ホストとの大恋愛の結末アラフォー編
以前の記事「結婚式直前に元夫が逮捕?なぜ結婚した?」で軽く触れていたが、私は自分が好きになる人は不幸にしてしまうと思っていた。
離婚後の人生でやってみたかったこと
元夫との結婚生活を終える頃、すでにあの思い込みは外れつつあった。
せっかく新しい人生を始めた自分がやってみたいことをたくさんやりたい、そう思った。
いくつかあったことのうちのひとつが、受け身でなく自分から恋愛を始めてみるということだった。
とはいえ、やり方もわからないし、誰でもよいわけでないし、いざそうなった時に備えて練習もしておきたい。そんな風に考えるとプロの手を借りて練習するのはどうだろうか?と思い浮かんだ。
思い浮かんだのが、ホストのお兄さんに練習させてもらうことだった。
都合の良いことに、元夫から離婚時に渡された手切金があるので、それを授業料に充てさせてもらうことにした。
周囲の友人たちには危険だと止められたけれど、自分は予算内でしか絶対通わないという自信や、プロの人の方が後々ややこしくならない(のちに想像とは違うややこしいことは起こるのだが)と思っていたから平気だった。
きっとホストのお兄さんたちの中には、売り上げの事が一番大事で、お客様はお金にしか見えていない人たちもいるだろう。
実は、私はこの予算内でこういう体験がしたいという自分なりの目標を決めていた。
だから、お金にがっつくタイプのお兄さんとは早々に縁を切って、今後の自分の人生においてこの人と会えてよかった、学べてよかった、経験してよかったと思えそうなお兄さんたちに遊んでもらっていた。
2、3年くらいの期間だったと思うけれど、私は本当にホストのお兄さんたちには楽しい経験をさせてもらったと思っている。
恋愛で試してみたかったことも十分にさせてもらったし、今までのできなかったを全部クリアできた必要な体験であり、クリアできたから後悔もなく感謝している。
ある時、このお兄さんにして欲しいことは全部クリアしたなあと思ったので、もう通うのを辞めることを告げた。
とはいえ2度と会わないだろうと思うと寂しさもあり泣けてきた私。
お兄さんもまた会いたいっていうんだけど、そうやって引き留めて売り上げ下げたくないんだろうと思って、私は泣きながら怒った。
売り上げじゃなくて、普通にまた会いたいからとお兄さんに言われた。
最初は何のことかよく分からなかったし、これってプロとしては絶対あかんことやんかと怒った。
そのまま半日電話で話し合いをして、普通にお付き合いをはじめた。
付き合う前のお客様時代も、付き合ってからも彼はよくこう言っていた。
『いくみらいちゃんには頼れる身寄りがいないから病気をした時の差し入れや、唯一まともに連絡が取れる父にもしもの不幸があった場合は手助けをする、その時にお別れしていたとしてもそれだけはやらせてほしい。』
それだけは冗談だときついから、取り下げて欲しいと言っても、本当だって折れないのでそれも信じることにした。
彼の仕事
私が彼のお客様だったころは、彼のプライベートをこちらからあまり聞かないのが作法だと思っているので聞かなかった。
お昼にも仕事をしていると聞いていたから、何をしているのか聞いてみたら答えるのが恥ずかしそうだった。
反○○勢力とかではないならそれでいいし、バイトみたいだし、嫌そうなのに無理に聞くのもどうかと思って聞かなかった。
実家にも出入りしていたし、週の半分以上は一緒に居たし、そのうち分かるだろうと思っていた。
そして、彼はホストのお兄さんのお仕事も続けているので(つまりダブルワークってやつ)私が知っている職業がそれだけだ。
だから、友人たちから彼は何をしている人?と聞かれると正直すぎる私はホストのお兄さんをしているとオープンに答えていた。
その後私自身は、彼のお店に行くことはなかったし(冗談でも来ないで欲しいと禁じられていた)職業なんて関係ないんだけれど、面白がってくれる人たちも多かったし、私は私で架空の理想だったはずの人が本当にパートナーになってしまったことが嬉しくて幸せでもあり、初めて自分で選んだ恋愛だったから今までとは違う感覚で、相手が愛おしいとか大切だとか感じることができた。
本当は不安だったこと
彼と過ごした時間はまるで今まで体験できなかったアトラクションみたいでとても楽しかった。
でも、以前の恋愛からある「お付き合いする人が仕事をしなくなる」の法則はこの彼にも当てはまった。
ホストのお兄さんとしての営業活動も思わしくなかったし、いつもお金がないが口癖だった。
デート代は私が負担しても良かったのだが、彼のプライドが許さないし、その気持ちはありがたかった。
別に一緒に居られればいいけれど、ことあるごとにお金がないと言われると、私がいるから仕事に身が入らないんじゃないかと感じて辛かった。
私が居たら迷惑をかけているんじゃないかという気持ちで、私が落ち込むこともあった。
それを正直に告げても彼の機嫌が悪くなるだけなのでなんとか自分の気持ちを切り替えようと努力してみてはいた。
そしてそれが裏目に出るというか、彼には余計なことでしかなかった。
さらに、彼はいわゆる好きな人はいじるというタイプだった。
わざとデブって言ったりブスっていうタイプでそれに悪気がないことは理解している。
でも、言わないで欲しいときもあった。
彼も私も当時は喫煙者だったのだが(私は今はすっかり辞めている)、どこでも歩き喫煙して隠して捨てるのは見ていて不快だった。
同じ喫煙者として吸いたい気持ちは理解できるので、調べて喫煙ルームまで誘導したりしてできるだけマナーを守ってくれるように工夫しても、そこら辺に隠れて吸っては吸殻を捨てることもあった。
また、私のマンションの下は月極の駐車場であった。
私は車を持たないので契約していなかったにも拘わらず我が家に来るときは、管理者がいないからバレないという理由で空いている駐車場にいつも車を勝手に停めていた。
近所のコインパーキングに案内して、私が駐車場代を負担してもいいからそこに停めて欲しいと言っても聞き入れられなかった。
喫煙について注意をしても、全く聞き入れられなかったし、あんたも普段は吸ってるくせに言う権利はないのマイルール(私は歩き喫煙なんてしないけれど)
道の真ん中に捨ててるわけではないとからマナーは守っているという謎のマイルール。
駐車場に関しては実際何も言われてないから大丈夫のマイルール。
言われてからじゃ困ると言っても俺と駐車場の持ち主との話であってあんたに関係ないというマイルール。
そこに停めてうちに来ているのだから完全に無関係ではないと言っても彼は理解できないし、彼からいろいろ細かくてウザい人間って言われたこともショックだった。
そして、付き合って4年経ってもホスト以外にやっている仕事の事は話してもらえない。
不信感になっていると伝えても、それを聞かれることが私に対する不信感になるという。
つまり私が聞くことすら許されなかったし非難されて悲しかった。
少しずつ積もっていったもの
私は最初から彼に申し訳なさを感じていた。
本来は仕事であるはずの私との時間を仕事としては手放させてしまったとか、まだ若いんだからいろいろ大目に見てこちらがカバーできることはしようとか、申し訳なさからの選択肢が傲慢だったと思う。
私さえ折れればいつも楽しい時間が過ごせると。
これは間違っていると感じつつ、修正しようと思うのだけれど、やればやるほど私自身が不安定になっていった。
どうしてよいか分からないから、一緒にカウンセリングに行って欲しい、嫌ならついてくるだけでいいと何度も頼んだ。
『カウンセリングをしたら幸せになる保証はあるのか?』
『そのカウンセラーってそんなに偉いのか?』
『そんなに偉いのなら総理大臣にでもなんでもなれるやろ?』
そう言って彼は否定することしかしなかった。
その言葉たちが刺さった。
そして、彼は私に死ねといった。
心の弱い人間なんて死ねばいいと思っていると。
実は彼にとって死ねは口癖。
冗談の範疇で死ねと言う。
冗談でもやめた方がいいよって言ったら余計に面白がって「うるさ~い!死ね♪し~ね!死ね~」を曲のようにアレンジして連呼する。
いつもならまた冗談だって笑えた。
けれど、もう私も精神的に一線を越えてしまったかのように重いものが心にズシリと落ちた。
涙が止まらなくなって「そんなこと言って本当に死んじゃうこともあるよ・・」と辞めてほしくて伝えた。
彼は脅しだと言って私を非難した。
『俺に死ねって言われたやつ今全員生きてるわ』のマイルールで罵倒してきた。
今でも思い出すと胸が痛いし声もはっきりと頭の中で聞こえてくる。
『パートナーは冗談でも本気でも死ねって言わないような優しい人がいい』
ついに私は彼にそう言ってしまった。
彼にそれを辞めてほしくて言ったんだけど、返ってきた言葉は
『じゃあ、これからそういう人見つければ?』
彼はその日から一切連絡して来なくなった。
もう終わりと分かったことと信じていたこと
最後はとても悲しかったけれど、私にはこの経験は「やってみたいこと」だった。
楽しい恋愛の経験も無かったし、一緒に遊ぶということにおいては友達も含めて今までの人生で最高に楽しかった人だった。
地元の遊園地すら滅多に行かなかった私が、大人になってから、一生縁がないだろうと思っていたディズニーランドやディズニーシーに何度も行った。
夏の海で泳ぐとか、学生時代で終了だと思っていたけれど彼とはワンシーズンに何度も何度も行ったし、お互い野球観戦が趣味で全国いろんな球場に足を運んだし、苦手だった花火大会の混雑も彼といたら平気だった。
そしたら、生きているうちにこんな体験がしてみたかったんだってことをやりつくせた喜びもある。
彼に出会うまで日常で持っていた、若いうちにもっと楽しんでおけばよかったなどど思う自分に対する不満やストレスは今は本当になくなってしまった。
もし彼と出会っていなければ、レジャーを楽しめる人という目線でしか人と出会えなかっただろうし、楽しさ最優先だとほかの事は気にならなくなるはずだ、楽しさが全てをカバーしてくれるのでは?と思い込んでいた自分のまま今も生きていただろう。
それは、頭の中ではわかっていたことだった。
パートナーに楽しさを求めるなんて表面上のものを追ってもそれはずっと続かないことだということを。
でも、何でも体験しない納得しないタイプの私は
それを体験しないとと進めなかったんだ。
とはいえ、人というのは贅沢な生き物で、今まであった楽しいことがもう体験できないかもしれないと思うと、一生分、お腹いっぱいの体験ができたからこそいなくなるのは辛かった。
これで良かったはずと言い聞かせるけど、毎晩夢に出てきてうなされたり、よく似た背丈の人を見かけると彼に見えてしまう幻覚が数年続いた。
今はすっかりそんな症状も無くなって、あのまま一緒に居たらもっとしんどかったんだろうな、お別れを選んでよかったと心底思ってる。
だからこうして書く事もできるし、年のせいかもしれないけれど、切ない系の映画やエピソードを聞いても感情すら揺れないこともあった私が、ほろっと涙を流すような感情も出るようになった。
やっと一面クリアしてようやく次の面に行けた、大切な時間を過ごしたと思っている。
終わりに、きっとここを読まれたら
元夫と違って共通の知人などもいないから、気づくとしたら本人以外ありえないってことで全体公開にした。
ま、ほぼ見ることはないだろうし、もし見られてももう今は関係ないから何を言われてもいい。
で、もし見られたら俺の事ばかり悪者にしてるとか自分の事棚に上げて俺の悪口ばっかりって怒るだろうな。
もちろん、私もあなたから見たら同じように悪者だったと思うし、否定したい人間だと思う。
お仕事でやっていたときはあのわがまま聞いてくれたのに!って言ったり、私が引っ越した時に、賃貸契約の緊急連絡先に書ける家族がいなくって、あなたに書いてくれって頼んだけど断られて、パートナーなのに酷いと怒ったこともあったり、この女マジでむかつくって何度も思ったはずだから。
お互いにどっちから見てもダメなパートナーだったんだと思ってる。
そうそう、最後に会ってからしばらくして、父が亡くなったんだ。
私がバカなんだけれど、あの約束思い出したからあなたに連絡したんだよ。
『いくみらいちゃん(私)には頼れる身寄りがいないから病気をした時の差し入れや、唯一まともに連絡が取れるお父さんにもしもの不幸があった場合は手助けをする、その時にお別れしていたとしてもそれだけはやらせてほしい。』
信じたかったし、そんなのもう知らないって言われるだろうと思っていたけれど。
「は?そんなウソつくんや!」
ってお返事でしたね。
父が亡くなったのはホントもホントだったよ。
めっちゃ腹が立ったし、悔しかったけれど。
もし来てもらってなんかしていたら、私の今の幸せはなかっただろうから。
そして、父が亡くなった時の話に続く。