知っているの罠
過去、いくつかの記事でバイアスについて書きました。
このバイアス、コロナウィルスについて様々な情報に触れることが多い昨今、改めてやっかいな存在だなぁと思っています。豊富な知識がある人でさえ、このバイアスの影響を受けて間違った判断をすることがあります。
例えば、池上彰さんは過去の著書で「トランプ氏が大統領になることはないだろう」という趣旨のことを、その理由も添えた上で書かれていました。しかし実際はトランプ大統領は誕生しました。おそらく様々な情報をもとに判断されたと思いますが、それでも読みが外れるということがあるのです。
また、メンタリストのDaiGoさんはテレビに頻繁に出演されていた時期に「自分はもっと出来るはず」という「思い込み」により苦しんだと自身の著書で告白されていたりします。
それに加えてメンタリストでさえ、油断するとバイアスの罠にかかるという趣旨のことを書かれています。
人はそれまで自分が得た情報や知識、つまり「知っている」ことを元に物事を判断します。
しかし、新たに得た情報はそれまでの自分の考えと一致しているものを選択し、一致しないものは見ないように取捨選択してしまいます。あるいはどちらとも取れる情報は、自分の考えに近い解釈で受け取ってしまいます。
さて、今世の中は新型コロナウィルスに関するあらゆる情報が溢れかえっています。
それらは正しい情報、誤った情報、一部は正しい情報、解釈によって意味が変わる情報など色々なものが入り交じっています。信憑性の高いソースからの情報に絞っても、バイアスが存在する以上、完全に正しく判断することは難しいでしょう。
私は普段から、分からないものは分からないというスタンスでいます。新型コロナウィルスの専門家ではなくても、誰かに考えを求められると本能的に何か回答したくなりますが、分からないものは答えても仕方ありません。
それよりは、今、何をするのが自分が一番納得するかなと考えるほうが建設的な気がします。たくさんの情報にさらされるとどうしてもネガティブに流されてしまいそうになりますが、こんなときこそ、心静かに自分と向き合うのもいいんじゃないでしょうか。