ウケる技術と思いやり
以前の記事で主人公が追い込まれることが物語の推進力である。という内容のことを書きました。
【シナリオを面白くするコツ】
https://note.com/yamashun/n/n5c36e9cf5348
物語の体をなしているものにとって、主人公が追い込まれる、つまり不安や怒りや緊張を感じることは主人公に次の行動を起こさせるために重要な要素であるということでしたね。
また、別の記事では強敵を倒した直後は少しリラックスできる話が挟まるということを書きました。
私のゲーム開発むかしばなし レベルデザイン編
https://note.com/yamashun/n/n793b640fc9d2
物語がずっとシリアスだと観ている方は疲れてしまうので、緊張と緩和のバランスを取る必要があるということです。
さて、この緊張と緩和の感じ、笑いを取る感覚に似ていませんか?
実際、ONE PIECEやBLEACH、鬼滅の刃などヒットしている漫画からは笑いのセンスを感じることがあります。
おそらく優れた物語を作ることと笑いを取ることは、緊張と緩和という構造において似ている部分があるのではないでしょうか。
前置きが長くなりましたが、今回は水野敬也さん他による著書「ウケる技術」からいくつか紹介したいと思います。
創作物に活かすことももちろんですが、普段の会話でも使えそうなものをピックアップしてみました。
分裂
セリフと態度が逆
「フランス料理はマナーにとらわれたらダメなのさ」(手をブルブル震わせながら)
「別に、お金とかそういうんじゃなくて……」(目の前に置かれた札束をくわっと凝視する)
天丼
一度出た言葉を忘れたころにミスマッチさせる
例 A:会社、やめちゃったんだ。
B:はい。あの業界じゃ勝ち目ないなって思ったんで。
(話は変わって)
A:結局、ナンパ失敗して、すぐ帰っちゃったんだ。
B: はい。あの業界じゃ勝ち目ないなって思ったんで。
同じツッコミをテンポよく繰り返す
例 A:遅れて、ごめん。
B:……お前、寝起きだろ。
A:違うって。じゃぁ、映画行こうか。
(と言って映画館と逆の方向に歩き出す)
B:映画館そっちじゃないよ。……お前、寝起きだろ。
強がり
例 A:私の名前、覚えてないでしょ。
B:覚えてるよ!君んちの家系図全部頭に入ってるから。
※実際には名前を忘れているのだが、強がることで自分を追い込み、笑いにする。
基本的にウケるとは、ミスリードしておいて、意外なことを言うということだと思います。
先日、惜しくも亡くなられた志村けんさんはこんな言葉を残されています。
非常識なことをするためには、まず常識を知らなきゃいけないんだよ。
つまり、みんなが意外だと思うことが何かという感覚がなければ笑いは取れないということですね。
ここ数日、私は常識を疑うトレーニングを続けていますが、この記事を書いていて自分の常識と他人の常識という観点があることに気付きました。
例えば、普段から思いやりのある人は他人のことをよく観察していてどう考えているか、何を常識と思うかをよく把握している人だと思います。
つまり、思いやりのある人になることで、ウケる技術においても重要でひいては良い物語を作る上でも重要なのではないかと思いました。
ちなみに私は天丼の1つ目のパターンがなんか得意です笑