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文化と美術

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主に日本の文化と美術について書いた記事を特集。
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#名探偵コナン

アートについて

下記は『アートがわかると世の中が見えてくる』(前﨑信也、IBCパブリッシング)という本からの受け売りである。  1 昔から文化・芸術・学問の発展にはパトロンの存在が大きかった。古く奈良時代は国家そのものがパトロンであり、平安時代は貴族、中世は武家、近世は大名や町衆、近代は実業家。寺社に至っては近代に入るまでずっとパトロンであり続けた。 今はどうかというと、パトロンが存在せず、芸術家の自助努力によるところが大きいと思う。国家(政府)は主に学問の世界において、逆に締めつけるよう

細分化した推理小説の統合:名探偵コナン

『名探偵コナン』は青山剛昌氏原作の推理漫画で、1994年から『週刊少年サンデー』に連載され、2年後の1996年からテレビアニメ化され、現在に至っている。作者は「殺人ラブコメ漫画」と評していて、主人公である工藤新一=江戸川コナンと毛利蘭の恋愛を軸とした複数の恋愛関係が作中で描かれ、そうしたラブコメを軸としたうえで、様々な事件が発生し、その謎解きが行われるという特徴を持つ。従来、ファンの間ではこの「ラブコメ」としての側面が強く意識されてきたようで、推理漫画でありながら「推理漫画(

劇場版『名探偵コナン』をやむなく貶す

最近は生活スタイルの変化やアニメオリジナルストーリーのマンネリ化などで放送を追わなくなったが、長らく『名探偵コナン』のファンである。特に劇場版は、静的になりがちな本格ミステリーに積極的にアクションを盛り込み、サスペンス要素を強めつつ本格ミステリーの要素もなおざりにしない構成にいつも感服している。 劇場版も途中から追えなくなってしまったが、上記の点からかねがね高い評価をしてきた。しかし、駄作とまで言い切るつもりはないが、劇場版『名探偵コナン』の中で、「紺碧の棺」と「天空の難破船