【2024セレッソ大阪第15節】アビスパ福岡3-4-2-1【2024版プレーモデル分析】~2024J1第15節アビスパ福岡 VS セレッソ大阪~
2023シーズンJ1最優秀監督賞を受賞したアビスパ福岡の長谷部監督。代名詞の4-4-2と併用して3-4-2-1を実装して臨む2024シーズンですが、長谷部監督が3-4-2-1にする狙いとそのプレーモデルが知りたいのですが・・・
どうもさかりーにょです。
本記事は2024 J1第15節アビスパ福岡VS セレッソ大阪の試合を基にアビスパ福岡3-4-2-1システムのプレーモデルを4局面分析していきたいと思います!
本記事の信頼性
・年間平均200試合以上を分析しながらオリジナルの「さかりーにょ分析メソッド」開発
・JFA公認指導者ライセンスB級
・CAF(アフリカ大陸サッカー指導者) C級
・JFAフィジカルフィットネスC級
・IFCO公認サッカー戦術アナリストベーシックコース修了
・AEFCA公認マッチアナリストコース修了
・元海外プロサッカー選手&指導者
2024 J1第15節アビスパ福岡VS セレッソ大阪
スタメン
スタッツ
~2023シーズンに見えた優位性と課題~
2023シーズンのアビスパ福岡は整理された4-4-2でのプレッシングと無駄のないダイレクトフットボールで対戦相手を窒息させるような戦いぶりを見せた。
一方で遅攻を苦手としボールをポゼッションしながらゲームをコントロールすることができずにひとたび先制されて相手が前がかりにならない状況下では難しい試合運びを余儀なくされた。
2023年よりにさかりーにょが分析したアビスパ福岡の分析シートは以下の通りだ。
“2024年版アビスパ福岡3-4-2-1フットボール”の仕組み【4局面】
さて、今節のセレッソ大阪との一戦では4局面においてアビスパ福岡がどのような原則を基にプレーしていたのかを紐解いていくことにする。
【4局面戦術分析】局面➀:攻撃分析
~ゴールへの最短経路×中央突破~
長谷部監督の攻撃局面における主原則である。攻撃面においては守備面と比較するとこだわりが少なく選手個々のアイデアや能力に依存する。また、長谷部監督は自身の攻撃原則を遂行するためにワントップには高身長でフィジカルと機動力、そして献身性を求める。このためザヘディ選手のように後方からのロングボールを収めることができてカウンターの起点にすることができる選手を好む。
また、長谷部監督の3-4-2-1はサイドにWB2枚のみを配置する半面、中央に2CHと2シャドーの4枚を配置している。この配置的優位性を活かした中央突破を発動させるパターンも多い。特に、縦パスからのレイオフを繰り返しながら前進していく縦に速い中央突破による攻撃パターンは必見の価値がある。4-4-2を採用している時と比較して中央からの攻撃パターンを活用することが多いと分析する。
【4局面戦術分析】局面②:ネガトラ(ボールを失った時)
~即座に奪えばければ瞬時にブロック形成~
4-4-2の時にはネガトラ時に即時奪還をテーマにした強度の高い整理されたプレッシングからのショートカウンターを狙う。一方で3-4-2-1の時には個々のプレスで「奪う守備」とブロックを形成して5-2-3あるいは5-4-1で「構えてひっかける守備」を併用することが特徴。このため、ネガトラ時には個々の選手がバラバラにボールにプレッシングをかけるよりもミドルや深い位置にブロックを形成することの方が多い。
【4局面戦術分析】局面➂:守備
~パーク・ザバス5レーンを封鎖~
長谷部監督は守備時の局面では5-4-1でブロックを組み、最終ラインは各レーンに1人を配置し、全員が前向きの状態で守ることができる状態を維持する。ペナルティエリア付近に築かれた強固な2台のバスを前に多くのチームが攻撃の糸口を見つけられずに苦戦するケースが多い。一方でボールの奪取位置が低いためにロングカウンターのみの単調な手札となるのが欠点だ。
今節ではセレッソ大阪の強力な2ウィングに対して常にカバーを配置できる仕組みを作ることも大きな狙いであったと分析する。
【4局面戦術分析】局面④:ポジトラ(ボールを奪った時)
~両WBの疾走が生命線~
また、ポジトラの基本パターンは奪ったボールをザヘディにロングボール。ザヘディは1人で受け、味方が上がる時間を作ることができる。この間に2シャドーとWBがスプリントでロングカウンターを仕掛けていく。
『2024 J1リーグ第15節』から読みとるアビスパ福岡3-4-2-1版プレーモデル
最後に長谷部監督が率いるアビスパ福岡の「プレーモデル」と攻守における「プレー原則」を本試合の分析を基に勝手に定義していく。
アビスパ福岡3-4-2-1版プレーモデル
・プレス時は3-4-3 / ブロック時は5-4-1を形成し前向きでボールを奪う
・失うリスクが高くてもゴールへの最短ルートを選択する
アビスパ福岡3-4-2-1プレー原則【攻撃編】
【主原則:最短距離でゴールに到達する縦に速い攻撃】
<細則>
・攻撃は背後が狙えない場合にはシンプルにロングボールを活用
・収めたボールを2シャドーと共にて中央突破
・遅攻の際はWBとIHでサイドのポケットを取りクロス
アビスパ福岡3-4-2-1プレー原則【守備編】
【主原則:ブロック構築で相手が使えるスペースを消す】
<細則>
・ミドルブロック、ローブロックを使い分け3ラインの間隔を10~15m程度に保つ
・5-4-1ブロックでは5レーンを封鎖し、サイドの攻防で常に数的優位を確保
・ネガトラ時に使われるWBの背後のスペースは2ボランチのいずれかがカバーする
さかりーにょEYES
長谷部監督の3-4-2-1オプションはより守備強度を高めるための狙いがあることが伺える。特に、C大阪は両WGが強力で2CBの守備強度とスピードはさほど高くないことを考慮すれば今節の3-4-2-1採用は妥当であったと言える。ボールを保持するのではなく、スペースを管理することで勝利を奪い取るというもくろみはザヘディの退場がなければ実現できた可能性が高かったと分析する。
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