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【OW2】フィンランドに学ぶファラマーシー対策

 あーわかるかお前ら!ちょっとお前!よく聞けや俺の話!
 メモれ!メモれこれ!メモったらどうやねん!ちょっとぐらい人の話を!
 聞き流しとったらそんな誰でも受講してるとは言わへんねん!
 受講生やったらちゃんとメモ取ってな画面の前でお前、俺喋ってることを!いいか?

『サウジのファラマーシーはつよい』




 ワールドカップ予選では激戦区EMEA Bグループを7戦全勝で突破したサウジアラビア。代表選手たちの多くが所属するTwisted MindsEMEA最強チーム

 コンテンダーズ決勝ではイギリス・ノルウェー・デンマーク・フィンランド・スペインの代表選手たちを擁する強豪チームEx Oblivione4-0でボコって優勝。

NAコンテンダーズ優勝。
国内大会のSaudi eLeagueでも優勝。

 プロアマ大会の予選でも優勝。本戦では、直近のMidseason Madnessの準優勝チームHouston Outlaws戦でもイリオスで勝利している。

韓国代表・世界最強のメインタンクFearless、世界最強のフレックスサポートSHU、世界で一番OWが上手いViol2tを擁するHouston Outlawsをイリオスで2-0

 そのTwisted Mindsのメンバーに、代表では世界最強のファラ使いであるYZNSAが加わる。ランクマッチではNA、EU、ASIAの全サーバーで1位になったプレイヤー。
 サポートにもOWLのToronto Defiant所属のSirMajedが加わる。

 つまるところ、サウジアラビアはクソ強いファラマーシーで来ることがわかっていても止められない
 

 そんな強いサウジアラビアのファラマーシー相手に、フィンランドはLIJIANG TOWERで勝利

フィンランドも強豪チーム。

 ただでさえ強くて対策が難しく、そのうえOWLのトップチームをも倒すサウジアラビアのファラマーシー相手にどうやって勝ったのか。
 


○ポイントコントロールで勝つ

 試合を見てもらえばわかるんですが、フィンランドはファラマーシーを落とすのではなく、ポイントコントロールで勝っています
 これ結構すごい試合ですよ。

 フィンランドが勝利したナイトマーケットとガーデンにおいて、サウジアラビアのファラのデス数は合計で3です。

 ナイトマーケットの最初のウェーブでサウジアラビアが勝利した際にソンブラにやられたのが1回目。
 ガーデンでソンブラ・D.va・キャスディにフォーカスされて死んだ2回目はすぐに蘇生され、オーバータイムにバレッジを撃ったときに3回目。

 それだけですフィンランドは2マップでファラを3キルしかしていません。その3キルもほとんど致命的とは言えないものです。

 フィンランドの負けウェーブではほとんどファラにボコられています。数えてないですがほとんどのキルにファラが絡んでいます。

 しかし、それでもポイントコントロールによって試合には勝利できています。

・地上を押す

 (細かい戦術はもちろん高度で緻密な作戦があるでしょうが、)仕組みは簡単で、「手薄になった地上を押し、ポイント内部へ侵攻する」というものです。
 ファラとマーシーが空中にいれば地上は3人なので不利であり、押し込まれると下がるしかありません。ナイトマーケットやガーデンのポイント内はある程度はファラからの射線を切れます。

 もちろんポイント内の狭い範囲にいてはエリア的に不利で、囲まれてボコられるのでやられてしまいます。
 しかしラッシュのように一気に押しつぶす戦い方は得意でないファラマーシー構成では殲滅に時間がかかり、確保率を進められてしまいます

ナイトマーケットの2ウェーブ目のイメージ図。
ポイント内に押し込まれた後に反撃して取り返すも、37%まで確保率を進められてしまう。

 次のウェーブでは地上を押されジャンカークイーンが落ち、フィンランドが確保。次はサウジアラビアのファラが暴れて取り返し。
 最後はポイント内での戦いになり、EMPが決まって勝負あり。

 フィンランドは3マップ目のガーデンでも同じようにポイントへの侵攻を重視しました。
 最初のウェーブは負けるも、ポイントへ侵攻して確保率を上げていきます。
 ファラに暴れられてポイントを取られたら、また次のウェーブでポイントへ侵攻。
 お互いに0キルでもフィンランドが拠点を確保し、粘って戦っていました。

 ファラマーシーへの対策としてD.va・キャスディ・ソンブラを採用しています。
 普通なら、「ソンブラでハックしたところにD.vaやキャスディでフォーカスを合わせて倒す」という戦い方が想定されるでしょう。
 しかしフィンランドの戦術はファラを倒すことではなく、地上を押してポイントへ侵攻することでした

ジャンカークイーンをハックして追い詰める。
EMPもジャンカークイーンへ。
ランペイジが消される。

 
 ファラマーシーを相手にするとき、ファラとマーシーをどうするかに焦点が当てられがちですが、ここで紹介したようにファラやマーシーを倒さずとも、拠点の確保を進めて試合に勝利することもできます。

 こういうのがOWの奥深さですね。難しい。

※「無視」ではない

 観戦視点なので詳細はわかりませんが、ファラマーシーを全く無視していたわけではないと思います。
 D.vaやソンブラ、キャスディといったファラにプレッシャーを与えられるヒーローにより、ファラを自由にさせないうえで、地上を押して拠点へ侵攻していたように見えました。
 実際、ファラはほとんど死んでいませんがダメージ自体は受けているシーンが多くありました。

 全く無視するとファラが自由に暴れてしまうので、そこへ射撃もしつつ地上を侵攻するというのは結構難しい戦術でしょう。フィンランドも流石に強い。


○ヒットスキャンではなく


 「ファラマーシーにはヒットスキャン」のように思われていることも多いかもしれませんが、あまりおすすめしません。

よくある光景。

 基本的にファラは撃たれにくい場所から撃ってきます。ガーデンだと塔の周りとか。地上対空中でそもそも不利です。
 さらに、射撃に夢中になっているところにタンクが突っ込んで来たら終わりです。
 射撃系ヒーローは機動力・防御力にも不安があり、仮にファラやマーシーを落とせてもその頃には自分たちも危ない状況になり、完全に有利にはなりづらいです。

 ファラマーシーにはヒットスキャンではなくエコーのほうが有効だというのが通説でしょう。

この人。人?

 撃たれにくく、空中にいるファラマーシーに瞬間火力を叩き込むことができます。
 地上を歩くヒーローたちと違ってファラに上から撃たれるせいで進めないということにもなりにくいです。
 味方にゼニヤッタがいると、調和+不和のオーブでさらに戦いやすいですね。

 別にヒットスキャンを出すのが悪いというわけではありません。しっかりとファラにプレッシャーをかけることは重要です。
 ただ、地上で必死にファラマーシーを撃つことだけに夢中にならないようにしたほうが良いでしょう。


○「戦い方」

 この記事で紹介したように、フィンランドはファラマーシーを倒すのではなく、ポイントコントロールという戦い方でコントロールマップの試合に勝利することができています。

 オーバーウォッチには様々なヒーローが存在し、それぞれに「相性」のようなものもあるのでそれに注目されることは多いでしょう。
 もちろんヒーローの要素も重要なのですが、それ以外にも重要なことはたくさんあり、そういう要素は蔑ろにされがちになっている思います。

 「D.vaにはザリア」とか「ザリアにはウィンストン」とか「ウィンストンにはD.va」とか、そんな単純な話ではありません

 「ファラマーシーが出てきたからヒットスキャンで撃とう」だけでなく、戦い方・立ち回り全体について考えてみてもいいかもしれません。

 サウジアラビアだけでなく、ファラマーシーは一般の野良マッチにおいても対策しなければキツい場合が結構あります。
 エコーを出してなんとかなるならいいですが、そうでないならチーム全体としての立ち回りを意識してみてもいいと思います。
 私も以前にファラマーシーが止まらないとき、ラインハルト・メイ・トールビョーン・ルシオ・キリコでラッシュして勝った試合がありました。



補:最適解

 Hydronが落とす

アメリカ代表ならこれぐらいやってくれる。

 プロアマ大会の本戦、Toronto DefiantTwisted Minds
 D.vaもゼニもソンブラもいないのに単独キルしまくる。ゲーム壊れちゃう。


2023/06/26 山下


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