理由なんて、いらない
旅鳥たちの芸術祭では、予約制でヴィーガンカレーのランチセットを作っていただける事になった。
シェフは、クミさん&アキさん。お二人ともインドに滞在したことがあり、本場のヴィーガンやヨガを肌で感じ、吸収してきた方。
ヴィーガンと聞いて、どのような印象を持つだろう。
最近流行っている、なんとなくおしゃれなイメージ、という印象を持っている人もいるだろうし、
野菜しか食べないなんて変わっているな、本当に美味しいの?と思う人もいるだろう。
私自身はヴィーガンではない。
だけど、クミさんの作ったスイーツに魅了され、アキさんのカレーを食べた日は気分も身体も軽かった。
美味しいのですよ。まじで。
クミさんもアキさんも、インドのリシケシという町に滞在したことがあるそうだ。
ヨガとヒンドゥー教の聖地で、町全体が菜食。レストランやカフェに行って動物性のものが出されることは、 まず、ないそうだ。町の人々はとても穏やかで親切、らしい。
食べることって全ての根っこだから、その場所のその場所らしさを一番に表すのは、食文化だ。
肉しか食べない人がいる、野菜しか食べない人もいる、辛いものばかりの国があれば、甘いものをモリモリ食べる国もある。ふんだんにバターを使ったパンを毎日食べても、胃もたれひとつせずに日々を送る人たちがいる。
自分が普通だと思う事が、決して普通ではないということ。
空を飛ぶ鳥の視点で世界を見てみると、自分が生きている場所以外のほうが圧倒的に多い。
あまりの多様さにクラクラしてしまう位、人々が思う「美味しい」はそれぞれ違う。違うけれど、どこかで美味しく食べられているものは、それはやっぱり美味しいのだ。
「わからないものを、わからないまま受けとってみたら?」
アートの見方として私が唯一助言できるとしたら、この言葉しか出てこない。クミさんやアキさんのつくるインド料理にも、全く同じことが言える。
「誰かの美味しいを、そのまま受けとってみたら?」
いろんな人がいて、世界は知らない事ばかりで、そういう星に、私たちは生きているのだから。