親魏倭王、本を語る その24
【本格vs.社会派という不自然な対立】
「社会派推理小説」の先駆となった松本清張は、推理小説に社会小説の要素を取り入れたが、『点と線』で時刻表トリックを使っていることからわかる通り、比較的トリックを多用する作家だった。
よく「本格vs社会派」という対立構図を目にするが、これは変な対置のしかたで、本格は推理小説の形式、社会派は推理小説の内容に基づく呼び方だ(と自分は認識している)から、対立関係にはなり得ないと思うのである。松本清張の推理小説(特に『点と線』)を形式で分類するなら