2020ビューティフル台湾旅行記② 2日目朝〜国立故宮博物院
前回はこちをご覧ください
モーニング・フードファイト、しかし台湾のメトロは超便利
おはようございます
早安!!(सुप्रभातと同意義)
2日目の朝を迎えた、前日のハードコアのおかげか深い眠りにつけたらしく、布団が変わっても良く寝られた。
アメニティのインスタントコーヒーを沸かし、重機のように重い瞼を強制的にオープンさせる。
本日は仕事の営業がある、シツレイをはたらかせないためにもしっかり体力をつけていかなくてはならない。
そしてこのホテルにはモーニングがついてる、たくさん食べて体力をつけよう、インスタントコーヒーを飲み干し着替えを始める。
ふと部屋の窓を覗くとスラムが広がっていてびっくりした。
昨夜は暗かったので素敵なナイトビューだな〜、なんて思いながら眺めていたから余計にびっくりした、急に現れるスラムビューに脳のCPU使用率が急上昇してしまう。
高級ホテルとスラムの境目がそこにはあった、これ以上観測すると見入って遅刻しそうだったので急いでレストランへ向かった。
モーニング・ビュッフェ
モーニングはよくあるビュッフェスタイル、食べ放題は大好きだ。
写真には一般的ビュッフェフードが写っているが、実際はもっと台湾らしい品々が揃っていた。
飲茶はもちろん豆乳スープに台湾式揚げパン、ヌードルに丼、南国ならではのフルーツの種類も豊富であった。
中でもマンゴーはかなり美味かった、完熟されたマンゴーの旨味を芯から味わうことができ、きほんてきにそればかり食っていた。
なんなら台湾フードのほとんどをこのビュッフェで食った。
あと食うのに夢中で写真を撮るのを忘れていた。
1日くらい外でモーニング食べようかな、なんて思っていたのだがホテルフードのクオリティが素晴らしくて朝のほとんどをこのレストランで過ごした。
大盛りのマンゴーに豆乳スープと台湾式揚げパン、小籠包とミニ滷肉飯、中華蒸しパン、さとうきびジュース、パパイヤジュース、謎の麺に胡麻団子まで全て食った。
朝早くからフードファイトを繰り広げるオレ、向かい席の女性の怪訝な顔が忘れられなかった。
台湾メトロの話
フードファイトを終えたオレは例の如く胃がもたれ気味である、仕事前だというのに何も学ばない男だ、このバカ!
重い腹を引きずりながら取引先へ向かう、これからお昼までお仕事なので流石に割愛させていただく。
だからせっかくなので台湾のメトロ事情を話させていただこう。
台北の交通機関はメトロやバスが主要であり、特にメトロは名古屋のようにどこへでもいけるようなシステムとなっている。
値段は行き先にもよるが大体30〜60NT $(120〜240円)くらいだった、すごい格安である。
一日乗車券などもあるので、台北周辺を観光するのであれば地下鉄を利用するのがマストであり真の台湾なのだ。
台湾では切符の代わりにコイン型小型ICチップ内蔵トークンを使用する、初めて見た時は裏カジノの通行券が出てきたのかと思いめちゃくちゃ焦った。
ICチップなので繰り返し使用できるためとってもエコロジー、環境に良いのだ。
台湾はこういった環境対策や衛生環境維持運動がかなり進んでおり、なんとメトロ内での飲食は法律で禁止されている。
アメちゃん、ガム、フリスクはもちろん水やお茶も禁止エリア内では飲み食いしてはならない、けっこう知らない人が多いので気をつけよう。
ちなみにチップの購入方法は日本と同じように券売機を用いる、日本語に対応してるためとっても安心、グローバルだ。
環境に優しくて非常に便利なのだが、実は台湾にも悠遊カードというもっと便利な交通系ICカードが存在する。
悠遊カードはメトロやバス、タクシーやコインロッカー、コンビニや自動販売機の支払いもできるオールマイティ・パスなのだ。
メトロを使用する際は料金が2割引になるのでさらにオトク、とてつもなく便利なのだ、大好き。
発行料として100NT $(400円)、チャージも100NT $単位からのみで初期費用は結構かかる。
だが有効期限はないしお土産として持って帰るのも思い出になるしアリ、なによりも便利すぎるのでぜひ購入していただきたい。
コンビニでも購入可能であり、デザインも豊富でチョーカワイイ、キティちゃんやクレヨンしんちゃんの柄、更にはモンスターボール型のキーホルダータイプも見受けられた。
自分好みのオリジナル悠遊カードを見つけてみんなと競い合おう!
ICカードは反応があまり良くないのでしっかりタッチしよう。
汁なし麺とミルクティー、優雅なランチタイムのはずが…?
時は12:00頃、取引先とのおくゆかしいやり取りを終えたオレ達は腹が減っていた。
士林駅(シィリン駅)でメトロを降りたオレ達はフードショップを探す。
士林といえば士林夜市が有名だが、そこは今夜行く予定なので詳細は次回語らせてもらおう。
というわけで今回は士林駅付近でランチを取ることにした、駅前に傷心酸辣粉というオールラウンド台湾飯店があった、胃もたれにも慣れてきたので今回も麺を食うぞ。
オレは汁なし麺(名前がわからない)を注文した、チリ🌶のマークがたくさん並んでいたので多分辛いやつだろう。
名前がわからない食べ物というのは好奇心をくすぐられる、何が起こるかわからないミステリーボックスなのだ。
いいじゃない、こういうのが楽しいのだ。
そうやって1人で不気味に笑っていたら、いつのまにか社長が人数分のミルクティーを注文して下さっていた。
台湾といえばミルクティーだろう、今回は麺もあるのでタピオカ抜きにして頂いた、辛い麺にマッチするはずだ。
台湾のティー、個人的に不吉な響きであるが果たして…?
汁なし麺
名前がわからない唐辛子の汁なし麺
旨さ ⭐️⭐️⭐️
辛さ 🌶🌶🌶🌶🌶🌶🌶
値段 たぶん100NT $(400円くらい)
アオゥッ!
赤チリと青チリのミックスされた猛烈な辛さに思わずアオゥッ!
しかし食べれば食べるほどクセになる辛さと香草の香りを前に箸は止まることを忘れてしまった。
箸の休む暇を与えないその猛攻撃に汗が噴火し止まらない、オレはただひたすらに麺を貪る永久機関となった。
値段は観光地価格というのもあり高めではあるが、それでも400円というのは実際安い。
辛くて安くて美味い、オレの人生を現している素敵な一品でアオゥッ!
ミルクティー
正体不明のミルクティー
旨さ ⭐️⭐️
甘さ 🍰🍰🍰🍰🍰🍰🍰🍰🍰🍰🍰
値段 わからないニン…
悲劇の再来である。
口に入れた瞬間脳に走る危険信号、体が震えを起こすほどの猛烈な甘さが舌を刺激する。
タピオカが無い分余計に甘く感じる、なんでこんなに甘いんだ、チリの辛さを一瞬で上書きする甘味に泣きそうになった。
しかしミルクティーである分まだ飲みやすくはあった、辛い汁なし麺と交互に飲めば勝算はあるのだ。
なんて言っていたら汁なし麺のほうが先に無くなった。
完全敗北である。
おのこしは断じて許されない、オレは2日に渡るスイート・ティー・ファイトにうんざりしてしまい、この旅中にタピオカミルクティーを飲むことを諦めてしまった。
ヤンナルネ……。
国立故宮博物院で美術品を鑑賞しよう
フードファイトを無事に乗り越えたオレは、午後から国立故宮博物院で芸術鑑賞を行うこととなった。
この博物院は中国古代芸術品を数ある戦争から守るため様々な地に疎開、歴史的そして政治的な事情により最終的に大事なものを北京から台湾へ移した歴史的建造物となっている。
そのため北京と台北に博物院が存在している。
そして上記の通り、この施設に展示されているのはきほん的に中国の歴史的文化財となっている。
それだけを聞くと複雑な心情に陥るが、美術品を通して中国4000年の壮大な歴史や技術、現在進行形の複雑な政治事情を辿ることのできる大切な施設なのだ。
そして展示物は68万点にも昇り、メトロポリタン、ルーヴル、エルミタージュに並ぶ世界4大博物館のうちの1つに数えられている。
1日かけても巡り切ることのできない莫大な美術品、今回はオレの脳に特別焼きついて残ったものをピックアップしていく。
おお!ブッダよ!ブッダは皆様を見守っております。
仏教はインドから始まり中国、チベット、日本など世界中を巡りその歴史を刻んでいる。
このようにブッティズムコレクションなども幅広く展示している、全てを鑑賞するのは骨が何本あっても足りなさそうだ。
ちなみに写真撮影はフラッシュを焚かなければオッケーだった、そのため画質が絶妙に悪いのでご了承ください。
肉形石
肉形石はおそらく国立故宮博物院で一二を争う有名な美術品だろう。
ジューシーでおいしそうな角煮に見えるこの石はなんと碧石製である、食おうと試みるものなら歯が消滅するので注意だ。
異なる色合いの層がミルフィーユ状に重なり、天然石を染めることによってそのゼラチン質の肉感を再現しているのだ。
毛穴まで再現しているその執念深さに脱帽してしまう、なお制作年も製作者も不明となっているスーパーミステリーアーティファクトである。
なおもう片方の有名な展示物である翠玉白菜は別の施設で展示されていたらしく拝められなかった、無念…。
肉形石と翠玉白菜の詳細はこっち
祖己鼎
いわゆる青銅製の礼器のことだ。
青銅は当時かなり貴重な素材であり基本的に貴族のみが使用できたらしく、故に青銅器が権威の象徴となっていたらしい。
その後青銅鋳造が発達すると兵器や礼器が進化していく、そして青銅を通し祭祀と軍事で祖先を祀るという精神的な思想も発達していく。
研究を重ねることによって得た文化や哲学などが交わり中国文化を形成していったターニングポイントアイテムなのだ。
この青銅器はお肉や魚とかをご先祖様に捧げるために用いられたらしい、間違っていたらすみません。
珊瑚魁星点斗盆景
「なんか大きなサンゴがあるね、ふーん、新生姜みたい」
趣のかけらもないことを呟いているが、これは全てが象牙でできている美術品である。
「エッ!?それは一体どういうことですか?」
視覚と一致しない情報をインプットしたオレの脳は混乱を隠せない、最初は本当によくできた珊瑚の剥製かと思った。
先端まで広がる細い枝はどこからみても珊瑚そのものだ、オレは天然物を人工的に精巧に生み出すことのできる古代中国文化に思わず恐怖を覚えてしまったね。
象牙多層球
今回オレが一番印象に残った芸術品はこの象牙多層球だ、この精巧さを少しでも感じていただきたいため、写真はとても画質が良い公式の物を使用させていただく。
こちらの作品は、信じられないことに継ぎ目なく1つの象牙からなる作品である。
象牙を球体に切り出し、特殊な工具を用いて内側に24層もなる自在に回転する層を切り出しているのだ。
表面層には人々が暮らしている様子や9匹のドラゴンが雲間を漂っている様子が彫られており、今にも動き出してしまいそうなくらい精巧に作られている。
表面だけではなく内側の23層にも均等に彫られた模様がこれまた美しく並んでおり、手作業で造られたとは到底信じることが出来なかった。
ひとつひとつ外側から削り出しているのだ、気の遠くなるような話であるが、実際に親から孫まで3世代で約100年を掛けて製作された究極の宝物である。
オレはこの作品を見た瞬間うちなる様々な感情や思考が瞬き合い、感銘を受けて言葉を失ってしまった。
あまりにも精巧に造られたその遺物は、オレにインスピレーションというものを理解させようと一瞬にして膨大な情報を押し付けてきた。
美術品を見て感動する、ということがオレには今までなかった、芸術は時代背景ありきで鑑賞するものと考えていたオレのバイアスが一瞬で粉々になった。
言葉も、行動も、呼吸さえ忘れてしまうその美しさになす術がなかった、良い意味で、かなりショッキングだった。
「……………ワオ…………。…………趣……。」
それが精一杯の言葉だった、歩くことさえできなかった、昨日まで悶絶と失禁を繰り返していた男とは思えないほど釘付けになっているのだ。
実際に15分くらい作品の前から離れられなかった。
そして理解していく、何世代にも渡り築き上げる執念深さ、層を重ね引き継ぎを重ねる事にかかる重いプレッシャー、深い層にたどり着くにつれ使用していく工具も精密になり、技術も高まっていくということ。
この作品、そして作者の執念や歴史、生い立ちまでもが一目見た瞬間に波のように押し寄せマグマのように溢れ出るのだ。
すごい、あまりにもすごい、オレはどうにか頑張ってこの素晴らしい作品を語源化しようと試みた。
まず象牙を球体に切り出すのがもうすごいし、中に新しく球を作るのもよくわからなくてすごい。
もうなんか、凄すぎて言葉が思いつかなくなってしまって、すごいこう、なんか、こう…。
すごい、ほんとなんかこう…はい。
オレは自身の教養と語彙力のなさに愕然としてしまい、そのあと言葉が続くことはなかった。
勉強はしておいたほうがいい、こういう感情が昂っている時に困って泣きそうになるのでちゃんとやろう、オレとのやくそくだ。
オレは作品から離れた、名残惜しいが清々しい気分だった。
この瞬間からオレの視界に入る美術品の捉え方が変わったのだ、この作品はオレに芸術の感じ方のひとつを教えてくれたのだ。
また一つオレの人生に感情が刻まれた、何かとても良いものに満たされたオレは、膨大な数の美術品の海に呑まれていくのだった…。
③へ続く。