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文化と美術

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主に日本の文化と美術について書いた記事を特集。
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2025年1月の記事一覧

安全保障の言語と仕事の言語

 1 西田正規先生は『人類史の中の定住革命』の中で、人々が使う言語(ここでの言語は「〇〇語」の言語ではなく話し方・話し言葉と捉えるべきであろう)を「安全保障の言語」と「仕事の言語」に分けている。 言語は人類が集団を形成し、社会生活を営むうえで必須のものだが、文字として書き残さない限りはかたちとして残らないので、過去の言語(というか会話)を知るのはほぼ不可能である。しかしながら、均一化してしまった社会ではなく、古くからの生活習慣をとどめる、昔は「未開」と呼ばれた人々の暮らしを観

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アイドル考(『蓮丈那智フィールドファイル』に絡めて)

例年、1月から2月にかけてはいわゆるニチアサのうち、8時30分枠(現在はプリキュアシリーズが放送されている枠)の改変期に当たる。今年放送されるプリキュアは『キミとアイドルプリキュア♪(略してキミプリ)』に決まった。アイドルがテーマになるらしい。それに関連して、思い出したことがあるので少し書いていく。

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わんだふるぷりきゅあ!に絡めてオオカミを語る

【注意書き】 本記事には『わんだふるぷりきゅあ!』のネタバレを含みます。 【本文】 『わんだふるぷりきゅあ!(以下「わんぷり」と表記)』は動物と人間の交流がテーマで、敵がオオカミであることが途中から示唆されていた。2025年1月12日の放送でラスボスであるガオウの正体が明かされたが、オオカミではなくヒトというのは意外だった。ただ、正体がヒトだったことで、ますます「どう決着をつけるか」が気になるところではある。 オオカミが絶滅して久しい今、生態系も大きく変化しているし、人の意

劇場版『名探偵コナン』をやむなく貶す

最近は生活スタイルの変化やアニメオリジナルストーリーのマンネリ化などで放送を追わなくなったが、長らく『名探偵コナン』のファンである。特に劇場版は、静的になりがちな本格ミステリーに積極的にアクションを盛り込み、サスペンス要素を強めつつ本格ミステリーの要素もなおざりにしない構成にいつも感服している。 劇場版も途中から追えなくなってしまったが、上記の点からかねがね高い評価をしてきた。しかし、駄作とまで言い切るつもりはないが、劇場版『名探偵コナン』の中で、「紺碧の棺」と「天空の難破船