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【2022ヴィッセル神戸】4局面戦術分析を基に残留に向けて解決すべき3つの問題を抽出~J1第22節VS C大阪~


どうもさかりーにょです。

イニエスタを始めとした大物選手を次々と獲得し、「日本のバルサ化」を目論んでいるヴィッセル神戸はそのビジョンとは裏腹に厳しい残留争いを強いられている。

残り1年の契約を残すイニエスタを引き続きチームに留めておくためにもこれ以上の負けは許されない。

今回は-J1第22節のセレッソ大阪戦を基にヴィッセル神戸の現状を4局面戦術分析し、残留に向けて解決すべ問題を抽出していく。

スタメン

スタッツ

ヴィッセル神戸4局面戦術分析

ヴィッセル神戸が目指すプレースタイル『バルサ化』

基本的なプレースタイルは本家バルセロナのそれに寄せているために細かいパスワークを主体としたポゼッションサッカーである。

GKからの丁寧なビルドアップで試合の主導権を握り、イニエスタのスルーパスやチャンスメイクを中心にゴール前ラスト30mを崩す。一方守備は即時奪回で5秒以内にボールを奪い返せるようにプレッシングをかけ、それがボール回収に失敗した場合にはリトリートしてブロックを形成するというもの。

しかし、本試合においてはこの理想とするコンセプトとは程遠い厳しい現状が浮き彫りになってしまった。

攻撃

攻撃時には2-4-3-1の配置を取り、GKからボールを丁寧に繋いでいくビルドアップが攻撃の基本。相手のブロックや矢印をずらすために横パスやバックパスが多く遅行になるケースが多い。

ゴール前の30mの崩しパターンとしては、

①イニエスタからのスルーパス

②サイドからのクロス

を多様する。

一方で以下の4つの課題を抱えている。

①楔が入ったときの前向きのサポートや3人目の動きが作れない

②選手の距離感が広くボールを受ける際に数的同数や数的劣位なケースが多く攻撃が単発で終わることが多い

➂パスのテンポやスピードが変わらないために相手のズレを効果的に生み出すことが出来ない

④背後を狙うシーンがなく、足元での各駅停車パスが多いので相手守備陣形を効果的に動かすことができない

【4局面戦術分析】局面②:ネガトラ(ボールを失った時)

ヴィッセル神戸のネガトラの特徴は「リトリートによるブロック構築」である。取られた瞬間にプレスに行くシーンもみられるが、連動したプレスが仕込まれていないために単発で簡単に外されて相手に侵入されてしまう。そのため、ボールを奪われた際には速やかに帰陣し、4-4-1-1のブロックを形成する。

【4局面戦術分析】局面➂:守備

ヴィッセル神戸の守備の特徴は「4-4-1-1のブロック形成で実施するゾーンディフェンス」である。ブロック守備が基本になるためにボールを取る位置が自陣ゴール前になることが多い。

また、前線からのプレスも併せ持つが、プレスの最終目的地である「取りどころ」が定まっておらず、連動したプレスがかけられない状況にある。
守備時には以下の3つの課題を抱えている。
①:ボールホルダーに時間とスペースを与えすぎている
  2失点目のシーンではシュートを打ったC大阪の鈴木選手がボールを持ってからシュートを打つまでにフリーの状態が5秒間もあった。ファイナルサードでボールホルダーに対して時間と広大なスペースを与えていることは非常に大きな問題である。
②:コンパクトな陣形が保てない
3ライン間の間が非常に広く、時には30m以上になることも。前線が自分の判断で孤立してプレスをかけ、ブロックに穴をあけえるシーンもある。このような状況により、C大阪にライン間を自由に使われるシーンが散見された。
➂:前線のプレスがデザインされていない
前線のプレスが全く機能していない。具体的にはC大阪のGKビルドアップ(1GK+2CB+1CH)に対して大迫一枚でプレスをかけるシーンが多くあり、後方の連動はなかった。前線でパスコ―スの制限はおろか、簡単にZONE2への侵入を許すことで常にリアクションのディフェンスを余儀なくされた。

【4局面戦術分析】局面④:ポジトラ(ボールを奪った時)

C大阪のボールロスト図からも分かる通り、ゴール前のブロック守備を基本としているために、ボールを奪う位置が自陣ペナルティエリア付近である。

このためにカウンターを発動することが難しく、短いパス交換を駆使しながら可変する時間を作るケースが多い。

ヴィッセル神戸残留に向けて解決すべき3つの問題

問題①:前線からのプレスの整理

現状、ヴィッセル神戸はボールホルダーに効果的なディフェンスができていない。これは、前線からのプレスが全く機能しておらず、連動した守備ができていないためにボールホルダーが時間とスペースを持っているからである。また、ハイプレスが機能するようになればショートカウンターという新たなオプションを作ることも可能となる。

このために、プレスの整理は急務である。

問題①さかり―にょ的解決策

守備時のみ4-4-2の3ラインに可変し、アビスパ福岡のような前線から「同サイド圧縮のゾーンディフェンス」を採用することを提案する。非常に落とし込みやすく、即効性が高いからである。しかし、これは10人全員がボールの位置と仲間の位置を基準にして立ち位置を細かく調整する必要があり、プレスの強度と運動量が求められるためにイニエスタ選手が実行できるかが不安要素である。

※アビスパ福岡のプレッシングモデルのミクロ分析記事はこちらから!

問題②:運動量&スプリント回数の増加

ヴィッセル神戸はスタッツを見てわかる通りスプリント数と運動量が圧倒的に低い数値を記録。

事実、スタンドで生観戦していたさかりーにょも負けているにも関わらず全くボールを奪いに行くしぐさを見せないヴィッセル神戸の選手に憤りを感じた。勿論、ただやみくもに走ればよいというわけではない。そこで以下の2点の改善を提案する。

問題②-aさかりーにょ的解決策背後を狙う動き運動量の増加

ヴィッセル神戸の攻撃は足元への各駅停車ビルドアップであり、常に相手守備陣形の前でボールを回す。試合を通じて背後を狙う動きが少ないために相手の守備陣形の形を変えることができない。背後を狙うスプリント回数を増やすことで例えボールが出てこなくても相手を動かし、スペースを作ることができるために運動量が増えたとしても背後を狙う動きを増加させる必要がある。

問題②-bさかりーにょ的解決策ボールホルダーへのアプロ―チ速度&強度の増加

ヴィッセル神戸の守備の大きな課題にボールホルダーへのアプローチの遅さ&強度の低さが挙げられる。まずは1stディフェンダーを明確にし、後ろを連動させるようなディフェンスシステムを落としこむ必要がある。

問題➂:後方からのビルドアップが詰まる

本試合の流れを大きく変え、選手へのメンタルにも大きなダメージを与えた1失点目のビルドアップミスからの失点。

この場面ではGKからCB、CBからSBといわばC大阪のプレスの狙い通りの方向へパスを誘導させられた。回避するためにGKへのパスを選択したが後手にでた。
問題➂さかりーにょ的解決策:「狙いのあるロングボール」を採用
このようにビルドアップが詰まったときにはある程度割り切って「狙いのあるロングボール」オプション採用することも残留には欠かせないと分析。
特に、ターゲットとなる大迫選手を活かし、ロングボールを打ち込んだ際のサポートのパターンを作り、デザインしておくことで縦ポンとは一線を画すことが出来るだろう。

さかりーにょeyes

来年もイニエスタをJ1の舞台で見るために何かヴィッセル神戸のためにできることはないか?そんな想いでヴィッセル神戸の現状と抱えている問題点、さらにはその解決策を勝手にミクロ分析してみました!
この分析がヴィッセル神戸のテクニカルスタッフの元に届き、残留の一助になることを願って。

この試合のハイライトはこちらから!


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