自社通関のすすめ① 自社通関をはじめようと思ったきっかけ
輸出の自社通関について、何回かにわけて書いていこうと思います。
私は前職で国際宅配便を除く輸出申告を自社で行えるよう体制構築を行いました。また自社通関に絡めて様々な輸送改善も同時に行い、輸出にかかる年間のコストを1億円程度削減しました。ありがたいことに、あるフォワーダーの力強いサポートもあって、多くの勉強をさせて頂きながらも実現することができました。
そもそも「なぜ自社通関をしようと思ったか?」理由は2つあります。
ひとつは「お値段以上、ニトリ」の影響。
当時のニトリは輸入通関の半分を自社で行っていました。
そして、そのことについて似鳥社長が取材でこう話されていました。
「社内に取り込む1番のメリットは『人が育つ』ことだ」と。
確かに自社通関体制を構築したときはわからないことばかりでとても大変でした。ですが、通関の仕組み、ルール、ノウハウがどんどん溜まっていき、自分の中の引き出しが増えてくると、「あれとこれを組み合わせるとこうなるかも」とアイデアがたくさん湧いてくるようになります。そのアイデアが、新たなコスト削減や輸送の強化、災害時での瞬発的な対応力となって、自社の強みになっていきます。
その具体的な内容についてはまた後日お話するとして、自社に取り込むことは、結果として人を育て、活気のある強い会社へと変わっていくのだと思います。似鳥社長が言いたいことを身を持って体感したわけです。
2つ目に「AEO輸出者のメリットを活かしたい」と思ったから。
「AEO認証企業はどこでも輸出通関を行うことができる」という最大のメリットを活用したいと思っても、通関や輸送をフォワーダーに委託していては、おそらく難しい……。なぜならフォワーダーは不特定多数の荷主から貨物を効率的に集め、空港近くの上屋でまとめて作業を行い、航空会社へ引き渡す。1企業のために輸送途中で通関をすることは非効率となるのでやってはくれないでしょう。
自社通関をすることができれば、極端な話、あとは航空会社へ直接搬入すればOKな状態にすることができます。物流担当者であれば経験したことがあると思いますが、イレギュラーの際にフォワーダーとの調整が折り合わなかったり、ものすごく高い見積もりが届くことがあります。こういったときでも自社通関をしていればフォワーダーの影響を受けることなく、輸送を自らコントロールすることができます。
通関や輸送を自ら行うことは、コスト削減にもつながりますが、同時にフォワーダーと対等に交渉する力にもなります。対等に交渉することができれば、互いが知識を出し合い、より最適なロジスティクス体制を構築することができ、結果として自社の強みになっていくのです。
少し長くなりましたが、今日は「自社通関を始めようと思ったきっかけ」をお話させて頂きました。次回は「自社通関導入で四面楚歌」というお話をしたいと思います。
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