CommentScreen,確かに面白い
例年だと9月は海外の大学へ調査に行き,研究でリフレッシュした後に後期の授業が始まる。今年度は当然ながらそうはいかず,気がつけば後期が始まっていた。
後期は教養科目と大学院科目をどちらもハイブリッド型で実施することにした。私の大学では,後期の教養教育の対面実施率は40%程度である。残り60%は,前期同様にすべてオンラインで行われるようである。
教養の科目でComment Screenを使ってみたら,思いのほか良かったのでメモしておこう。
まずこのComment Screenのことは,前期の終わりに学生から教えてもらった。そのときに面白そうだなと思ったので,後期の授業準備中に調べてみると,東大の稲見昌彦先生は5月から既に使っていたようで,私ももっと早く情報を入手すべきだったと感じた。
コメントスクリーンの良いところは,なんといっても即座に学生の率直な反応が見られるところだろう。これは口頭のコミュニケーションでは不可能である。例えば,下のキャプチャ画像は,私が授業で学生に「なぜ履修したのか?」と理由を尋ねたときの一幕である。対面で全員に対して質問を投げかけたとしても,心の中では答えてくれるだろうが,指名しないと発言してはもらえない。すなわち,学生の心の中の呟きを可視化してくれるのがこのツールなのだ。
これを使えば,たとえ対面授業のように学生の顔が見えなくとも,反応を確かめながら授業を進められる。マイクがオフになっていたり,何かこちらの不手際があったときもすぐに教えてもらえるだろう。私はZoomの投票機能を使い,その投票結果について話していた際に,投票結果が共有できていないことをコメントで気づかされた。流れるコメントに対して応えながら授業が進められるので,オンライン授業の弱点とされる双方向性の欠如は解決可能だ。
もちろん,気をつけねばならない点も見つかった。たとえば,ネットスラングだ。何度か意味のわからないスラングが流れた。それから綺麗とはいえない口語表現,というよりネット表現?おそらく面と向かってだとそういう表現は使わない人でも,ネットだと当たり前のように使うのだと思う。
それから,ついつい流れるコメントに目が行ってしまい,注意力が削がれることもある。長いコメントだと一気に画面に表示されないので,目で追っていると話しにも影響する(要するに,話すときの口のスピードと目でコメントを読むスピードが一致しないとき,集中力に対してネガティブに働く)。
他にもあるが,いずれにしても使い方を間違えると良いところをいかしきれないので,授業の学習効果を高める使い方を受講生と一緒に模索しながら実践していくことが大切だろう。
最初に書いたとおり,この授業はハイブリッド型で,第3週目からは対面とZoomの同時開講となる(ハイフレックス型と呼ばれる)。Zoomの受講生には引き続きコメントスクリーンを使ってもらうのが良いと考えている。受講生250名のうち25%はZoomでの受講を希望している。この辺の話は改めて書くとしよう。