アイデアは既存の要素の組み合わせの誤解
みなさん、アイデアは既存の要素の組み合わせであるという言葉を聞いたことがないでしょうか?
全く新しいアイデアも分解すると既存の要素の組み合わせであると言った趣旨の言葉です。
「アイデアは既存の要素の組み合わせ」という言葉は、インパクトがあって、しかも分かりやすく、なるほど!という感覚になります。
しかし、この言葉を真の意味で理解している人は実は少ないのではないかと思っています。
おそらく、この言葉を世に広めたのはジェームス・W・ヤングの著書「アイデアの作り方」だと思います。
たしかに、この著書には繰り返し、アイデアは既存の要素の組み合わせであるということが書かれています。
しかし、これは内容のあくまでも一部で他にもアイデアを作り出す上で重要なことが他にも書かれています。おそらく、この他の部分は抜け落ちて、「アイデアは既存の要素の組み合わせである」という部分がひとり歩きしているのではないでしょうか。
では、アイデアの作り方にはどの様に書かれているでしょうか。
アイデア作成の基礎となる一般原理については大切なことが二つあるように思われる。(中略)
即ち、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもないということである。(中略)
関連する第二の大切な原理というのは、既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能というのは、物事の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きいということである。
物事の関連性をみつけ出す才能の重要性が書かれています。これだけ読むと、何だ結局才能がないとダメなのかと思ってしまいそうですが、そういうことではありません。
ヤングはこの著書で、この才能は修練可能でアイデアを作り出す能力は高められると言う内容のことを記しています。
また、アイデアの組み合わせとは「特殊資料」(売りたいものに関する資料)と「一般資料」(売りたいものに関わらないありとあらゆる資料)の組み合わせのことであり、この2種類の資料をいかにたくさん集められるかが、まず最初に重要であるということが書かれています。
しかし、一方でこの工程が多くの場合ないがしろにされがちであるとも書かれています。
この様に「アイデアは既存の要素の組み合わせである」は間違いではないのですが、この言葉だけでは説明しきれていない多くのことが抜け落ちて広まってしまっているように感じます。
この著書自体は非常に薄く、核心の部分に至っては30ページ強なので、もし未読の方はぜひ読んでみてください。