オンデマンド教材の撮影について
私がやっているオンデマンド教材の作成手順を簡単にまとめると,以下の3段階になる。
①カメラ,照明,パソコンなど必要な機材をセットする
②プレゼンソフトでスライドショーしながら,カメラに向かって話す
③カメラの映像とスライドショーの映像を合成して編集する
①カメラ,照明,パソコンなど必要な機材をセットする
オンデマンド教材撮影時に使用する機材は,カメラ及び三脚,マイク,照明,そしてパソコンとそれを支えるアームである。撮影方法と機材について,40秒でまとめた動画を以下に貼っておく。
ここで,それぞれの機材について説明しよう。カメラは当初,既に所持していたSONYのα6400を使っていた。授業中に撮影するため,シャッター音が出ないカメラを大学生協に探して貰って購入したものだったが,背面モニターが180度回転するため,動画撮影時もその様子を確認することができて便利だった。しかし,動画撮影は連続30分までという制限があり,うっかり30分を超えてしまうと,途中から撮り直す羽目になってしまう。
そして,写真撮影なら良くても動画となるとやはりスペック不足を感じたので,思い切ってフルサイズミラーレス一眼を買うことにした。どの機種にするかYouTuberの動画を参考にして,PanasonicのLumix S1を購入した。比較すると,当然ながら画質が向上した。サイズも重量も一回り大きくなったが,大満足である。
音声収録にはマイクを使用している。いくつか試した中で最も音が良く録れたワイヤレスピンマイクSONY UWP-D21でカメラに入力,収録している。ピンマイクは,他のマイクに比べて雑音が入りにくくて良いと思う。
照明に関しては,あれば良い程度に考えていたが,映像効果にこだわるならとても重要だということをこれまたYouTuberから学んだ(確かに照明を当てる位置や明るさによって印象が異なることを実感した)。Amazonで適当なものを探してAmzdeal ソフトボックス 写真撮影照明キットを購入した。ただし,話している自分の印象よりもスライドの見やすさの方が重要であることは言うまでもない。
次にパソコンのセッティングである。当初は20cm程度持ち上げられる台を使っていたが,どうしても視線が下に行ってしまう。6月に入って改めて探してみると,サンワサプライのノートパソコン用水平垂直多関節アームCR-LANPC2Nが良さそうだったので購入した。これが実に素晴らしい。下の写真にあるように,カメラの真下にパソコンを置くことができる。本来は手前ではなく奥に固定して使うものだが,演台を使っているためそれができないのは残念だ。ライブ授業の時は資料を演台上におくので,アームが少々邪魔になることは否めない。しかし,これでほぼカメラ目線でスライドが見られるのでとても助かっている。
②プレゼンソフトでスライドショーしながら,カメラに向かって話す
いよいよ撮影だ。大切なのは,カメラで録画すると同時にパソコンのキャプチャ機能でスライドショーを録画(音声を含めて)することだ。最初の頃はスライドショーの録画を忘れて撮りなおしたり,撮ったはいいけど音声が入っていなくて合成の時に苦労したりした。
撮影時は,カメラに向かって授業時に学生に話しかけるように説明していくだけだ。ポインターもLogicoolのSpotlightを使えば,スライドショーの録画にそのまま記録されるので使っている。当然,説明に詰まることもある。そのときは撮影は止めずにそのまま続ければ良い。「あのー」とか「えー」とかも言ってしまう。言ってしまったと気がついたときは,一呼吸置いてから次の言葉を話せばよい。編集で簡単にカットできるのだ。
③カメラの映像とスライドショーの映像を合成して編集する
カメラの映像とパソコンのスライドショーの映像は,編集ソフトで簡単に同期できる(音声波形で判断してくれる)。編集ソフトは大学が包括契約しているadobeのpremiere proを使用している。全く使ったことがなかったので,主にYouTubeを見て勉強した。素人でも簡単に撮影,編集ができるなんて便利な時代だなぁと思った。
なお,私は動画をYouTubeに限定公開でアップロードしているので,スライドは3:4の方が良い。編集時にスライドの横に自分の映像を合成するからだ。割合で言うと,スライド7の自分3くらいか。話している人は映っていなくても良いという人もいるが,通常の授業のように映っていた方が良いという人もいるため,一手間かけてでも合成した方が良いと思う。図や写真などを画面いっぱいに表示したいときは,編集で自分の姿を消すこともある。ただし,そのときも顔だけ丸抜きで隅っこに残している。これも編集ソフトで簡単にできてしまう。まるでテレビのようだ。
また,編集時に自分の説明を聞きながら,ここは少し説明不足だったかなと思ったときはテロップを入れて補足できるのも良いところだ。結果的に,対面授業時にリアルタイムで説明していたときよりも短時間にまとめられて,納得のいく講義ができるようになった。私の場合,完成した動画と収録を比較すると,概ね1.5〜2倍の時間を収録時に費やしている。対面時と同じスライドを使っていても,カメラに話すときに説明が詰まったり,相手の反応が見えないせいかゆっくり話したり,冗長になってしまったりする傾向がある。
これで後はYouTubeにアップロードして学生に通知すれば完了である。学生にはLMS上で通知しているが,その際は動画をはめ込むのではなく,YouTubeに飛ばすようリンクをはった方が良い。はめ込み動画を見ても再生数にカウントされないようなので,どれくらいの学生が視聴したかわからないからだ。学生は好きなときに,好きな再生速度で,何度でも繰り返し見ることができる。後はライブ授業の時にオンデマンド教材で学んだ知識を使わせて身につけてもらえば,言うことなしである。