筋が疼痛や可動域制限の要因となるメカニズム -治療編-

昨日作成した記事の続きです。
まず、筋による疼痛や関節可動域制限の要因には以下の3つが存在することをお伝えしました。

  • 筋攣縮

  • 筋短縮

  • 癒着

それぞれの原因についての治療の方法についてまとめていきたいと思います。

筋攣縮

筋攣縮には筋肉に対して軽い伸長と収縮を加えた等尺性収縮を反復させると良いようです。
理由としては等尺性収縮による腱の牽引刺激はゴルジ腱器官を刺激し、脊髄反射の抑制性介在ニューロンを通して筋をリラックスさせることができます。これをIb抑制といいます。
また軽い伸長の程度としてはMMTで1~2程度が良いとされています。都度筋腹の圧痛が軽減することを確認しながら、10回1セットとしてやってみると良いです。

ゴルジ腱器官は筋腱移行部に存在しています。そのため、等尺性収縮を行う際には少しコツが必要です。
筋は収縮する際に両端の腱を引き寄せる形で動きます。そのため、筋腱移行部に対する伸長刺激はあまり期待できません。
筋腱移行部に対して伸長刺激を与えるには、まず筋を伸長し筋の付着部の両端を固定します。そしてその状態で等尺性収縮を行わせることで、腱は伸長性に乏しいことから、筋腱移行部が不足している伸長分伸びるしかない状態を作ります。
これによってゴルジ腱器官を刺激し、Ib抑制を起こすことができます。

筋短縮

筋短縮には、適度な筋の伸長と収縮を加えた等尺性収縮を反復的に行う運動療法が有効です。
適度な伸長の強さとしては、疼痛を認めない程度の伸長で、目的とする筋に伸長感が得られるまで2~3秒行います。
等尺性収縮の力としてはMMT3から4程度で、10回を1セットとして、筋を伸長したときに筋腹の抵抗が軽減することを確認します。

筋短縮の原因は、不動による筋節の減少であり、筋腱移行部を適度に引き伸ばすことにより、筋節が増殖することで筋腹の延長が期待できます。また、反復的な筋収縮を行うことで熱産生が生じ、筋膜などにできたコラーゲンの架橋結合を分離しやすくなります。

癒着

癒着した組織に対しては滑走刺激を与え、組織間の滑りを引き出す必要があります。癒着がある組織に対して適度な遠位(ストレッチ)⇆近位(筋収縮)操作を加えることで癒着した組織を剥離していきます。
伸長の強さは疼痛を認めない程度で、癒着部に伸長感が得られる2~3秒程度行います。また、収縮はMMT3~4程度とします。
都度癒着部の硬さを確認しながら実施していきます。

まとめ

それぞれの原因と、それに対応する反射などを理解しておくとただ闇雲にストレッチを行うだけになりません。
また順番としては、まずは筋攣縮を軽減させてから筋短縮や癒着に対してアプローチをする方が良いです。


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