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文化と美術

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主に日本の文化と美術について書いた記事を特集。
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#葬送のフリーレン

アートについて

下記は『アートがわかると世の中が見えてくる』(前﨑信也、IBCパブリッシング)という本からの受け売りである。  1 昔から文化・芸術・学問の発展にはパトロンの存在が大きかった。古く奈良時代は国家そのものがパトロンであり、平安時代は貴族、中世は武家、近世は大名や町衆、近代は実業家。寺社に至っては近代に入るまでずっとパトロンであり続けた。 今はどうかというと、パトロンが存在せず、芸術家の自助努力によるところが大きいと思う。国家(政府)は主に学問の世界において、逆に締めつけるよう

『葬送のフリーレン』が哲学に革新をもたらす可能性について

1 はじめに ~一本の動画から~この記事は、アニメ『葬送のフリーレン』が哲学に革新をもたらす可能性について考察したものである。この思い付きは、一本の動画から始まった。 この動画は『葬送のフリーレン』を見た海外のアニメファンの感想を主に紹介するものだが、そうした感想を見ていると、物語が「魔王討伐の後日談として始まる」という掟破りの始まり方に驚く人がいる一方、フリーレンとヒンメルの関係から哲学的な視点で物語を読み解こうとしている人が割といることに気づかされる。日本でどのような捉

断頭台のアウラは自害するしかなかったのか

(注:筆者は『葬送のフリーレン』を未読・未視聴のまま考察している。文中、おかしなところもあると思うが、ご容赦願いたい。) 『葬送のフリーレン』は、2020年から『週刊少年サンデー』に連載されている異世界ファンタジー漫画である。「魔王討伐の後日談」として物語が始まるのが異色である。主人公の魔法使いフリーレンは長命なエルフ族の出身。かつて旅をともにした同胞たちに先立たれ、思い悩んだ末に「人間を深く知る」ため旅に出る。 この漫画のハイライトの一つが、フリーレンと断頭台のアウラの対