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全日本ラピッド及びジャパンチェスクラシックに参加しました

2回目の投稿です。今回は僕が最近参加した二つの大会、全日本ラピッドチェス選手権2024、及びジャパンチェスクラシック2024について書きます。

全日本ラピッドチェス選手権2024

6月29日、30日の二日間に渡って開催された今大会は、2日間で15+10のゲームを9ラウンド戦い、全日本ラピッドチャンピオンを決める大会です。
僕は昨年6.5/9ptsを取り6位/65人(!)と好成績でしたので、今年も何とか上位に食らいつきたいと意気込んで臨みました。

結果は6.0/9pts16位/103人でした。スタート順位の20位は上回り、結果こそ悪くはありませんが、レーティング上にポイントを取れなかったり、ピースただ落ちが2回ほどあったりと、反省の残る大会になりました。

全9試合のうち、3RのM.C戦を簡単に紹介します。

3R Y.S(1891)-M.C(2033) Sicilian Najdorf

1.e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. Be2 e5 7. Nb3 Be7 8. Be3 O-O?!


8… O-Oまで

8… O-Oはミスで、以下9. g4からの攻めがきつくなります。8… Be6から9… d5を見せるのが普通です。

9.g4 Be6 10. g5 Nfd7 11. Qd2 Nc6 12. O-O-O Rc8 13. h4 Na5 14. h5 Nxb3+ 15. axb3 b5 16. Rdg1 f5


16… f5まで

黒がキングサイドから手を作り、白の攻めを緩和しにきました。僕も16… f5をメインで読んでいて、対応が全く分かりませんでした。

17.gxf6? Nxf6

こうなると白の攻めが続かないどころか、f6のナイトが良い位置に効いてきて白の気分が良くありません。
替えて17. exf5 Rxf5 18. Kb1と、gポーンを残しつつ黒にゆっくりプレッシャーをかけていく展開になれば白の優勢が維持できていたようです。このようにopposite castlingの攻め合いでは、攻め急がないことが吉の場合がしばしばあるみたいですね。

18.Bh6? Rf7 19. Rg3?? b4 20. Rhg1 Bf8


20… Bf8まで

白は序盤に得た優勢の意識を引きずり、攻め急ぎすぎてしまいました。こうなると黒は白の攻めを受けるだけで勝てます。

21.Bxg7 Rxg7 22. Rxg7+ Bxg7 23. h6 bxc3 24. Rxg7+ Kh8 25. Qg5 cxb2+ 26. Kb1 Qf8 27. f4 Nxe4 28. Qg2 Nc3+ 29. Kxb2 Nxe2 30. Qxe2 Bf5 31. c3 e4 32. Qxa6 Qf6 33. Qb7 Qxc3+ 34. Ka2 e3 35. Rxh7+ Bxh7 0-1


35… Bxh7まで

ジャパンチェスクラシック2024

昨年神戸で開催された本大会は、今年は東京開催でした。昨年の神戸遠征が懐かしいです。

昨年同様、4日間で90+30のゲームを7ラウンド戦います。昨年の僕の結果は4.0/7ptsの29位/84人(スタート33位)という、良くも悪くも実力通りという結果でした。レーティング上の相手に優勢から負けたりと、苦い思い出の方が多かったように思います。サークル仲間のM.K君が大活躍だったことが印象的な大会でした。

今年は昨年からの成長を証明すべく、昨年の成績を超えることを目標にして臨みました。具体的にはレーティング上にポイントを取りつつ、最終的に5.0/7pts取れれば大満足だという気持ちでした。

結果は5.5/7pts7位/124人(スタート21位)(!)でした。最後CM Averbukh Alexさんに勝ったことが記憶に残る大会だったかなと思います。負けてはしまいましたが、FM Yamada Koheiさんに直接Sicilian Najdorfを教われたのも良い経験になりました。最終日は大学で用事があり、残念ながら表彰式には参加できませんでした。表彰の写真に写りたかったです、、。
今大会の棋譜は全てリザルツに載るみたいなので、気になる試合は後日チェックしようと思います。

全7試合のうち、7RのCM Averbukh Alex戦を簡単に紹介します。

7R Y.S(1928)-CM A.Alex(2127) English Opening

1.c4 c5 2. Nf3 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 Nc6 5. O-O e5 6. Nc3 d6 7. d3 Nge7 8. Rb1 O-O 9. a3 a5 10. Nd5!?


10. Nd5まで

自分のチェスの幅を広げるために、今大会では白番で2度、1. c4を採用しました。今後も様々なオープニングに挑戦していきたいです。

10. Nd5はその場のアイデアですが、エンジン的にはあまり良くないみたいです。替えて10. Ne1、11. Nc2、12. b4のようなアイデアがあったみたいです。
しかし10. Nd5も馬鹿にはできず、白はセンターでイニシアチブを取れます。

10… Nxd5 11. cxd5 Ne7 12. Nd2 b5 13. b4 cxb4 14. axb4 a4 15. Bb2 Bb7 16. e4 f5 17. f4 exf4 18. Bxg7 Kxg7 19. gxf4 h6 20. Kh1 Kh7 21. Nf3!?


21. Nf3まで

一見21… fxe4からf4が落ちそうですが、白には用意の手がありました。

21… fxe4? 22. dxe4 Rxf4 23. Nd4!


23. Nd4まで

白は一時的に1ポーンを失いますが、d4に配置されたナイトが強いです。一方黒のナイトは行き先を大きく制限されており、白が局面をリードしています。いずれb5やe6のポーンが落とせそうな形です。
黒は21… fxe4がミスで、21… Qb6と中央の黒マスを強く支配しておけば互角だったようです。

23… Qf8 24. Nxb5? a3 25. Nxd6 Rxf1+? 26. Qxf1 a2 27. Ra1


27. Ra1まで

24.Nxb5はミスだったらしく、もう一つ候補手としていた24. Qd2から次のNe6を狙うのが強かったみたいです。ただし1ポーンダウンが残る形になるので、実戦では選択できませんでした。
上図の局面では黒はクイーン交換に応じるほかなく、強いセンターポーンを持つ白が優勢です。

27… Qxf1+ 28. Bxf1 Bxd5? 29. exd5 Kg7 30. Bc4


30. Bc4まで

28… Bxd5はミスだったようです。替えて、同じくセンターポーンとピースを交換する28… Nxd5であれば、白優勢ながらまだまだ難しい局面だったみたいです。
しかし上図の局面も、白はピースアップながらパスポーンのプロモーションが難しく、残っているポーンの数も少ないことから簡単には勝ちきれません。

30… Rd8 31. Nb7 Rb8 32. d6 Nc6 33. Rxa2 Nxb4 34. Ra7 Nc6 35. Ra6 Ne5 36. Bd5 h5 37. Ra3 Kf6 38. Kg2 g5 39. Rc3 Nd7 40. Rc7 Nb6 41. Bc6 Ra8 42. h3 Ra2+ 43. Kg1 Rc2 44. Bf3 Rxc7 45. dxc7 g4 46. hxg4 hxg4 47. Bxg4 Ke5 48. Kf2 Kd5 49. Na5 Kd6 50. c8=Q Nxc8 51. Bxc8


51. Bxc8まで

最終的に白のビショップとナイトだけが残る形になりました。幸い僕はこのチェックメイトの知識を持っていたので、しっかり50手以内にメイトにできれば勝ちです。

51… Ke5 52. Ke3 Kd5 53. Nb3 Ke5 54. Bb7 Kf5 55. Be4+ Ke5 56. Nd2 Kf6 57. Kf4 Ke6 58. Nc4 Kf6 59. Bf5 Kf7 60. Kg5 Kg7 61. Be6 Kh7 62. Ne5 Kg7 63. Nf7 Kh7 64. Kf6 Kg8 65. Kg6 Kf8 66. Bb3 Kg8 67. Kh6 Kf8 68. Kh7 Ke7 69. Kg7 Ke8 70. Ne5 Ke7 71. Nd3 Ke8 72. Bc4 Ke7 73. Bf7 Kd6 74. Kf8 Kc6 75. Ke7 Kb5 76. Bb3


76. Bb3まで

ビショップとナイトの特性をうまく組み合わせて、相手キングをビショップと同じ色(白)の端に追い詰めます。

76… Kc6 77. Ke6 Kc7 78. Ba4 Kd8 79. Bd7 Kc7 80. Ke7 Kb7 81. Kd6 Kb6 82. Nb4 Ka5 83. Nd5 Ka6 84. Kc5 Ka5 85. Kc4 Ka6 86. Kb4 Ka7 87. Ka5 Kb7 88. Kb5 Ka7 89. Bc8 Kb8 90. Ba6 Ka7 91. Ne7 Kb8 92. Kb6 Ka8 93. Bb7+ Kb8 94. Nc6# 1-0


94. Nc6#まで

無事チェックメイトできましたが、43手もかかってしまいました。このゲームではいわゆる三角法(ビショップが作る三角形を徐々に小さくしていく方法)を採用しましたが、今後同じような状況になったときには、XでTuさんにアドバイスいただいた通り、W字法を用いようと思います。


(参考)W字法: ナイトがWの字を描きながら、相手キングを端に追い詰める。

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