僧職系登山男子と行く雪山登山・飯縄山 #2 死後の世界を追体験・飯縄山の十三仏
高尾山の天狗さま、発祥の地である飯縄山登山、第2回。
今回は、道中にある十三仏の石仏をご紹介します。
山行の様子を動画にしてあります。こちらも是非ご覧ください。
十三仏に手を合わせて
別荘地の車道の脇に鳥居があり、そこから登山道が続いています。
トレースもしっかりあって、降雪後にたくさんの方が登った様子。
最初はゆるやかな登山道なので、チェーンスパイク(冬の低山や夏の雪渓歩行に最適な軽アイゼン)。縦走用のピッケル(積雪期に使うツルハシのような道具)。
トレッキングポール(登山用ストック)は一本・ほぼ下山だけ、という使い方が多いのですが、今回は持ってきませんでした。
それから動画のオープニングでは法衣・袈裟ですが、着替えまして普通の積雪期登山の服装です。(冬山で法衣袈裟は無理かなぁと思います。)
お経を上げたいと思っていましたので、小野塚五条という略袈裟、念珠、錫杖を持っていきました。
十三仏とは
十三仏とは、亡くなった方の年忌法要を勤めるときに本尊となる13の仏さまです。
皆さん、閻魔さまって聞いたことありますよね。生前の行いを審判して、極楽に行くのか地獄に行くのかを裁く方。
この閻魔さまのお話を「十王信仰」と言います。儒教の影響を受けて中国で成立したとされる信仰です。この十王信仰と合わせて、十三仏が盛んに信仰されるようになり、現代へと続いています。
私たちは亡くなると七日ごとに仏さまの元をお参りし、それぞれのご加護のもとに四十九日をかけて、あの世に向かって旅をするとされています。(宗派や地域によってもこの辺りの信仰は様々な形があります。)
臨終から初七日までが不動明王さま。
最初の七日間は現世への思いを断ち難く、最も迷いやすい期間であると言われます。そこで、一番力の強い仏さまに導いていただきます。
閻魔さまは三十五日(五七日)。ここで審判を受け、四十九日に行くべき場所にたどり着きます。閻魔さまは地蔵菩薩が姿を変えたもの。
お地蔵さまは、地獄から天界までの全ての存在を救う慈悲の仏さま。
慈悲にも優しさと厳しさがある、ということなのかもしれませんね。
最後は虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)。
三十三回忌の本尊です。伝統的には、三十三回忌を以って弔い上げ。
これ以降は個人としての尊格がなくなり、広く先祖という存在になると言われています。
あらゆる霊山に十三仏がお祀りされます。
十三仏のお参りをしながら、山という死後の世界に旅をし、
新しい命を授かって日常へと戻る。
死後の世界を追体験する、ということなのでしょう。
一つ一つの仏さまのお話ができればよいのですが、長くなってしまいますから別の連載にして、今回は仏さまのお姿だけをご紹介します。
(十三仏のうち、第六弥勒菩薩さまを撮り忘れてしまいました。第十一大日如来、第十三虚空蔵菩薩は冬期ルート変更と急坂で余裕がなく撮影できませんでした。また夏山で紹介したいと思います。申し訳ありません。)
縁起を拝見しますと、再建されたのはそんなに昔ではないのですが、
やはり豪雪地帯にあるからか、風雪にさらされて霊験あらたかな雰囲気がある仏さまたちです。それでは、どうぞご覧ください。
第一 不動明王(ふどうみょうおう)
第二 釈迦如来(しゃかにょらい)
第三 文殊菩薩(もんじゅぼさつ)
第四 普賢菩薩(ふげんぼさつ)
第五 地蔵菩薩(じぞうぼさつ)
第六 弥勒菩薩(みろくぼさつ)
次回、撮影してきます。
第七 薬師如来(やくしにょらい)
第八 観音菩薩(かんのんぼさつ)
第九 勢至菩薩(せいしぼさつ)
第十 阿弥陀如来(あみだにょらい)
第十一 阿閦如来(あしゅくにょらい)
第十一の阿閦如来(あしゅくにょらい)までは、緩やかな道です。
阿閦如来が祀られているところが駒つなぎの場。昔、馬はここまでで、馬をつなぎとめていた場所なのだそうです。
ここからは急登。雪崩の危険があるため、冬期は冬道の直登となります。
では次回。
いよいよ飯縄山山頂を目指します。
阿閦如来さまのところでアイゼンに履き替えまして、
急登を登っていきます。
森林限界を超えて、青空が広がり、眼下には長野の町並みが遥かに見えます。
雪山の絶景と登りの過酷さが待っています。
是非お楽しみに。
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