梨状筋について
起始:仙骨前面
停止:大転子の先端の後縁
支配神経:仙骨神経叢(S1、S2)
栄養動脈:上殿動脈
作用:股関節 外旋、外転
起始停止について
梨状筋の走行として、股関節の内外転の軸の上部を通ることから股関節の外転筋として働きます。
停止部では大転子の先端後縁に付着していることがわかります。
支配神経について
L1とL2から直接出ている枝から神経支配を受けるようです。坐骨神経とのつながりをよく見るので坐骨神経支配かと思っていましたが、梨状筋症候群として坐骨神経が絞扼されることを考えると、確かに直接出ている枝と考えるのが普通でしたね。
また、梨状筋と大坐骨孔で構成される梨状筋下孔を通る坐骨神経はいろんなタイプが存在しているようです。
通常は脛骨神経部と腓骨神経部とも梨状筋の下方を通過する例が89%ですが、中には腓骨神経が梨状筋の中を通過する例や、上下から梨状筋を挟む例があるようです。
栄養動脈について
栄養動脈は上殿動脈であり、中臀筋や小臀筋と同じ栄養動脈ですね。小臀筋の上を走行する上殿動脈が梨状筋の走行に沿っているようにも見えますね。
梨状筋下孔を通る下殿動脈も栄養してそうですが、そのように記述のあるものは見つかりませんでした。
その他 梨状筋に関わる内容
BHA, THA
やはり、股関節頚部骨折後の人工骨頭置換術での深層外旋6筋が侵襲されていることが有名かと思います。
以下はBHAの後方侵入アプローチでの関節方を切除するときの切除線です。
とあります。そのため、梨状筋が直接侵襲されるというわけではなく関節包ごと切開するようです。縫合後はやはり関節包ごと切られているため、深層外旋6筋が発揮できる筋出力は落ちそうですが、接離された箇所が修復すればそこそこの筋力は維持できそうだなと感じました。
梨状筋症候群
梨状筋の下孔を通過する坐骨神経は、梨状筋によって絞扼を受けやすいです。これを梨状筋症候群といい、殿部の痛みやときに坐骨神経痛を引き起こす病態のことを指します。
梨状筋症候群を判別するための疼痛誘発テストについて
Freiberg's テスト(フライバーグ):背臥位で股関節を他動的に屈曲・内転・内旋をさせます。臀部痛が誘発されると陽性。梨状筋などの外旋筋を伸長し、絞扼を増強させて疼痛を誘発します。
Pace's テスト(ペース):座位で両方の股関節を内転・内旋させる方向に抵抗を加え、被験者はこれに抵抗するように股関節を外転・外旋させます。筋力低下および臀部痛が誘発されれば陽性となります。これらは梨状筋などの外旋筋を収縮させ、絞扼を増強させて疼痛を誘発します。