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少子化の原因は高すぎる社会保険料?
はじめまして。やまとと申します。
5歳の息子と2歳の娘の子育て中のママ経営者で、上の子の育休中に起業して現在創業5年目となります。
ありがたいことに徐々に事業を拡大することができ、少しずつ従業員も増えてきました。
その中で最近、少子化の一因は社会保険料にあるのではないかと思うようになりましたので、その理由などについて書かせていただければと思います。
少子化の一因は社会保険料にある?
このnoteでは、経営者として会社を経営する中で社会保険料こそが少子化の原因だと感じた理由についてお伝えしたいと思います。
私が、高すぎる社会保険料が少子化の原因となっていると考える理由は、経営者として5年間やってきて、従業員の社会保険料の負担というのが想像以上に重いと感じたからです。
意外と知らない社会保険料の仕組み
知らない方も意外と多いので、少しだけ背景を説明させていただきましょう。
会社員の方の社会保険料というのは
個人負担分と会社負担分に分かれており、
会社は、社員が給料から天引きされる社会保険料と同じ分だけ社会保険料を負担しているのです。
そのため、従業員の方が思っている以上に会社が感じている社会保険料負担は重いのです。
事例で見る社会保険料の重さ~東京都に住むサラリーマンの田中さん(41歳、月給40万円)の場合
社会保険料負担の重さを知っていただくためには、具体例を挙げてご紹介するとわかりやすいでしょう。
そこで、以下では東京都に住む月給40万円のサラリーマンの田中さん(41歳)の場合について考えてみましょう。
上記の条件ですと田中さんの社会保険料は
健康保険料 23,472円
厚生年金保険料 37,515円
で、合計60,987円が給料から天引きされています。
そして、実は会社も田中さんに40万円の給料を払うと、折半額として田中さんが支払った社会保険料と同額の60,987円を国に支払わなければいけません。
つまり、会社としては、毎月40万円ではなく、46万円を田中さんに支払っているという感覚なのです。
でも、田中さんの手元に入ってくるのは339,013円
なんだか、だいぶ違いますね・・・
その差なんと、約12万円です!
社会保険料の負担がどれだけ重いかが少しは伝わったでしょうか?
さらに実際は社会保険料以外にも税金などが引かれて、田中さんの手元にはもっと少ない額しか残りません。
賃上げ分の1/3が社会保険料に消える絶望
この重い社会保険料負担は、会社に賃上げを躊躇させ、「いくら働いても給料が増えない」という絶望を従業員に与えます。
例えば、先ほどの例で挙げた田中さんの例で考えましょう。
田中さんはいつもすごく頑張ってくれているので、やまと社長は、その頑張りに報おうと給料を月額3万円アップさせ、43万円にしよう!と考えたとします。
すると、月給が43万円になるのに伴って社会保険料も
月額60,987円→65,450円 となんと約5千円アップします。
3万円の賃上げのはずが、25,537円しかアップしないという計算になりますね。
しかも、この場合、会社が払わないといけない社会保険料も約5千円アップしてしまいます…
会社としては、予算にも限りがあるので、3万円アップのつもりが、3万5000円アップになったら困る…と考えます。
するとどうするかというと…
じゃあ、申し訳ないけど社会保険料の分を織り込んで、田中さんの昇給額は3万円じゃなく2万5千円とさせていただこう
と考えるでしょう。
そうすると、田中さんの給与は42.5万円となり、そこから社会保険料の65,450円を差し引くと359,550円となります。
つまり、当初の給料の手残り額339,013円と比較すると
20,537円アップということになりますね。
不思議ですね。
会社としては田中さんに支払うお金を毎月3万円増やしたはずなのに、田中さんが手にするお金は毎月2万円しか増えないのです。
実は社会保険料の負担額は年々上がっています。
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「何年働いても全然給料が上がっていかない」
そんな恨みに似た声を時々耳にしますが、会社としては徐々に増やしているつもりでも、そのうちのかなりの部分が社会保険料として持っていかれている(しかも年々その負担割合がこっそり上がっている)から、実際に働いている人の感覚として給料が増えない!と感じられるのかもしれません。
これって経営者としてもとても心苦しいんですよ。
給料上げてモチベーション上げてほしいのに給料を上げたら国にごっそり持っていかれる。賃上げの意欲も削がれてしまいます。
重い社会保険料負担の中、経営者はどうするか?
さて、ここまで、社会保険料の高さを知っていただくための前置きが長くなりましたが、ここから本題に入りたいと思います。
では、そのような重い社会保険料負担を前に、経営者はどうしようと思うでしょうか?
ぜひ、あなたも経営者になったつもりで考えてみてください。
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他にもいろいろな対応策はあるかもしれませんが、弊社の出した答えは
非正規雇用を増やし、社会保険料の負担を下げる
という方法でした。
企業規模にもよりますが、厚生年金保険や健康保険は労働時間が一定の時間以下のパートやアルバイトの方には会社として加入させる必要はありません。
例えば、私の会社のようなような中小零細企業ですと、週30時間未満のパートさんは社会保険に加入させなくてもよくなります。
そうであれば、極力、社会保険に入らなくて良いパートさんができる仕事はパートさんにやってもらうようにして、正社員の人数を最小限に絞るという方法を取った方がコストを下げることができます。
弊社も、ありがたいことに徐々に仕事が増えてきており、できればもう1人正社員を雇って弊社の中核を担う人材としてじっくり育てていければな・・・とも思っているのですが、社会保険料の負担を考えるとちょっと躊躇してしまっております。
そして、仕事量の増加に対応するには、ついついパートさんを増やしてとりあえず回していくか、と考えてしまいます。
ですが、仮に社会保険料が今の半額であれば、頑張って正社員雇ってやっていくか、という気持ちになるかもしれませんし、賃上げももう少しためらわずにできたのではと思います。
おまえの経営者としての実力が足りてなくて、
十分な利益が出せてないからだろう
と言われるとおっしゃる通りとしか言えませんが、私のように社会保険料その他の負担が大きいので、極力社員を減らして非正規で回しているという会社は少なくはないのではと思います。
時々届く派遣会社のDMの売り文句にも「派遣であれば社会保険料の負担がないからお得ですよ!」といった旨のことが書いてあり、社会保険料を減らすために非正規労働者を雇っている企業が他にもたくさんあることが窺い知れます。
高い社会保険料負担が、正社員を雇うことのコスト(あまり良い言い方ではないかもしれませんが、あえて使わせていただきます)を上げ、そのコストを嫌った企業側が正社員を雇うことを避ける、という方向に社会が行っているのではとも思います。
正規雇用か、非正規雇用かという雇用形態は結婚する/しない、子供を持つ/持たないの判断に大きな影響を与えるというアンケート結果もあります。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/92e7f594b5aafa897c2dbd0c2ccaaa4c49fe7faf#:~:text=男性は正規社員の,では7.6%しかいない。
非正規雇用の拡大というのは、若い人が結婚や子どもを持つことを諦める一つの大きな理由となっているのではないでしょうか。
つまり、
社会保険料負担が重すぎる→
企業が非正規を増やすことで社会保険料負担を回避しようとする→
非正規労働者が増える→
少子化がさらに進展する
ということになっているのが現状で、社会保険料の負担が軽減されないまま少子化が進展すれば、現役世代1人当たりの負担はさらに増えて・・・という負のスパイラルに陥ることが予想されます。
今、選挙を見据えてなのか、様々な政党が減税!と叫んでいますが、減らすべきなのは税金より社会保険料の方が効果的なのではと考えております。
物価高も進み、その対策として国が企業に賃上げを要請したり、謎のバラマキをしようとしたりしていますが、個人的には「今従業員雇ったら企業側の社会保険料0円キャンペーンやるよ~」って言ってくれたら喜んで正社員雇いますし、今がチャンスとばかり賃上げします。
私自身、このような記事を書きつつも、自社では経営上非正規の方を多く使っているという点では、少子化に加担していると言われても仕方ないかもしれません。
ですが、このような社会制度の中、会社を経営していく上ではそうせざるを得ない面があるのも事実です。
もちろん、このような国民負担を減らせという議論には「じゃあどこから財源持ってくるんだ」という財源問題が付きまといます。
ですので、ここの点については、もしこのnoteにある程度反響があれば、また別の記事で書かせていただこうかと思います。
それではまた。