それぞれの思いも一緒に、枇杷への袋がけ体験。 ー 千葉の美味しいを大切にする ー
「実はだれにも、やらせてないんです。」
それは今回の房州びわの袋がけ体験が終わったとき、最後に聞いた言葉でした。房州びわの袋がけ体験をさせていただいた、川名びわ園さんから聞いた言葉がとても印象的でした。
川名さんのところで袋がけ体験を実施するのは、どれくらいぶりだろう。もう10年以上も前になるかもしれない。私たちから依頼すれば、快く体験させていただけるし、温室栽培の時期から露地栽培のものまで、数を考えれば人手を多くして袋がけをしているのだろう。と勝手に思い込んでいました。
きっと枇杷を育てて、良い枇杷をつくろうとする人だからこそのこだわりがここにはあって、それが実を結んでいるからこそ実績というものが伴ってくるのだろうと感じた。
この袋がけという体験を通して、農家さんの取り組みをより多くのお客様に知ってもらうため、袋がけの体験を一般のお客様も招いて来年こそはやりたい。そう改めて思った。
今回の体験をもとに、来年の房州びわの袋がけ体験を実施していくので、もしご興味がある方は、最後までご覧いただけると幸いです。
▽ 過去の房州びわに関するnote ▽
やりたくてもできなかった事。
この「房州びわの袋がけ体験を、一般のお客様をお呼びしてやろう。」と思ったのは、今年の椎茸体験を実施した後でした。根本さんの椎茸体験時に行った、椎茸の菌打ち体験をしている小学生の子たちが、とても夢中になってやっているように見受けました。
農作業ともなると、できる事とできない事が当然あり、時には危険なことにもなりかねないので、色々と考えすぎたりしていました。ただあの時の見た光景が、あまりにも印象的で「収穫体験だけではなく、こういった体験って他にもないかなぁ。」と考えるところがあった。
そこで、話に上がってきたのが「びわの袋がけ」でした。
大人なら背が届く範囲に袋をかけることができるし、少しの脚立をのぼる経験や木にのぼるといった、やりそうでやらなくなった体験もできるなぁ。と思いました。ただ場所が南房総市と遠方になることと、実際に袋がけした後に、何か伝えられることがあるのかどうか。不透明なことが多かったため今年に限っては、今までの農業体験で多く参加いただいた方を招待して行うことにした。
今回のような招待をする試みははじめてだったので、そもそもの都合が会うのかどうか、遠方すぎるということから断られたりするのではないか。とか色々考えすぎてしまっていたが、連絡をとったところ快諾していただけたので、こちらとしてもとても嬉しい。
房州びわの袋がけは、露地栽培のものであれば2月下旬からスタートし、4月の上旬ごろで終わりを迎えるそう。今回は暖かくもなってくる4月上旬で話が決まった。当日はもともと曇り予報ではあったものの、少しの雨に見舞われた。
とは言え、参加いただいた方々はもちろんのこと、今回袋がけ体験を受け入れてくれた川名さん含め、皆さんの表情はとても明るかった。スタッフも久しぶりに感じる南房総の雰囲気に、テンションがあがっているのが伝わってきた。
簡単な挨拶をすまし、まずは川名びわ園さんにはじめて来る方もいるので、温室栽培の枇杷がどう言う環境で育っているかとか、川名さんの今までの功績を目の当たりにしてもらおうと、案内を開始。川名さんが話す温室栽培で育てる枇杷の話に、皆さん興味深々な様子。川名さんも川名さんで、久しぶりの弊社スタッフや一般のお客様と話す機会で、笑顔が多いようにも感じました。
お店から伝える情報って伝われば良い方で、本当に伝えたいことも含めて考えれば、スタッフにもどれほど伝わっているのものなのか。と考えてしまうこともある。こうやって実際に来て、つくり手の話を直接聞くことが、本当に貴重な時間にも感じる。ここ数年、様々な影響や制約を考えなければいけない状況の中で、やりたくてもできなかった事が、やっとできるようになった事を改めて実感できた時間に、とても充実感を覚えました。
一つずつに願いを込めて
袋がけをするにあたり、早速やってみようという前に、誰がかけた袋なのか、枇杷なのか。袋を掛けたはいいけど、果たして良い実がなるのかどうか。そんな事を考えた結果、一つ一つの袋に名前や目印となるものを書いてから行うことになりました。
風にも負けず、雨にも負けず。
果たしていったいどれだけの枇杷たちが、そのままかけた袋で実ることができるのか。乙うご期待。といったところでしょうか。袋の準備ができたところで、いざ袋がけへ。川名さんからのレクチャーにより、思いのほか皆さんスムーズに取り掛かれていた気がします。
枇杷には多くの花がつくので、実も多くつきます。その中で一つ良い枇杷になるであろうと思うものを選び、その一つに袋がけをしていきます。
袋がけといえど袋をかけるだけでなく、実を選ぶ目というものが必要になります。ここも他の人にはやらせられない、枇杷のプロとしてのプライドがあるんだろうな。と感じるところでもある。
袋自体の取り付け方は、袋の入り口を木の太さに合わせて絞り込み、針金のようなものが一緒に袋についているので、最後にひと縛り。やってみると簡単ではあるものの、雨をよけ、風をよけ、そして熟した枇杷になるまで、しっかりとお守りする袋がけをするには、長年の技術がやはり必要なんだろうと考えながら、取り組んだ。
そう言えば、あんまり見た事が。
袋がけをしていると、川名さんが「みなさん、知ってますか?これが、枇杷の花なんです。」と枇杷の花を見せてくれた。枇杷の花は、当然袋がけをする頃になると、実に変わっているためそんなにお目にかかることもない。
枇杷の花の香りをかいでみると、優しいかおりで枇杷っぽい香りも感じる事ができた。こうした枇杷の花をまじまじと見れるのも、いい体験だなぁと感じた。
来年こそは。
袋がけをした後は、恒例の農家さんと一緒にご飯を食べながらお話タイム。今回は、枇杷の農家さんという事もあり、手作りの枇杷ジャムやブルーベリージャムで楽しむパンをご用意。そこで川名さんが一言。
「温室の枇杷があるので、皆さん召し上がって。カタチは悪いんだけどさ。」
と言って、収穫したての枇杷を用意してくれていました。まだまだ肌寒さも残り、この袋がけ体験をした時も小雨がぱらつくような陽気で、「まだまだ収穫なんて先。」と、そんな風に思っていたもんだから嬉しくなりました。酸味もあり甘味もありで、房州びわ特有の爽やかな味わいを楽しめた満足できる時間にもなりました。
生産者と店舗スタッフと、そしてお客様。こうした交流をしながら、一緒になって農業というものを体験していくのは、貴重な時間のようにも感じられた。まだまだ試行錯誤しながらやっているところもあるので、満足できない部分もあるけれど良い時間にしていく意識だけは忘れずに、今後も企画して実施していこうと思いました。
最後のみんなでの写真撮影は、やはりみんなが笑顔で何度見ても良いものです。引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。