【OW2】アンチピックよりシンパピックによる交戦をしようぜ
アンチの逆でシンパ。
半分ぐらいはブリギッテの記事。
◯アンチピックとシンパピック
わざわざ説明しなくとも言葉の意味でわかっていただけると思うけど、一応説明。
アンチピックってのは、主に相手のヒーローに対して相性のいいピックをすること。
シンパピックってのは、主に味方のヒーローと相性のいいピックをすること。
さっき私が作った言葉。他で使っても通じないよ。
んで、「アンチピックよりシンパピックをしようぜ!」みたいな説明で、「なるほど!わかりました!」なんて言ってちゃダメなわけで。そんな簡単な話じゃないでしょうよ。
アンチピックから順番に復習していこう。
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◇「アンチピック」だけでは何にもならない
「アンチピックしてるのに勝てない」ってことはいくらでもあるわけで。もちろん原因も様々。
「抑えるべきはそいつじゃなくね?」みたいなことはよくある。
私がボールをやってるとアンチピックされるけど、その時点でボールの思う壺になってる場合も。
もちろんマップや構成や状況によって異なるけど、タンクだからそんなふうに相手の気を引けてる時点で十分な仕事になってることも多い。
アンチピックするって時点で戦局はリードされてる・上手くいってない場合が多いわけで、じゃあボール側は無理に攻めなくていい。プッシュとかだと顕著。エスコートやハイブリッドの防衛でも。
あるいは相手にファラやエコーがいるからってヒットスキャン系ヒーローを出すけど、ウィンストンに襲われて撃ってる場合じゃなくなるとか。
ヒーローの相性が良くとも、マップや戦い方と合致しなきゃならない。
例えば相手がシグマ・トレーサー・アッシュだと、ウィンストン・ブリギッテは相性的には問題ないように思える。
しかし、例えばこれがハバナ第一だったとして。
「ウィンストンが高台にいるアッシュに跳ぶ」「ブリギッテはトレーサーやシグマに強い」というのは表面的な言葉だけ捉えれば間違ってないかもしれないけども、それでハバナ第一の攻撃が成立するかといえば難しい場合も多いと思う。
※あくまでもこいつらの相性と戦い方だけの話。総合的にはもちろん他の相手・味方による。
ウィンストン対D.vaとか顕著。D.vaはウィンストンのアンチピックと言われることはあると思うけど、簡単な話じゃない。
参考動画:solo氏。以前の記事でも紹介した動画。
例えば、ドラド第一。攻撃側も防衛側も、D.vaもウィンストンもどちらも出て来やすい。
そして、それぞれについての立ち回りについても簡単な問題じゃない。
攻撃側が高台に飛んだとき、それに対して防衛側は高台から降りてペイロードまわりを抑える場合は多そうだけど、跳んだタンクを追いかけて跳ぶ場合もある。
んで、このタンクの組み合わせだけでも攻撃・防衛で「ウ・ウ、ウ・D、D・ウ、D・D」の4通りあり、攻撃側が高台に跳ぶという行為に対して、追いかける場合と降りる場合の2通り。
これだけでも8通りあるのに、さらに攻撃側・防衛側のそれぞれのヒーロー・ポジショニング等によりさらに場合は分かれる。
こうやって落ち着いて考えてるときでも難しいのに、試合中に的確な判断をするのは困難。特に連携の取りにくい野良のマッチだと。
単純なタイマンだけだとD.vaの火力で有利に思えるけども、ウィンストンの攻撃をD.vaは防げないしアーマー貫通もあり、バリアによってD.vaの火力を封じることで、味方と協力すればウィンストン側が有利になる場合も非常に多くある。
ただ単に「アンチピック」をするだけでなく、上の動画のsolo氏の言葉を借りるならば「アンチムーブ」もしなければ意味がない。
防御的なアンチピックをして、相手の攻撃を耐える・殺されないようにするだけで勝てるならいいが、多くの場合は不利だからアンチピックを強いられているわけで、守っているだけでは戦局が好転しないかもしれない。
あるいは、せっかくアンチピックを出していても相手を殺せなければウェーブに勝つことは難しい。
したがって、もちろんアンチピックでいい場面もあるが、防御的なアンチピックではなく、攻撃的なアンチピック=自分たちの攻撃を通すようなピックと戦い方、すなわちシンパピックとシンパムーブができるようになるといいかもしれない。
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◇シンパピックとシンパムーブ
私がわざわざ「このヒーローのアンチはこいつですよ!」みたいなことを説明しないのは、他にいくらでもそういう解説はあるってのと、上に書いたようにそれだけじゃ何にもならないでしょってことで。
なので同様に、「この味方と相性がいいヒーローはこいつですよ!」みたいなことは説明しない。
アンチピックのときと同じく、重要なのはシンパピックよりシンパムーブのほうだし、もちろん相性の悪いヒーローってのはいると思うけども、シンパムーブの観点から考えると相性は単純なものではないからだ。
「ラッシュ構成」「ダイブ構成」「ポーク構成」とかいう思考停止で時代遅れで実体がなく実態を伴わないゴミカスクソ概念はともかく、「味方ヒーローとの相性」ってのは単純な話ではない。
もちろん競技シーンや、それに近しいようなレベルのプレイヤーによる高レートのマッチならば構成や戦術の話になってくるが、一般的な野良のマッチにおいてはもっと現実的・実戦的に考える必要がある。
例えば、アッシュとラインハルトは相性がいいだろうか。
ゴミカスクソ概念からすると、「アッシュはポークヒーローでラインハルトはラッシュヒーローなんだ!だから相性が悪いんだ!」とかいう回答が得られるかもしれない。
しかし、そんなものはマップと戦い方次第。当然。
ラインハルトは近接最強クラスだ。だからそれができるようなマップ・状況では非常に強い。
そうなったときに、相手のタンクがアッシュを抑えるためにウィンストンやシグマを出していたら、殴れる状況であれば勝つのはラインハルト側だろう。
逆に、正面がキツイためラインハルト対策にオリーサやラマットラが出てくるかもしれない。
もちろん上手さによるが、確かにラインハルトは不利ではあるが、即死するようなものでもないし、マップや立ち回りによって十分粘ることはできる。
であれば、相手のタンクの脅威がないアッシュは自由に撃つことができる。
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あるいは、レッキング・ボールはクソ分類で言えばダイブヒーローかもしれないが、タックルで相手の位置をずらしパイルして浮かせることで、アッシュの射撃との連携攻撃をすることができる。
その場合は正面にタンクがおらず、アッシュという防御力が低いヒーローを補うため、ブリギッテは相性がいいと言っていいだろう。ダイブからアッシュを守れ、ボールにパックを投げてもいい。
ブリギッテはダイブヒーローとはいえないしポークもできない。しかし、そのような戦い方・シンパムーブをすることにより、相性がいいと言えるだろう。
さらに言えば、シンパピックなんてものは特別なものじゃない。なぜならば、ほとんどのヒーローでシンパムーブができるのならば相性がいい戦い方ができるからだ。
ブリザードワールド第一の攻撃で、タンクがウィンストンだとする。
高台にウィンストンが跳ぶならば、ゲンジが一緒にダイブするというのはシンパピックからのシンパムーブの典型例かもしれない。
しかし、もちろん全員がダイブするだけじゃない。味方のそのような行為に連動したシンパムーブをすれば、ヒーローの如何にかかわらず、相性の良い戦い方をすることができるのだ。
もちろんすべてのヒーローが相性がいいわけではないが、どんなヒーローだろうと、味方の行動に合わせたシンパムーブを考えて行動しなければならない。
特に、味方のタンクの動きには注目。どこで戦って、どこにスペースが生まれるのか、どのタイミングで移動することができるのか。
そういうのを考えずに撃ってるだけというのは論外。
さて、これらは「味方に合わせたピック・立ち回りをしましょう」なんて簡単な話でもない。
◯シンパピック・シンパムーブの需要と供給
アンチピックの項目で、「本当にそれが必要か?」というようなことを書いた。ボールにホッグを出すような。必要なことはそれなのか?
同様に、シンパピックにも本当にそれが必要なのか、需要を見極めなければならない。
例えば、アルティメットの相性だけを考えてピックするのは間違いな場合が多い。
ザリアのサージに合わせるためにハンゾーを出すとか、ゲンジの龍剣に合わせるためにアナを出すとか。
たしかにそれらのULTにシナジーはあるが、それらを合わせることが全てではない。
あるいは上に挙げたボール・アッシュ・ブリギッテの例でも、相手が正面で殴ってきたり遠距離から撃ってくるタイプのヒーローばかりのときは、ブリギッテが弾いてアッシュを守ったりエリアを抑えるような働きは機能しない。
「味方に合わせてるから!」とかいう、表面的には献身的なようなピックや立ち回りでも、それが試合に本当に必要なものかどうかは別の話である。
特にタンクやっててよく思うのは、「ヒールよりも相手を殺してくれ」ということだ。
「味方のタンクをヒールできるようなサポートをピックする」という行為はもちろん重要なんだけども、味方タンクや相手によっては、ヒールよりも別の要素が重要なことは非常に多い。
特にボールのとき。ヒールしに来なくていいです。ライフパック取りに行ってるでしょ。
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◇ブリギッテ
ジュノの登場により、競技シーンではかなりの割合でジュノ・ブリギッテのコンビが使われる事が多い。
ブリギッテなんてだいたいいつも強いが、特にジュノ・ブリギッテは強いと思う。
しかし、だからといって思考停止でジュノ・ブリギッテやっときゃいいというわけではもちろんない。
むしろ私は、一般的な野良のマッチではジュノブリに懐疑的だ。懐疑的だというだけで、反対ではないけども。
私はブリギッテは好きなヒーローだし一番使ってたシーズンの勝率は63%あるが、それでもだ。
というのも、ジュノ・ブリギッテの集団ラッシュ系の戦い方が、野良のマッチで成立しているだろうか。
もちろん上位レートならばできるし、一般層でもやろうとしている場合はあるだろう。私だってやりたいし、タンクやるときでも味方にはぜひそうしてほしい。
参考動画:キール01選手。日本トップクラスのブリギッテプレイヤー。
動画のとおり、ゲンジやジュノ・ブリギッテが積極的に前に出て集団で戦うことにより、構成の長所を最大限に発揮している。
だけども、現実的にはどうだろうか。できているならいいが、当然ながらできないのならばあまり有効ではない。
味方のゲンジやジュノも一緒に戦ってくれないのならば効果は薄いし、もちろんブリギッテもそういう戦い方ができなければ意味はない。
しかし、多くのサポートプレイヤーはブリギッテでそういう戦い方ができるだろうか。他のプレイヤーも、それに合わせて戦えるだろうか。
私はほとんどの後ろでヒールしてるだけのサポートよりはこういうブリギッテをやってきたつもりだけども、高くないレートの試合だったとしても自信は全くない。たぶん前に出すぎてオリーサに殺される。
◇キャリー
野良のマッチで必要なことはキャリーである。消極的にこなすことじゃない。
もちろん上に挙げたブリギッテもキャリーヒーローだ。
ただ、よく考えなければならない。ブリギッテで何をすれば試合の需要を満たして貢献=キャリーできるのか。
ブリギッテの教科書的な戦い方、「味方を守る」「できるだけインスパイアを発動する」「バッシュは逃げに使う」「ウィップを当てる」をしていて、キャリーできるだろうか。
もちろん表面的な行為はそれらであるが、それによってチームに何をもたらしているだろうか。
例えば、上に挙げたキール選手の動画の試合では、味方のジュノはCH0R0NGでゲンジはBECKYだし、別の試合の動画では味方はHAPPYとViol2t、相手のタンクはBERNARでダメージはPELICANだ。(いずれも韓国のトップ選手。)
そんな試合で集団での攻撃力・防御力を高め、しっかりとブリギッテの交戦能力を活かしたようなプレイングができることは十分なキャリーだ。
BERNARとPELICANに襲われても味方を守りつつ死なずに戦えるメインサポートは日本に何人もいない。
ただし、それは本人が上手く、トップレートの試合だからこそだ。一般層の試合はそうではない。
相方がジュノだからってブリギッテを出すかもしれないが、その相方はCH0R0NGでもViol2tでもないし、相手はBERNARでもPELICANでもないんだ。
相方のジュノを守ってれば勝てるのか?
相手の大した事ないタンクやダメージにビビって防御力を上げる必要はあるのか?そもそもジュノは襲われているのか?
味方は一緒に前に出て戦ってくれるのか?ジュノは後ろでゴニョゴニョしてるだけじゃないのか?そいつはジュノじゃなくてゴニョじゃないのか?
ジュノだけでなくアナやバティストでもなんでもいいが、そういうサポの相方にブリギッテはシンパピックだといえるだろうし、シンパムーブができるかもしれない。
なんだけども、それは本当に必要なことだろうか。それをやっていれば勝てるのだろうか。
アンチピックで説明した、「ボールにホッグ」は、表面的にはアンチピックと言われるかもしれないが、実戦的には微妙な場合も多い。
同様に「ジュノにブリギッテ」は、表面的にはシンパピックかもしれないが、本当にマッチに必要な需要を満たしているかどうか、キャリーできるのかどうかを考えなければならない。
だから私は、ブリギッテは使える方ではあるが使わない場面も多い。
連携が困難な野良のマッチでは、ジュノ・ブリギッテのラッシュは上手くいかない場合が多い。ならば別の手段で攻撃性能を発揮したほうがいい。
結:本質的なこと
私の記事のモットーだけども、表面的なことではなく本質的なことが重要だと思うことは非常に多い。
ブリギッテの表面的なプレイングは、上にも書いたが「インスパイアを発動させる」「ウィップを当てる」「バッシュで逃げる」「パックを投げる」「ラリーで戦う」ぐらいのもんだ。
なんだけども、それによって何が起こるのか、それによってどのような戦い方をしたいからブリギッテを使うのか、そういうところまで理解していなければ、ブリギッテを有効活用させることは難しい。
「味方を守る」とかいう曖昧な概念だけでは、勘違いしてしまうプレイヤーも多いかもしれない。
表面的なプレイングだけでなく、本質的な戦い方の部分を理解し遂行していかないと、良い働きをすることはできない。
これはブリギッテだけの話ではないし、シンパピック・シンパムーブというのは、「受動的・献身的に味方に合わせたプレイをしよう」というものではない。
「主体的・積極的・攻撃的に、味方の動きを利用して自分が活躍=キャリーする方法を探る」というようなものだ。
「味方のタンクが前に出たタイミングで自分は良いアングルからフリーで撃ちにいこう」とか、「味方が正面を抑えるから自分はサイドに回ろう」とか、「相方のヒール量は多いから自分は火力の出るヒーローを使おう」とか。
それらはもちろん味方に合わせてもらうわけでもない。自分が合わせにいくんだ。
自分が、そのマッチに必要とされていることを遂行する。それはアンチピックかもしれないしシンパピックかもしれない。
そして、一般的な野良のマッチに足りないこと・必要なことは攻撃力である場合は多い。
であればこそ、守備的・受動的なアンチピックも必要かもしれないが、それ以上に攻撃的・積極的なシンパピック・シンパムーブをして交戦に影響を与え、自分がキャリーの働きをできるようにしていきたい。
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んで、どうやればそれができるようになるのかって話で、もちろんヒーローの熟練は必要なんだけども、自分のリプレイや他の人の動画や配信なんかを見ることは必要だと思う。
上手い人のプレイは見てもわからないことは多いかもしれないが、上で挙げたようなキール選手の動画、まさにジュノブリの戦い方の見本となるようなものだ。
あるいは、自分のリプレイの自分以外のプレイを見てもいいし、あんまりレートの高くない人の動画や配信を見るのもいい。
本文中に「必要なことか?」という旨のことを書いたが、そういう観点から客観的に見てみよう。
本当にそのヒーローで行っているその行為は必要なのか?
無駄なヒールをしていないか?ヒールするべき対象は今そこなのか?後ろで撃ってるだけじゃないか?試合に必要なのはそのヒーローのその行動なのか?
味方に合わせた・味方を利用するようなピックやムーブはできているのか?
自分の行動により交戦を有利に進める=キャリーの働きができているか?そもそもしようとしているのか?
そこで行われている表面的な行為だけでなく、何が目的なのか・行為により何がもたらされたのかという本質的な部分を考慮して、プレイを反省して活かせるようになりたい。
「アンチピック」というのは確かに必要かもしれないけども、それは受動的で消極的なものかもしれない。
それよりは、自分から積極的に味方と連動して交戦を起こしていくような「シンパピック・シンパムーブ」により、むしろ相手にアンチピックをさせて後手に回らせるぐらいのプレイを目指していくほうがいいと思う。