孤独のPlaylist02─Toots Thielemans plays
ジャズハーモニカというと決してプレイヤーは多くないが、それはこの人の存在が大き過ぎたのかもしれない。2016年に亡くなったトゥーツ・シールマンス。ベルギー人の好々爺というイメージから、どこかあの名探偵を勝手に想ったりもしていた。ジャコ・パストリアスやクインシー・ジョーンズの作品で際立った存在感のハーモニカを披露。ポップスのフィールドでも意外なところで彼の美しく優しいハーモニカを耳にすることが出来る。
唯一彼の演奏を観たのは最後の来日公演となった2011年、Blue Note Tokyoでの最後のステージ。高齢で足元はおぼつかなかったが、ステージに上がるとニコニコ楽しそうに、気持ち良さそうにプレイする姿が印象に残っている。超満員の会場で僕は後の方に入場したものだから、もう席は一番上手ステージの真横しか空いてなかったのだが、トゥーツは演奏中はほぼステージ向かって右側を向いて吹くので、その眼差しは僕にとってちょうど真正面だった。
それにしてもハーモニカの音色というのは懐かしさと、そして永遠を表現するのにこれ以上無い音だと思う。パット・メセニーもそれを期待してトゥーツを招いたのかな。「Always And Forever」〜この曲後半でハーモニカが登場すると時が止まる・・・。
Gregoire Maretというハーモニカ奏者が最近ビル・フリゼール、ロメイン・コリンのトリオで『Americana』という素晴らしい作品をリリースしたが、彼の初のリーダー作(2012年)ではトゥーツをゲストに迎えて、二人でハーモニカの共演をしている。プレイリスト最後にその曲を加えておく。