言葉をお借りすると、「よわいものいじめ」がめっちゃ得意。
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手札事故、誘発なし後手、Gやアトラクターなどでイージーウィンをされたくない…つまり、1枚のカードでゲームを決定されたくない
対象耐性や発動無効がきついような、手数のない弱いデッキをボコボコにしたい
【神碑】に親を殺されたのでなんとかして復讐したい
一気に展開して勝ち!のようなゲームではなくもっとスローで堅実な遊戯王がしたい
こういう人にこそ、【粛声】が似合うでしょう。
【粛声】が有利な相手・不利な相手
これは結構分かりやすいです。
【粛声】が有利なのは、手数が限られてかつマスカンが分かりやすいミッドレンジ。不利なのは手数が多かったりパワカを連打してくる展開系や60デッキです。
理由もシンプル。【粛声】の妨害で止めきれるなら有利、止めきれないなら不利です。
で、もう一個有利不利の要素があります。
それは"サウラヴィスの召喚無効が刺さるかどうか"です。
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【粛声】にとって用意しやすい妨害は守護者の万能無効が1番で、次に威光。その次にサウラヴィスです。
たとえ手数の多いデッキであっても、【斬機】のようなリンクデッキであれば高リンク体にサウラヴィスの召喚無効が強く刺さります。
逆にミッドレンジデッキであっても、【キマイラ】のような融合デッキであればチェーンブロックを組む特殊召喚のためサウラヴィスの召喚無効が刺さりにくく、そのため融合するカードを守護者で止めるしかなくて辛いということです。
ちなみにミラーは超絶先行ゲーです。
【粛声】の対策
【粛声】を対策するにあたって、やることは2つしかありません。すなわち
・誘発を投げまくってそもそも盤面を作れないようにする。
・捲り札か手数で完成盤面を捲る。
のどちらかです。
【粛声】における強さの8割くらいは守護者+祈り手+結界の盤面なので、それを「不成立にさせるか」「成立しても捲れるようにするか」のどちらかという単純な思考でオッケーです。
誘発を投げる場合
【粛声】に誘発を投げる場合、必ず盤面を不成立にするという覚悟を持ってやることが大切です。
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なぜならば、もしも誘発を投げたうえで守護者+祈り手の盤面が成立してしまった場合、減った手札・限られた手数で盤面を捲るのは至難の業だからというのがひとつ。
そしてもうひとつの理由は、【粛声】は動き次第で相手の手札誘発を腐らせることが出来るからです。
たとえば《幽鬼うさぎ》を《粛声なる結界》に打とうと思っていても、結界より先に守護者と祈り手が出力してしまうとそれ以降は守護者の無効破壊で止められてしまうのでうさぎは打てなくなってしまいますよね。
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よって、その場合守護者+祈り手成立後の展開はダダ通りとなってしまい、しかも手札に残ったうさぎは実質1ハンデスです。(それでも祝福や威光に打てる分他の誘発よりはだいぶマシですが)
つまり【粛声】相手には誘発で”盤面を弱める”といった発想は捨てた方が良いです。
やるならなにがなんでも展開を阻止するという確固たる意思を持って誘発を投げるべきです。
実際に展開の不成立を狙う上で、最も効率的なのは祈り手ローの欠損をさせることです。
ローがなければ守護者は無効を打てないただの置物ですし永続カードも置けません。
ローを欠損させる誘発の打ち方とはつまり
・ローガーディアンのサーチを止める
・神巫のリクルートを止める
・結界のサーチを止める
・ローの蘇生を止める
これが達成できればオーケーです。これを意識した上で打てるところに打てる誘発を打ちましょう。
捲り札で捲る場合
捲り札で【粛声】を何とかしようと思う場合、まず除外すべきは《超融合》《サンダーボルト》などの除去札や壊獣・ラヴァゴ・サタンクロースなどのモンスター除去カードです。
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前者はシンプルに墓地の《粛声なる祈り》で守護者の出し直し+祈り手の蘇生となり、盤面は全く解決しない(なんなら永続が増えて悪化する)ので。
後者は《粛声なる祝福》によって守護者の出し直しが可能であり、だからといって祈り手ローだけを狙い撃ちしても《粛声なる威光》でやはり出し直しが可能なので【粛声】側次第でいくらでもケア可能だからです。
つまりこれらのカードはメタカードとしての役割を全く果たしてくれません。効いたとしても相手が浅かったからが理由のラッキーパンチです。
それよりも一考の余地があるのは《ハーピィの羽根帚》《大嵐》《三戦の才》のような守護者ローガーディアンの無効破壊を打たざるをえないようなカードです。
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手数で守護者+祈り手+結界の盤面を回答できるデッキならば、これらのカードでローガーディアンの万能無効を吐かせることで捲りにつなげることができるのです。
そういう意味では《拮抗勝負》も悪い選択ではありません。(どうせならバトル放棄しない他のカードのほうが良いとは思いますが)
中でも特別有効なカードは《禁じられた一滴》です。
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対象を取らないかつ実質チェーン不可の無効効果で確実に無力化が可能で、速攻魔法であることを活かしローガーディアンの無効効果に合わせて打てるのが非常に強力。出し直しによるケアすら許しません。
ぶっちゃけ、「【粛声】に勝ちたいのなら一滴を積め!」といっていいレベルで刺さります。
マスターデュエルの【粛声】
悪くない
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【粛声】は実はシングル戦に適正があります。まあYCSJで結果残してるんで当然っちゃ当然ですが。
・Gニビルといったターンスキップ誘発が実質効かない
・守護者の万能無効により予想外の事態に対応可
やはりこの2点が大きいです。
シングル戦はみんなGを積みます。
でもなんで積むのかと言えば「増Gが通ればかなりの確率でノーガードないしは最低限度の妨害でターンを渡してくれるから」です。
でも【粛声】にGを打っても別に普段と変わらない盤面を作られてしまいます。
大多数のデッキが《増殖するG》を通してしまうとターンスキップせざるをえないという中で、【粛声】はそれを無視できるというのは、それだけで十分な強みであり使う理由にもなります。
それで完成した盤面には攻撃力4100の対象耐性+発動無効持ちモンスターがいるわけです。
この「対象耐性と高打点によって干渉しづらい万能無効モンスター」こそが【粛声】最大の武器であり、シングル戦においての強み。
万能無効があるというのはやはり安心感がありますし、それをムダに吐かされることもないというのが何のデッキが相手か分からないシングル戦では信頼できるのです。
そういう安心感と安定感が対面がわからないシングル戦においては頼もしく感じるでしょう。
なんか既に規制されてる
2024年8月現在のマスターデュエルでは、《強欲で金満な壺》が制限。《天底の使徒》が準制限に指定されています。
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OCGではメインギミックの安定性を上げるためにこれらのどちらかをフル搭載する型が主流でしたが、これらが既に規制されていることにより多少弱体化していると言えるかもしれません。
実際に触ってみるとわかりますが、これらがないと普通に事故るし手数が足りなくなります。
とはいえ《三戦の才》や《金満で謙虚な壺》《深淵の獣マグナムート》など、採用できるカードは他にいくらでもありますし、天底と強金両方採用することも不可能ではないです。
ただ、シングル戦において初動の安定性というのは極めて重要であるので、そのあたりマスターデュエルにおいては不安ではあります。
《ワン・フォー・ワン》とか入れますか?と言われると…。
もしも世界がインフレしたら…
当たり前の話をします。
【粛声】が強いのは、世界に【粛声】より「弱い」デッキが溢れているからです。
でもこの「強い弱い」は、誘発の枚数が多いだとか、1枚のカードパワーがどうだとか、そういう話をしたいのでは無いです。
ここでの問題は「相手の妨害を踏める回数がどれほどあるかどうか」ということ。
例えば【炎王スネークアイ】であれば、《スネークアイ・エクセル》に妨害を受けても《炎王の聖域》や《篝火》《黒魔女ディアベルスター》などの素引きでまだ動くことが出来ますよね。
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こういう「召喚権を使った動きを潰されても、モンスターを特殊召喚したりカードの枚数を増やせる素引きの札」を”手数”といい、これがそのテーマデッキの”出力”です。
先攻も後攻も一緒、これがあるかどうかがそのデッキの「強さ」で、誘発貫通力や捲り性能に直結します。
さて、先ほども書いたとおり【粛声】には妨害数があまりありません。
なのでこの”手数”を見切って適切に妨害を当てないといけません。
でもそもそも「妨害を吐かざるを得ないカード数」が【粛声】の妨害数を上回ってしまったらそういうの関係なく負けてしまう、というのも既に説明しましたよね。
結局何が言いたいねんという話ですが…
それは「世の中にいるデッキがどれもこれも【粛声】の妨害数を軽く越える"手数"を持っていたら【粛声】は生きていけないんですよ」ということ。
そんな世紀末環境がきたら【粛声】はやっていけません。もしマスターデュエルがそうなってしまったのなら、【粛声】が生きていく道は先行神罠ガン伏せくらいしかなくなってしまうでしょう。
いやーそんなハイパーインフレ起こるかな~。
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まとめ
・【粛声】とは対象耐性、攻撃誘導、万能無効破壊を持つ低速ミッドレンジ
・スーパー【神碑】キラー
・展開が短くGやニビルのような誘発が重くない
・サウラヴィスがメインギミックのために無効誘発ケアが簡単
・単純な捲り札1枚では詰まない堅い盤面が作れる
・妨害数が少なく、守護者の無効破壊をどこに打つのがマストなのかなど対面理解が求められる
・盤面処理が不得手
・よわいものいじめ
・サウラヴィスの召喚無効によってシンクロリンクエクシーズデッキ相手は得意だが、融合デッキは苦手
・一滴はガチでやばい
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おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございます。
【粛声】は祈るテーマです。
先行展開が通るように"祈る"。
後攻ならたくさん誘発引けるよう"祈る"。
対戦相手が【ユベル】じゃないことを"祈る"。
対戦相手が三戦や羽根帚を引いてないことを"祈る"。
サイドチェンジ後はサイドカードを引けるように"祈る"。
どのデッキもそうなんですけど、【粛声】の場合はその特性上本当にこの祈りが通じないとあっさりと負けてしまいます。
だからといって全て神頼みなんて言語道断。運というものは人事を尽くしてこそついてくるもの。
祈りが通じるよう、日頃の行いが大事。
通じた祈りを無駄にしないよう適切なプレイが大事。
引きの強さとプレイの正確さ、遊戯王の基本が詰まっているのが【粛声】です。
興味があれば、ぜひ使ってみてください。
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