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Never Have I Ever ありのままのあなたが大好き


久々にネットフリックスで爆観していたドラマ、Never Have I Ever、約1週間でシーズン4までイッキにみた。


アメリカのハイスクールライフのよくあるコメディっちゃそうなんだけど、さすがに2020年代に放送されていたので、価値観がアップデートされている事が前提で、とってもみやすかった。


例えば、


クィアである事で差別されたり、それに対して戦いが起きたりする事もないので、
カミングアウトするかしないかなどのより細かな心情描写に入り込むことができたり、


色んな人種のいるアメリカで、肌の色や文化をどのように受け入れていきたいのか、
とても配慮されたキャスティングがなされていたり、


過去に起きた悲しい出来事(ホロコーストや戦時中の日系捕虜についてなど)にもちゃんとスポットをあてていたり、


色んな人がいる国だからこそ、コメディだからこそ、絶対に平和であるべきだ!という製作陣のしっかり固めた土台の上でストーリーが展開されていて、なんというか、安心した。もう構えたり戦わなくて良いんだなって。

あなたはあなたのままで大丈夫だから、思う存分青春を謳歌してねっていう前提で起こる悲喜こもごも。良かった。


前置きが長くなったけれど、ストーリーは至って王道。

スクールカースト下層のオタク女子3人組が、イケてるグループに憧れて奮闘しながらも、自分らしさをパッカーンとオープンにしていく展開。


学校一のイケメンと付き合いたくて痛々しい位背伸びをしたり、恋でも勉強でも負けたくなくてライバルと不毛な傷つけ合いをしたり、程度の差はあれ誰もが身に覚えのある思春期のあれやこれが詰まっている。

主人公デイビーの激しすぎる性格にゲラゲラ笑いながらも、時に共感性羞恥に悶えてしまう。こういう時期は、確かにあったよなって。


デイビーは1年生の時に目の前で父親を亡くしている。
そのショックで両足が麻痺して、車椅子生活を送っていた時期もある。


普通のドラマならばそのあたりの事があらすじのメインになりそうなものだけど、ストーリーはデイビーの一番のどん底時期を脱したあとの、緩やかな回復と成長を描いている。


彼女がただのイタい女子にならないのは、大人である私たちでさえ経験していないような圧倒的な悲しみを知っているからだ。

大多数の人は絶望しながらでも動き続けないといけないわけだし、特に貴重な青春は、嫌でもあっという間に過ぎてしまう。悲しんでばかりではいられない。
普通に勉強をして恋をして生活をして、デイビーは偉いよ。


ネバー ハブ アイ エバー
私が経験したことない事


初めては怖い。怖いけど、全ての物事において、ずーっと同じなんてあり得ない。

青春が終わってしまっても、人生は続く。もう初めての事なんてなくなってしまったような大人であろうと、来る日も来る日も新しい毎日に向き合い続けるしかない。


たまに足がすくんでしまいそうになるけれど、ドラマの中のセリフを借りれば、「時には自分を驚かせてみるのも悪くない」らしい。ぶち当たった結果はどうであれ、このドラマの根底にあるような圧倒的な平和があれば、なんだか多少の事はへっちゃらな気がする。


あなたはあなたのままで大丈夫だよっていうのを、自分の人生の土台にしたいと思う。どうしようもない悲しい事は何があっても起こるから。
地球の全ての不幸は解決できないけれど、例え失敗しちゃっても、目の前の“初めて”にチャレンジするのも悪くないなって、シーズン4のラストの大演壇が教えてくれた。デイビーも他のキャストも、どんどんキレイになってて、気づけば全てキャラクターの凸凹な魅力にハマってしまっていた。最終回がさみしい。


朝ドラ感覚で軽やかにみられる、楽しいドラマでした。見終わってしまったよ…、という感じです。





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